寺地貴弘プロ_「格上」の倒し方を教えます~大金星を手に入れるための7つのポイント~

4|相手が格上でも格下でも勝つためにすることは変わらない

いつも以上のプレーをしようとするな!

上と対戦するとき、よくありがちなのがオーバーワーク。「いつも通りのプレーをしていても勝てる相手じゃない。とにかく積極的に仕掛けていく!」とガンガン打ち、攻めていって、自滅していくパターンは少なくありません。ノープランの典型です。

 いつも以上のプレーをしようとすれば、当然ミスが増えます。勘違いで多いのは、それを「覚悟の上。相手は格上なのだから、こうでもしないと勝てない!」と思い込み、強引にポイントを奪いにいきます。たまにポイントを獲れることがあるかもしれませんが、絶対に続きません。

 格上の選手からすれば、これは一番楽なパターン。相手が自分のことを怖れて、勝手にミスしてくれているだけ。試合で練習以上の力を発揮することは不可能ですし、絶好調を期待してはいけません。相手が格上であろうと格下であろうと、まずはいつもの自分のプレーをすることを心がけましょう。

5|リスクをかけるタイミングを間違えていないか?

「ここぞ」の場面はリスクを背負って勝負!

うはいっても“普通”に戦っていては格上の選手には勝てません。がっぷり四つに組んだら、格上の選手のほうが強いわけですから、リスクを背負って挑んでいく場面が必ず出てきます。問題なのは、その見極め、タイミングです。

 すべてのポイントにリスクを背負わなければと思っていませんか?(それがP116の4です)。そうではなく、まさに、ここぞという場面でこそ、リスクを背負ってでもポイントを奪いにいくのです。試合の流れにもよりますが、セットの中盤や終盤のブレークポイント、デュースやアドバンテージの場面は仕掛けるチャンスでしょう。要は、自分が絶対にほしいポイント、相手が絶対に落としたくないポイントです。

 それをわかっていない人は「この場面でそんなリスクをかける?」というプレーをよくします。リスクを背負うタイミングがずれているのです。どのポイントもアグレッシブに戦わなければいけませんが、少ないチャンスの中から“ここぞの一撃”を冷静に見極めてください。

6|ただ淡々と一本調子で戦っていないか?

同じリズムではなく「波」を起こせ!

上の選手との対戦に限らず、負けている選手の特徴として一本調子になってしまうことがあります。試合をあきらめたり、投げやりになっている選手はこうなりがちで、「ただ、なんとなくプレーしている」選手も同じです。

 とにかく波を起こしましょう。戦い方にアクセント、強弱をつけるのです。スライスやドロップショットを打ったり、サーブ&ボレーを仕掛けたり、徹底的に中ロブを使うなどして、相手に「おや?」と思わせることができればしめたもの。

 そのときに注意してほしいのは、ただ闇雲に波を起こすのではなく、試合状況を見極めてショットを選択をすることです。自分は今、どうしてポイントを失っているかを考え、長引かせたほうがいいのか、逆に早めに仕掛けたほうがいいのかなどの状況判断が重要です。ルールの範囲内であれば、間をとったり、逆に早くしたり、時間の使い方からも一本調子を防ぐことができます。

 一生懸命に戦っているけど、いつも同じリズムでしか戦えない選手は多く、それでは格上の選手を倒すことはできません。積極的に波を起こし、相手が嫌がるプレー、リズムを仕掛けていってください。

格上の選手は簡単にポイントを与えてくれない。ミスをさせるためにも波を起こそう

実践アドバイス4
格上にとって不気味な選手となれ!

 逆に自分が第1シードになったとき、どんな相手と対戦したくなかったかと言えば、何を考えているのかわからないけど、実はよく考えてプレーしている不気味な選手です。

 強打してきたと思ったらロブを打ってきたり、急にネットへ出てきたりと、相手のプレーが読めないときが一番やりづらく、よくポイントを落としていました。何をしたいのかがわからず、こっちが逆に考えすぎてしまうのです。

 やりやすかったのは、勝手に自滅してくれる相手だったり、プレーの引き出しが少ない相手。そしてすぐにあきらめてくれる相手。攻撃的な相手でも、粘り強い相手でも、単調で変化に乏しい相手というのは「おや?」と考える必要がなく、余裕を持って試合ができたように思います。

7|自分のプレーで負けたら仕方がないと思っていないか?

勝利にもっとも近づけるプレーに徹しろ!

上の選手を倒すには、自分のプレーを出しきることが必要ですが、逆に自分のプレーをかなぐり捨てでも、勝つためのプレーに徹することが求められます。

 簡単に言えば、格上の相手が嫌がっていることを察知し、そこを徹底して突いていくこと。「それは自分のテニスではないので…」とか「自分のリズムが逆に崩れてしまっては…」と思っているうちは金星は手にできません。それは負けたときの言い訳です。

 自分のプレーができたなら負けても納得がいく。それも一理ありますが、自分のプレーができなくても、勝てる可能性の一番高いプレーを追求していくことです。誰に何を言われようが、なりふり構わずの気持ちがあるかどうか。格上の選手にとって、こういう姿勢で向かってこられる相手ほど嫌なものはありません。

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