ジュニア選手の親必見! コリ・ガウフの両親が実践する“ネクストセレナ”の育成方法

最良の理解者である、母キャンディ

 キャンディが娘にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけるのか?

「女子と男子では接し方を変える必要がある。女子は父の言うことは心に響くけど、コーチの言葉はまた別。だから、私は夫に対してココと話すときは、なぜその話をするのかを論理的に説明するようにアドバイスしている。そしてリラックスして話すようにとね」と年頃の女子と話す難しさを解説する。

 エバート、オースチン、カプリアティ、シャラポワ、モニカ・セレスと過去の天才少女たちと同じように、試合で冷静に勝利に徹することができるココは、まるでベテラン選手のようにビッグマッチの重圧に対処してしまう。「プレッシャーのかかる場面でも落ち着いて、自分のゲームプランに集中することを学んだ」とココは言う。

「ココは自分の性格を使い分けなければならない。オンコートでは、彼女はいつも年上と接してきたから、そのレベルに合ったマインドセットと決断が必要になる。でも、オフコートでは他の同年代の少女と同じように、成長過程にある。彼女は人生を楽しみたいだろうし、楽しい時間を過ごしたいと思っている。でもコートの上では真剣に仕事としてのテニスと向き合わなければならない。規律正しくないといけない。両方の場に適応するため、オンコートとオフコートでは違った顔を使い分けている」とキャンディはココの両面について語った。

 ココの成長にとって欠かせないもうひとつのカギは、しっかりつくり上げられた家族生活だ。彼女はここで普通の少女として思春期を過ごす必要がある。自宅で学習する優等生で、言語のコースや数学では同年代よりも先に進んでいるようだ。

「一番好きな科目は科学。実験をするのが大好きなの」とココは無邪気に笑う。

「勉強でもテニスでもうまくいくためには、自宅学習が最適な選択だった。おかげで練習時間も多く確保できている」とキャンディはその利点を話す。ただ、ココはただ単に何時間にもわたってボールを打ち続けているだけではない。日々の生活も大事にし、地域の人々との関係も大事にしている。

「彼女は普通とは大きく異なった環境に置かれているから、なるべく普通の幼少期を送れるように、細心の注意を払ってきた。それはつまり、テニス以外の生活を疎かにしないということ。教会のダンス教室や合唱団、兄弟らと地域の行事に積極的に参加し、野球の試合のウグイス譲を務めたり、地域の人々との関わりをなるべくもつようにしている。彼女は幸運にも大きな家族のような人々に囲まれているから、テニス以外にも貴重な経験を積んでいる」とキャンディは、テニス以外の生活の重要性を説く。

 キャンディとコリーはココのフィジカルコンディションを、いつも気にかけている。あまりにテニスばかりを押し付けてしまうと、80年代前半に登場したアンドレア・イエガーやオースチンら10代のスターのように、ケガに悩まされ若くして引退を余儀なくされることを、2人はよく心得ている。

「ウエイトなど特別なトレーニングはさせていない。彼女の体はなるべく自然に大きくなってほしいから。休養もできるだけとれるようにしている。クロストレーニング(複数種目の運動で全身をバランスよく使う練習法)や、ほかのスポーツにも積極的に取り組んできた。そこではテニスに直結する能力よりは、ほかの選手と競争する力を養ってきた。デルレイビーチでは、私たちはそれを『心の内側に闘争心に溢れた犬を飼う』と表現する。それが私たちの目的。彼女がどんな状況に置かれても“戦える”ようにね。誰よりも勝ちたいと思う者は、自分のすべてのストロークを駆使して、相手を打ち負かそうとするもの」

 ココの絶対に諦めないメンタルは、おそらくセレナと比べられるようになるだろう。特に、ビッグポイントを取ったときの“カモン!”はセレナを彷彿とさせる。「彼女はとにかく戦うのが好きなの」とキャンディは言う。

 テニスの目標を問われると、ココはセレナのような野望を打ち明けた。「目標はグランドスラムで優勝してナンバーワンになること。とにかく一番になりたい!」とココは自信に満ちた表情を浮かべた。

 次代のセレナになることを期待されるアメリカの天才少女について、自身のアカデミーに受け入れているムラトグルーは、オムニスポーツのインタビューで次のように語った。

「彼女はファンタスティックだ。彼女はトップの中のトップになれる逸材だ。彼女の才能を信じているよ」

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