ボブ・ブレット 「Tennis is my life」【インタビュー再掲載】

2021年1月5日に逝去されたボブ・ブレットさんへ、安らかにご永眠されますよう心よりお祈りいたします(テニスマガジン編集部)

[インタビュー]  Bob Brett

Tennis is my life…

選手の個性を重んじ、その才能を最大限に引き出すという考え方は指導者の言葉として当然だろう。しかし、それは言うほどたやすいことではない。

目標に到達するまでの間、個と個は向かい合い、ぶつかり合い、情熱と努力を継続し続けなければならない。

今、ボブ・ブレットは日本のテニスと真摯なまなざしで向かい合っている。彼の言葉にはテニスが傍にある喜びが満ち溢れていた。【2003年11月16日、修造チャレンジ・トップジュニアキャンプ中にインタビュー/テニスマガジン2004年3月号掲載記事】

ボブ・ブレット◎1953年11月13日、オーストラリア生まれ(享年67歳)。プロテニスプレーヤーとしてサーキットを転戦したのち、故ハリー・ホップマンに見出され、プロコーチとなる。ツアーコーチとしての活躍はトッププレーヤーの集団ロシニョールチーム・コーチに始まり、ボリス・ベッカー(ナンバーワンになるまで)、ゴラン・イバニセビッチ、アンドレイ・メドベデフ、ニコラス・キーファー、マリオ・アンチッチ、マリン・チリッチら多数におよぶ。また松岡修造の恩師でもあり、松岡がプロへ進むきっかけもつくった。松岡と築いた師弟を超えた友情から、日本テニスとのかかわりは深く、デ杯日本代表チーム・スーパーバイザーを務めたこともある。また、修造チャレンジ・トップジュニアキャンプの指導は20年以上継続し、日本男子の底上げに尽力。今の日本テニスへとつなげた。

インタビュー◎青木和子 写真◎菅原淳 
※敬意をもって「ボブ」と呼ばせていただきます。

子供たちが5、6年先に、世界中どこへ行ってもプレーできるレベルにもっていきたい。

ーー4年目の修造チャレンジでしたが、2003年はどのようなアイディアをもって行いましたか?

ボブ 前回のキャンプはA(16〜18歳)、Bグループ(14〜16歳)、今回はB、Cグループ(13歳以下)が参加したが、Cは特に年齢が低かったため(最年少で11歳の内山靖崇)、その分、基本的なテクニックの指導が多くなった。キャンプ後半になるとBが入ってきて、彼らは前回指導していたため内容を理解しており、身体のサイズが大きくなっていたので、これまで行ってきた基本テクニックをいかに組み合わせてゲームにつなげるかということを目的に練習した。特にボレーを多く練習したのは「攻めるテニス」をしていく上で、ネットに詰めるポイントのパターンを増やしたいと思ったからだ。

ーー特に注意しておきたい基本テクニックはありましたか。

ボブ いつも非常にむずかしいことだと思っているのが、私のフィーリングが活字になったとき、その中から選手が自分に合ったものを選んでいけるかどうか、自分にとって一番大切なことは何か、優先順位を自分でつけられるかどうかということだ。それは思うよりむずかしいことで、だからこそ私の仕事がある。もちろんシンプルなポイントは言える。しかしテニスはいくつもの要因が複雑に絡み合うスポーツであって、そこがコーチングとしてむずかしいところだということを言っておきたい。

ーーわかりました。ボブさんが最初に大切にするというフィーリングですが、どんな点を見て、どのように感じるものですか。

ボブ 私はまず打球を見ている。どんなときでも選手にまずボールを打たせて、そのボールがどのように飛んでいくか、選手がどのあたりを狙っていて、それがどこに落ちてどう伸びるのか、結果を見る。それに対して選手がどう感じているかも見る。そのとき大切になるのがヒッティングポイントだ。サービスでもフォアハンドでもボレーでも、その形が悪ければ将来的に成長は絶対ない。そうしたことを協調して見ていくことが最初のステップだ。そこから将来に至るまでの過程を見ていくことに続いていく。

ーーキャンプの中でもお話がありましたが、例えば松岡修造さんが若い頃、フォアハンドのテークバックがとても大きかったということでした。それに対するあなたのアイディアはどんなものでしたか。

ボブ 修造は当時、いいボールを打っていた。しかし私は将来的に、相手が速いボールを打ってきたり、低いボールを打ってきたときに修造がどのような対処をするかを考えて、チェンジしなければならない部分があると考えた。修造の場合は、ヒッティングポイントは変えずに、大きなテークバックを小さくして、多少のアジャストメントが必要だった。私は常にそのプレーヤーが将来グッドプレーヤーと戦ったときどういう結果が生まれるかを考えている。そのとき、その対戦が成り立たないテクニックと考えたなら、それは無理が出てくるということだから、チェンジが必要になる。ただし目指すテニスによって将来イメージするテニスは違うから、そこも一概に言うことはできないが。

ーーボブさんが考えるグッド・テクニックのポイントとは何ですか。

ボブ 例えばサービスで考えてみよう。もっとも大切なのは「バランス」と「グッド・ヒッティングポイント」だ。バランスは身体の軸(縦軸と横軸でできる)=「T」がどうなっているかを見る。多くのプレーヤーは腕のスイングでバランスが崩れていることをごまかしているようだ。正しくは野球のボールを投げるように、身体の「T」をクルリと回旋することだが、しかし、足の使い方が悪く「バランス」と「ヒッティングゾーン」が崩れていることが多い。そういうテクニックを見る上で、間違いが見える方法が足を固定してボールを打たせるという方法。シンプルな形にして、見るべきポイントを見るようにすることだろう。

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