全日本学生テニス連盟が主催する「2020年度全日本学生テニス選手権大会（男子88回／女子64回）」（三重県四日市市・四日市テニスセンター／11月17～24日／ハードコート）の大会6日目は男女単複の準々決勝が行われ、各種目のベスト4が出揃った。

　第6シードの阿部宏美（筑波大2年）は第13シードの大野菜々子（関西大4年）に6-1 3-6 7-5と勝利。前日の神鳥舞（早稲田大1年）戦に続くフルセットマッチに阿部も「まだ試合の感覚が取り戻せない状態」と苦しんでいる。

　コロナ禍の影響で、今大会は3月以来の実戦の場となる。大野との準々決勝も競り始めると消極的な一面も顔をのぞかせたが、それでも相手の様子をしっかりと観察していた。「（大野が）すごく疲れてそうだったので、自分から攻めるよりもミスをさせようと考えてプレーした」。決して満足のいく内容ではないが、その中でも勝利を手繰り寄せる強さはさすがだ。

　阿部が次戦で対戦するのが1年生の山崎郁美（亜細亜大）。山崎は関西学生を制した第7シードの伊藤沙弥（立命館大4年）に6-4 7-5と、今大会のオールストレート勝ちを継続させた。


1年生の山崎が全試合ストレート勝利でベスト4入り

　同期の吉川ひかる（亜細亜大1年）が2回戦で伊藤に敗れていたこともあり、前日には「同期のためにもリベンジしたい」と語るなど気合い十分。山崎はこの試合もテンポよくポイントを積み重ねた。

 　第9シードの伊藤日和（同志社大3年）は第1シードの松田美咲（亜細亜大4年）を6-4 4-6 6-1で破り、昨年のベスト8を上回る成績をマーク。松田の強力なストロークに対し、フットワークを使いながら的確なショットメークで試合を制圧した。

　第2セットまではお互いに持ち味を発揮する展開となったが、最終セットは伊藤が流れを掴んだ。敗れた松田が「考えるプレーができなくなり、（試合の）組み立てすらできなくなった」と悔やむほど、伊藤のプレー精度は最後まで高かった。


松田（右）との試合に勝利した伊藤

 　準決勝最後の1枠は第3シードの平田歩（慶應義塾大3年）が掴み取る。千村もも花（筑波大4年）との試合は第1セットを平田、第2セットは千村が奪う展開へ。

　最終セットも0-2とリードを許したが「後悔したくない」と奮起した。4-4から千村のサービスゲームをブレークし、第10ゲームのマッチポイントでは好調のサービスでフリーポイント締め。2年ぶりの4強入りを決めた。

　攻め急がず、しっかりとラリーを打ち合いながらチャンスをものにした平田。1年生のとき以来のインカレベスト4入りにホッとする一方、昨年のインカレ室内も含め、これまで大学テニスの「準決勝の壁」に阻まれてきた。

 「ベスト4はうれしいけれど、これまでの悔しい想いも大きいので、優勝を狙って頑張りたい」と改めて気持ちを入れ直した平田。トップシードを破ってきた伊藤との次戦も楽しみだ。


千村とのロングマッチを制した平田

　準決勝は伊藤vs平田、山崎vs阿部の対戦カードに決定した。伊藤と平田は3年生同士の対戦、山崎と阿部は1、2年生の対決となる。また、阿部はダブルスでも準決勝に進出しており、2冠の可能性を残している。

　大会7日目の11月23日(月)は10時00分から、男女単複の準決勝が行われる予定となっている。