キリオスが新型コロナを懸念しUSオープン欠場「失われた命を取り戻すことはできない」

ニック・キリオス(オーストラリア)が新型コロナウイルス(COVID-19)への懸念のため、そして感染して亡くなった「数百数千人ものアメリカ人」に敬意を表してUSオープン(アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)を欠場すると発表した。

 日曜日にインスタグラムを更新したキリオスは、全米テニス協会(USTA)が8月31日から9月13日まで大会を開催する計画を進めていることに問題はなかったと述べた。しかし彼はパンデミックの中で健康と安全性に不安を感じ、同胞で女子世界ランク1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)に追従してフラッシングメドウでのグランドスラム大会に出場しない決断を下した。

「僕は今年のUSオープンではプレーしない。スポーツ最大のアリーナのひとつであるアーサー・アッシュ・スタジアムでプレーできないことは辛いよ。だけど僕は人々のため、母国オーストラリアのため、自らの命を落とした数百数千人ものアメリカ人のため、皆のために参加しないんだ。それが僕の決断だ」とキリオスはビデオメッセージで語った。

「我々はこのスポーツと経済を再建することができるが、失われた命を取り戻すことは決してできないんだ」

 キリオスはまた過去数ヵ月の間にエキシビション大会でプレーし続けた選手たちに対し、「テーブルの上で踊り、金を稼ごうとヨーロッパ中を行き来し、エキシビション大会を主催することで手っ取り早く儲けようとした」と批判した。

 その間に開催されたエキシビション大会はたくさんあるが、世界ランク位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が主催した「アドリア・ツアー」がもっとも注目を集めた。セルビアとクロアチアで開催されたそのイベントは、ソーシャルディスタンスなどコロナ関連の予防措置が疎かだったことが指摘された。

 結果的にそのイベントではジョコビッチのほか、選手だけでもグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、ビクトル・トロイツキ(セルビア)、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)の4人がウイルス検査で陽性と診断された。

 大会を開催したことについて「愚かな決断だった」とキリオスは発言し、プロトコルを守らなければならなかったと非難した。

 木曜日にはパンデミック中に海外渡航する危険を冒したくないため、バーティがUSオープンに出場しないと発表した。彼女は今後数週間の内に、フレンチ・オープン(フランス・パリ/クレーコート)でタイトル防衛に挑戦するかについて決定する。5月に開幕する予定だったロラン・ギャロスはCOVID-19の発生により延期され、USオープン後の9月27日スタートに変更された。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は昨年のUSオープンでのニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)

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