96年ぶりの快挙! 錦織圭が3位決定戦でナダルを下し、銅メダル獲得 [2016リオ五輪]
ブラジルのリオデジャネイロで行われたオリンピックテニスは2016年8月6日から14日までオリンピック・テニスセンターで行われ、日本からは6人が出場。注目の錦織圭(日本)は準決勝で敗れたものの、3位決定戦でラファエル・ナダル(スペイン)を下して日本勢96年ぶりのメダルを獲得した。【2016年10月号掲載】
構成◎編集部 写真◎Getty Images
1回戦/8月6日|オープニングマッチに登場
ウインブルドン4回戦を左脇腹痛で途中棄権し、リオ五輪出場も危ぶまれていたが、7月下旬のマスターズ大会のトロントから復帰。ただ、ここはリオ五輪に向けてどれだけ戦えるのか、無理をせず、調整を考えての出場と思われたが、快進撃で勝ち上がった。優勝は王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に阻まれたが、マスターズ大会2度目の準優勝。大きな自信を持ってのリオ入りとなった。
どんなトーナメントであれ、初戦は少し硬くなってしまうものだ。ましてやオリンピック。しかし、センターコートの第1試合に登場した錦織は世界33位のアルベルト・ラモス ビノラス(スペイン)をストレートで下し、日本勢96年ぶりとなるメダル獲得に向けて好発進を切った。
第1セットは第3ゲームで早々にブレークに成功。テンポのよいストロークで試合の主導権を握ると、第7ゲームでもブレークに成功し、第1セットを6-2で先取。第2セットはラモス ビノラスも奮闘したが、実力は錦織が一枚も二枚も上手だった。4-4からの勝負どころでギアを上げ、6-4で決着をつけた。
「プレーの感覚はよくて、安定していた。少し重圧もあったけれど、これからピークに持っていきたいと思います」
過去の2度と違い、開会式は出なかった。思い出づくりは要らない。3度目の五輪は本気でメダルを狙いにいっている。まずは手堅く初戦を突破した。
2回戦/8月8日|初対戦の相手に苦戦も鮮やかに逆転
2回戦の相手はジョン・ミルマン(オーストラリア)。これといった武器はなく、手堅いストロークが持ち味の27歳だ。錦織にとってやっかいだったのは、初対戦でミルマンの情報があまりなかったことだ。そうなると、どうしても序盤は様子見になる。先にサービスをブレークされ、第1セットは1-4から2-5とリードを広げられた。
しかし、4-5からの第10ゲームでブレークバックに成功。5-5に追いつくと、そのままタイブレークへと突入する。ミルマンの強打に押され、ポイント0-4の苦しい展開となったが、ここから一気の7ポイント連取でタイブレークをものにした。
第2セットも2-4とリードを許し、第1セット同様、追いかける展開に。しかし、欲しいところで確実にポイント、そしてゲームが取れるのが今の錦織だ。最後は2-4から4ゲーム連取で勝利をつかんだ。暑かった1回戦とは違い、この日は涼しいナイトマッチ。「温度差に苦しんだ」と口にしたが、それでも勝利は譲らなかった。
3回戦/8月11日|強風の中、66分で余裕の勝利
ベスト8入りをかけた3回戦は雨で一日延びた。ずいぶんとロッカールームで待たされたが、他の競技をテレビで見ながら過ごした。体操や7人制ラグビーの日本代表を応援し、その活躍に刺激を受けたようだ。
3回戦は意外な相手となった。世界ランク121位のアンドレイ・マルティン(スロバキア)。錦織との対戦になると思われた第13シードのフィリップ・コールシュライバーは右足の負傷で棄権。マルティンが戦わずして勝ち上がってきた。強い風に苦しんだが、それは相手も同じこと。大金星を狙うマルティンに対し、それでも錦織はスタートから落ち着いたプレーで圧倒し、4ゲームしか与えずに快勝した。
「今までで一番風が強かった。やりにくかったけど、我慢してプレーすることを心がけました。やっとここまで来た感じ。次からが勝負になると思います」
ロンドン・オリンピックに続く2大会連続のベスト8入り。だが、もうこの成績では満足できないほど錦織の実力は上がっている。金メダルまで、あと3つ。
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