ジュニア選手の親必見! コリ・ガウフの両親が実践する“ネクストセレナ”の育成方法

両親から受け継がれたアスリートの血

 セレナやビーナスと同様、ココも両親から優秀なアスリートの血を受け継いでいる。身長176cm、体重72㎏と体格に恵まれ、今も身長は伸び続けている。ジョージア州大学でバスケットボールをプレーしていた188㎝の父親と、もともとは陸上の選手で、現在は体育教師を務める母親のキャンディはともにスポーツ万能だ。

 ココがウインブルドンで記録したサービスの最速記録は時速193㎞。これは女子全体の中でもセレナの201㎞、ビーナスの198㎞に次ぐ3番目の速さだったのだ。

 ココは11歳から12歳の頃にバスケットボールと陸上(5000m走など)に打ち込んでいた。その後はテニスの比重が大きくなり、掛け持ちできなくなったが、それでもほかのスポーツから多くのことを学んだ。「バスケットボールと陸上の経験は大きな助けになっている。テニスのほうが好きみたいだけど、優勝するために必要なトレーニング、練習法などはとても参考になったみたい」と母親のキャンディは振り返る。ココはハンド・アイ・コーディネーション、スピード、アジリティの高さなど他競技で身につけた能力をテニスに生かしている。

 フレンチ・オープン・ジュニアのチャンピオンシップポイントで見せた、ジャンピングボレーが証明するように、彼女の運動能力はすでにWTAのトッププロと比較しても遜色ないものだ。「私はいつも、ココはワールドクラスの身体能力をもっていると主張してきた。そして今、ココはその能力を強いテニスプレーヤーになるために、変換しようとしている。

 もし彼女が陸上を選んでいたら、大学でトップクラスの選手になり、オリンピックに出場する可能性もあったはずだ。私自身もバスケットボールの経験があるが、彼女の能力なら、WNBA(アメリカの女子プロバスケットボールリーグ)の選手にもなれただろう。彼女は速筋が強く、スピードやクイックネスの能力は非常に恵まれている」とコリーは娘の能力を絶賛する。

ココの身体能力の高さはワールドクラス

 ただし、どんなに身体能力が優れていようとも、テニスのプロツアーでトップとそれ以外の選手を分けるのは、最高級のグラウンドストロークとフットワークだ。この点において、ココは当然発展途上にあるが、特に目立った弱点がないのはとてもよい傾向だ。

「彼女はすべてにおいて、安定感がある。アグレッシブなベースライナーだけど、ポイントをネットで終わらせようとする。強力なサービスで簡単にポイントを奪うこともでき、3本目攻撃も得意だ。すべてのショットは改善の余地がある。特にネットプレーは大きな課題だろう。そのためにはハンドスキルが重要になる。彼女のテニスへの大きなモティベーションは、勝利への飽くなき欲求、戦う意志だ。彼女はリードしていようが、リードされていようが、すべてのポイントでファイトできる。そのことが、調子を落とす時間帯にも大きな助けになっている」と父コリーはプレー面での課題と、精神的な強さについて語った。

 それらの穴をなくすために、ココは定期的にムラトグルーのアカデミーを訪れている。何人かのコーチがココの練習を担当する中、ムラトグルーがフルタイムコーチであるコリーに、コーチとしての指導法を伝授している。ガウフ家はアカデミーに2、3週間滞在し、ウインブルドンのあとは、より長い期間をそこでトレーニングを受けながら過ごした。

 テニスというスポーツでは時折、“悪いパパ”たちによって、才能が汚されてしまうこともある。口汚いジム(マリー・ピアースの父)、暴力的なマリンコ(ミリヤナ・ルチッチ バローニの父)、鈍感なステファノ(ジェニファー・カプリアティの父)、自己破壊的なペーター(シュテフィ・グラフの父)。だが、コリーは、妻の手助けを借りながら、ここまでは彼らのような過ちを犯さずに済んでいる。

「私は2人の橋渡し役のようなもので、女の子をコーチするのに欠かせない役割なの。男性は、自分が女子を指導していることをしばしば忘れてしまう。だから、女子は男子とは違うんだと理解させることが必要なの。私は教師をしているおかげで、子供を教育する経験ならある。だから、指導法では彼をサポートしないといけない」とキャンディは自分の役割について話した。

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