広瀬一郎_書籍『スポーツマンシップを考える』_連載最終回_スポーツマンシップをどのように教えるか?

4|スポーツマンシップと成功の関係を説明しましょう

 若いプレーヤーたちには、勝利することだけがスポーツにおける成功ではないということを認識させて、スポーツマンシップに基づかない勝利は、うわベだけのものであるということを理解させましょう。同時にチーム、競技へ敬意を払い、同様にプレーヤーと監督の間で敬意を払い合うことが、結果的に勝利に近づいていくことを選手たちに説明してください(第一章その10参照)。

5|普段からスポーツマンシップという言葉を口にしましょう

 スポーツマンシップという単語は、普段のコーチングの中で常に使うことが大変重要です。最初のミーティングでもこの言葉を忘れないようにしてください。言葉の持つ重みを重視しましょう。試合だけでなく、練習のときからスポーツマンシップを求めましょう。

6|スポーツマンシップを実践・強化するチームの決めごとを設けましょう

 スポーツマンシップという原理について語ることももちろん重要ですが、あなたが期待することを自らの言葉で語ることのほうがもっと実践的で有効です。そこで、良いスポーツマンシップを実践し、進展させるようなチームの約束ごとをつくりましょう。

 勝つためには常に100%の努力が必要であると同時に、対戦相手、チームメイト、そして試合に敬意を払うことの重要性を説明してあげてください。プレーヤーたちが対戦相手や、関係者、そしてお互いどうし、どのように接することを期待しているのか。可能な限り具体的に示したほうがいいでしょう。

 そしてタイミングを見はからって、チームとしての約束ごとをつくるのも効果的です。“試合後の握手”のように簡単につくれるものもあります。その
他にも状況に応じてつくっていきましょう。プレ一ヤーたち自身が提案することも積極的にうまく取り込んでいきましょう。

7|他の競技者の視点を持つことを推奨しましょう

 スポーツマンシップでは自分以外の立場や、あるいは一歩引いた客観的な視点を持つことが要求されます。これは子供を教育する際、親が「他の人があなたにそんなことをしたら、あなたはどう思う?」と諭すことに似ています。自分達は、対戦相手や関係者たちから、どう思われたいのか、話し合ってみてください。

8|反スポーツマンシップ的な行為に対するガイドラインを明確に

 スポーツマンシップに反する行為に対して、自分たちがどう対処するか、シーズンの初めから話し合い、明確にしておきましょう。冷やかしや、勝利を相手にひけらかすような侮辱的行為、審判と口論することなどを許さないと決めたのであれば、プレーヤーたちに、そのような行為を行ったらどのような罰則を受けることになるか、具体的に伝えておきます。そして、その罰則規定を書き出し、ペナルティーの内容は最終的にはあなたが判断するということを説明しておきましょう。

9|良いスポーツマンシップをほめましょう

 良い態度をほめることで、それが重要であることを、まわりのプレーヤーに認識させましょう。一番わかりやすいのは、競技をしている最中にほめることです。シーズンの最後にチーム表彰として、スポーツマンシップ賞を入れておくのもいいアイデアかもしれません。

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles