思い出深きフレンチ・オープンの試合『1992年セレス対グラフ』【AP Was Thereシリーズ③】

スポーツの大会はさまざまな理由で、人々にとって忘れがたいものになる。番狂わせ、歴史的重要性、劇的な瞬間、大逆転劇など…ときにいくつかの理由が重なることもある。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりフレンチ・オープンが9月に延期された今、AP通信はパリで伝説的な試合がプレーされたときに報道されたいくつかのストーリーをふたたび紹介していく。

 この「AP Was There」シリーズは、過去40年からのロラン・ギャロスの試合で際立ったものをピックアップしている。

感動的な試合

 1992年女子シングルス決勝で、モニカ・セレス(当時ユーゴスラビア)はシュテフィ・グラフ(ドイツ)を6-2 3-6 10-8で破った。第3セットだけでも1時間半を要した熱戦だった。出場したグランドスラム大会を5度連続で制したあと、セレスはその試合を「これまでプレーした中でもっとも感動的な試合だった」と呼んだ。それから1年も経たないうちに、セレスはドイツの大会で自称“グラフ・ファン”に背中をナイフで刺された。彼女は1995年にツアーに復帰し、グランドスラムでもうひとつだけタイトルを獲得した。

 そのほかの思い出に残る劇的な瞬間は、1999年女子シングルス決勝でグラフがマルチナ・ヒンギス(スイス)を4-6 7-5 6-2で倒した試合だろう。これはグラフがグランドスラムで勝ち獲った「22」のタイトルの最後のものであり、ヒンギスがジャッジをめぐって怒りを爆発させたことで後味の悪いものになった。

 2013年男子シングルス準決勝で、ラファエル・ナダル(スペイン)はノバク・ジョコビッチ(セルビア)に6-4 3-6 6-1 6-7(3) 9-7で競り勝った。ナダルはこの試合を『特別なもの』と表現した。

 2003年女子シングルス準決勝で、ジュスティーヌ・エナン(ベルギー)はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-2 4-6 7-5で下した。エナンはセレナのフォールトの直前に手を上げてタイムを要求し、そうしたことを認めなかった。試合後にセレナは、エナンが“嘘をついてごまかした”と言って糾弾した。この結果により、セレナのグランドスラム大会における連勝記録は「33」で終止符が打たれた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は1992年のフレンチ・オープン女子シングルス決勝で対戦したモニカ・セレス(当時ユーゴスラビア/左)とシュテフィ・グラフ(ドイツ)(Getty Images)

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