岡村一成プロが教える“テニスノート”の活用術

試合内容や反省点を自己分析するためにつける“テニスノート”。日々欠かさずノートを書くという岡村一成プロに、始めたきっかけや使い方について聞いた。岡村一成プロが教える“テニスノート”の活用術【テニスマガジン2017年11月号掲載記事】

「やるべきこと」が頭の中で整理され、成長スピードが上がる

 テニスノートを書き始めたのは小学生のときです。当初はテニス漫画『ベイビーステップ(週刊少年マガジン・講談社)』の主人公・エーちゃん(丸尾栄一郎)のように、コート図を使って戦術的なことも書きましたが、そのやり方は合いませんでした。高校ぐらいまではその日の気分で書く程度で、最初からテニスノートをうまく使っていたわけではありません。

 定着したのは大学時代。地元の高校から早稲田大学へ進み、環境が一変しました。先輩や同年代、下から入る後輩のほとんどがジュニア時代から全国的に有名選手たちばかり。日々の練習から得るものが多く、土橋登志久監督(当時)からアドバイスをいただける機会もあって「死んでも聞き逃すまい」と必死でした。これをきっかけに気がついたこと、アドバイス、反省点をノートにつけ始めました。

テニスノートが定着したのは大学時代。写真は、早稲田大在学時の14年大学王座で日本一に輝いたときのもの。(岡村選手は前列右から2番目)

 テニスノートを書くようになってから、練習への取り組み方も変わったと思います。特に反省点を文字にしたことで、前日から「明日は何をすべきか」「どの部分を修正しよう」など、やるべきことが明確になります。

 さらに技術や戦術の理解も早くなり、チーム内のライバルたちとも競い合うことができるようになりました。この経験が、卒業後のプロ転向にもつながったと思っています。

 テニスノートの使い方は、人それぞれです。例えば、僕の場合、試合中はほとんど読み返しません。エンドチェンジのときは水分補給や栄養補給など、やらなければならないことが多いので、そちらを優先しています。

 読み返すときは、主に試合前や前日の夜などです。「今日(明日)の試合はどんなプレーをしたい、もしくはすべきか」と考えるとき、確認したいとき、決めかねているときに目を通します。

 今回は、僕が普段から利用するテニスノートを紹介しながら、実際にどう書き、テニスに活かしているかを説明していきます。ただ、僕自身もまだ模索中。これが完璧ではありませんし、もっと読みやすくできたらと思っています。

 テニスを続けると調子が悪い時期もありますし、自信をなくしてしまうこともあります。テニスノートをせっかく書くなら、自分が苦しんでいるときに「これがあれば大丈夫」と頼れるものにしていきましょう。

MEMO①テニスノートは自分と対話する場所

僕のテニスノートは、メンタル面をより明確に書きます。ただ「悔しい」と書くのではなく、「なぜ、ダメだったのか」「次にどうすればよくなるのか」など、最終的に前向きになる書き方をしています。これで次の練習もフレッシュな気持ちで臨めます。テニスノートは、自分と対話する場所だと思っています。技術や戦術を振り返るのもそうですが、その日の感情なども書きながら、気持ちを切り替える場として使っています。

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