ジョコビッチがティアフォーの奮闘に賛辞「僕をここまで追い詰めたのは彼の功績」 [オーストラリアン・オープン]
フランシス・ティアフォー(アメリカ)は一度も世界ランク1位の選手とプレーしたことがなく、これまでにトップ5の選手を倒したこともなかった。しかし彼は世界ナンバーワンからタイブレークを奪取し、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対する男子シングルス2回戦の試合をセットオールに持ち込んだ。
観客を煽るような動きをしたあとにティアフォーはコートサイドのベンチに腰を下ろし、「いいぞ、こういうのは大好きだ!」と観ている誰もがすでに知っていることを口に出して言った。
それは第4セットの極めて重要な場面まで続き、キープし合って3-3からティアフォーのサービスゲームで30-30となったときに事態は一変した。そこでティアフォーはタイムバイオレーションを取られて冷静さを失い、最終的にそのゲームを落としてしまった。そして彼は、そこからもはや1ゲームを取ることもできなかった。
2年前の同大会で8強入りした23歳のティアフォーは、8度オーストラリアン・オープンを制したジョコビッチに対してすべてを尽くして果敢に挑んだ。そして彼のその奮闘は間違いなく観客を魅了したが、それも十分ではなかった。前年度覇者はその午後のロッド・レーバー・アリーナで3時間半の戦いの末、最終的に6-3 6-7(3) 7-6(2) 6-3のスコアで勝利を掴んだ。
「正直なところ、僕は自分が試合を壊したように感じた…。そして彼はそれを奪い取って逃げていったんだ」とティアフォーは振り返った。
「彼には脱帽だよ。せっかく質の高いいい試合だったのに、酷い終わり方になってしまった…」
その試合をダブルフォールトで終えたあとにティアフォー頭を振り、それからネットに向けて走っていくとジョコビッチと抱擁を交わした。彼はこの試合から多くを学ぶだろう。彼は自分にはこのレベル戦う力があると分かっていると言った。
「彼は僕を限界まで追い詰めた。彼は非常に俊敏な選手だ。次に何がくるか予想がつきにくい。この戦いを乗り越えることができて本当にうれしいよ」とジョコビッチは試合後にコメントした。
お辞儀をして手でコートに触れたジョコビッチは、それからいつもの祝いの仕草に入った。
「非常に厳しい試合、難しいコンディションだった。太陽がコートを照らしている間、非常に暑かった。多くの長いラリーがあった非常にタフな戦いを見せたフランシスに拍手を送りたい。彼は素晴らしい試合をした」
この試合でのジョコビッチは26本のサービスエースを決め、ティアフォーは23本だった。ジョコビッチはウィナー数でも56対49とわずかに勝り、14回あったブレークポイントのうち5本をものにした。対するティアフォーのほうは、3本しかなかったブレークポイントのうち2つを取った。
統計にさっと目を通したあと、ジョコビッチはこれほど多くのサービスエースを打ったことも決められたこともなかったと話した。
「僕をここまで追い詰めて心地悪く感じさせたのは彼の功績だよ」と言ってジョコビッチはティアフォーの健闘を称えた。
オンコートインタビューの中でジョコビッチは、ティアフォーが厳しいコールを受けたことを認めた。暑くて日差しが強い日で、気温は32度にも達していた。そしてティアフォーはそのとき、ちょうど長いラリーが続いたポイントを落としたばかりのところだった。
「ああいうのはアンラッキーなことだ。彼はファーストサーブを打つ権利を得てしかるべきだったよ」とジョコビッチは相手を気遣った。
ティアフォーはのちにジョコビッチがそう認識してくれたことをうれしく思うが、それでも新型コロナウイルス(COVID-19)の規制のためにボールパーソンがタオルを手渡すことができないのだから、ポイント間にもう少し長い時間を使ってもいいように話し合いがなされるべきだと訴えた。
「僕はもっといい対処ができただろうか? 答えはイエスだ」とティアフォーは自分の問いに自分で答えた。
ジョコビッチは次のラウンドで、ライリー・オペルカ(アメリカ)との同胞対決を4-6 7-6(6) 6-7(4) 7-6(5) 6-2で制して勝ち上がった第27シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)と対戦する。(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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