ボブ・ブレット 「Tennis is my life」【インタビュー再掲載】



そのプレーヤーが将来グッドプレーヤーと戦ったとき、どういう結果が生まれるかを常に考えている。

ーー「攻めるテニス」をするために、重いボールを打つということが、今回のキャンプのテーマだったと思いますが。さまざまなキーワードがありましたね。

ボブ 選手がボールを打つ順番にキーワードを挙げていこう。プレパレーション(準備)、バランス、ヒッティングポイント(ハンドポジション)、アクセレレ—ション(加速)、フォロースルー。そしてそれらのコーディネーション(協調性)によって、どんな軌道でボールが飛び、どの辺に落ちて、どのくらい弾むかが決まる。それらすべてが組み合わさって重いストロークは生まれるんだ。

ーーフットワークに関しても、今回は特に重要なキーワードがあって、例えばより攻撃的にベースラインの内側へ入るステップなども指導していました。

ボブ 確かに前に踏み込むという指導もしたが、この考え方の基本は次のようにとらえてほしい。ベースラインの後ろでボールを落として打っていく癖をつけることは、インターナショナルに行ったときに自分から主導権を握るテニスができないということなんだ。ボールを落として打つテニスは、相手が打つのを見てから行動するスタイルだ。そうすると、相手のボールに合わせるために、技術的に新しく加えていくことがむずかしく、特にボレーにつなげにくい。なぜなら自分から攻撃することがないからだ。

 しかし、自分が主導権を握るために、例えばボールを前でとらえるフットワークを行えば、それは運動的にたいへんなことかもしれないが、その一方で常に積極的なメンタリティーをつけることにつながる。その中でボールをしっかり打ち抜くテニスができるようになれば、相手に大きなダメージを与えることになり、それが今度はポレーにつながりやすくなり、流れができるんだ。

 日本のテニスは相手に合わせるからミスが少ない。しかし、その代わり、そういうメンタリティーをつくってしまうことになり、積み上げることがむずかしいと感じている。だからこそ、前に踏み込むようなフットワークの指導を取り入れたんだ。

ーーそうしたアタッキングゲームのアイディアは、最近のテニスの影響、そして将来のテニスを考えてのものでしょうか。

ボブ ノー、私はこれまでも攻撃的なゲームを目指してきた。それはハリー・ホップマン(故)も言っていた。ポイントを取りにいくというメンタリティーはずっと昔から持ち続けていたものだよ。ただし時代は変わり、ラケットが軽くなって、大きくなって、ポジショニングが以前よりもベースラインに近づいて操作できるようになったのも事実。それでも昔からそういうメンタリティーだったんだ。そのベースは変わらない。

 ただしプレーヤーをどこへ押し上げていくかを考えるとき、今ならアンディ・ロディックのテニスが最先端だろう。彼を見てどの部分が将来のテニスにつながっていくかをうまくチョイスして見ていくことが必要になるんだ。すべてをコピーすることは得策ではない。

ーーどんな点を大事に見ますか。

ボブ さっきも言ったが、日本の選手はベースラインの後ろでうまくプレーする。できるだけ危ないことはしない。しかし、そこで考えなければいけないのは、彼らがインターナショナルで勝つことを目的にしているということだ。海外へチャレンジに行って負けて帰ってくる。そのとき「なぜそういう結果になるのか」を考えなければいけない。それをひとつひとつ考えていくと、何をしなければいけないかが必ずわかってくるはずなんだ。

 だが、私がそこでもっとも問題だと思うことはコーチの指導方法である。負けたことによって、「できるだけミスをしないように」と思ったり、「身体が小さいから…」と言い訳をつける。それが大きな問題だと思う。スタートの時点でコーチの考え方が間違っているから、教わる選手も同じ思考になっていくのだ。コーチは選手よりも思考が先に進んでいないといけない。だから世界のテニスを見て、いいモデルを見て、今のテニスはどうなっているのか、将来はどうすればいいかを常に探すのだ。どんなにいいテクニックを持ったコーチがいたとしても、その姿勢がなければたぶんそれは選手に伝わることはないだろう。

ーー日本のテニスの話題になったので、デ杯のことをうかがいます。スーパーバイザーとして、現時点の指導を聞かせてください。選手とどのようなかかわりを持っていますか。

ボブ 来年(2004年)の目標はワールドグループに入ることがゴール。それを達成するためにチームとして、また各選手と何が必要かを考えている。各選手とはよりコミュニケーションがとれるようになってきて、スケジューリングのアドバイスも行っている。

 私がよくなっていると感じる点を具体的に挙げると、まずJTA(日本テニス協会)がプラクティスウィークというものをつくってくれたおかげで、選手がまとまって行動できるようになった(例として2004年オーストラリアン・オープン予選前に同会場でプラクティスウィークを設定)。そこでは予選のための練習をしたり、多くのゲームを観ることで、みんなで課題を明確にし、克服するということにチャレンジできる。みんながそのプラクティスウィークの意味を理解するようになれば、いっしょに前に進むことができるので、よりゴールに到達する確率は上がるだろう。それが、とてもいいと思っている。

ーー特にグランドスラムの会場で行うプラクティスウィークに言えると思いますが、日本のテニスの強化であると同時に、インターナショナルの中での強化という意味合いも深いようですが。

ボブ もちろんデ杯前にはデ杯に勝つという明確な目的があるので、デ杯出場選手に限っての練習になるが、プラクティスウィークには、デ杯選手だけでなく、プラス6〜8人のエキストラの選手を加えることができるので、強化につながりを持たせることができるんだ。みんなデ杯だけを目標に戦っているわけではなく、グランドスラムも目標にしている。デ杯だけならアジアの選手のことを考えればいいだろう。しかしそうではないから、グランドスラムの会場で練習機会をつくることで、ヨーロッパや南米などインターナショナルの選手と同じ空気の中に身を置いて、どうやってもまれていくかというプランが立てやすい。そのようなつながりがここ1、2年でどんどんよくなってきた。これは世界に近づくキーのひとつではないかと思う。

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