ポラセクの忘れられない週末、2人目娘誕生の翌日にドディグとのペアでグランドスラム初優勝を果たす [オーストラリアン・オープン]

写真は男子ダブルスでタイトルを獲得したイバン・ドディグ(クロアチア/左)とフィリップ・ポラセク(スロバキア)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)は大会最終日を迎え、男子ダブルスと男子シングルスの決勝が行われた。

 フィリップ・ポラセク(スロバキア)は2人目の娘が生まれた翌日にグランドスラム大会で初のタイトルを勝ち獲り、決して忘れない週末を過ごした。

 男子ダブルス決勝で前年度覇者のラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)を6-3 6-4で倒したあと、35歳のポラセクが勝利の雄叫びを上げて相棒のイバン・ドディグ(クロアチア)の腕の中に飛び込んだのも不思議なことではなかった。

 背中と左脚のケガにより2013年に引退して5年間ツアーから遠ざかっていたポラセクは、2018年半ばにカムバックしようと決めるまでジュニア選手のコーチなどをしていたのだ。

「僕は本当の意味でカムバックしようとはしていなかったんだ。それはいい意味でのアクシデントだったと言っていいかもしれないね。どうした訳か起こったんだよ」と打ち明けたポラセクは、「友人がドイツでのクラブの試合でプレーするように僕を説得したんだ。僕はそのとき、以前に抱えて問題をもはや持たないことに気付いたんだよ」と説明した。

 同じころにダブルスのトップ選手だったマイク・ブライアン(アメリカ)と練習したポラセクは、その際に「彼が僕はカムバックすべきだとからかってきたんだ」というエピソードを明かした。

「僕からしたら『とんでもない』という感じだったんだけどね。それからいくつかのことがうまくまとまり、僕は自分が健康だと感じたんだ。だから僕はカムバックにトライしてみようと言ったのさ」

 そう決めてからの彼は収入を諦めて1ヵ月ほどコーチングの仕事を休んだが、それがついに報われたのだった。

 自身にとって初のグランドスラム大会決勝でポラセクは素晴らしいリターンと安定したサービスで勝利のお膳立てをし、このコートの中でもっとも優秀な選手だった。

 この勝利でポラセクはミックスダブルスで4度グランドスラム大会を制したダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)に続き、四大大会で栄冠に輝いた2人目のスロバキア人選手となった。

 メルボルン時間の金曜日夜中に彼のパートナーがブラチスラバ近郊の病院でふたりの2番目の娘を出産したため、ポラセクは土曜日の夜にあまり眠ることができなかった。

「出産に立ち会えなかったのは悲しいけど、ここでこのような形で終われたのは本当に素敵なことだよ」と彼はコメントした。

「娘の写真と動画があるんだ。あの夜、僕はあまり眠れなかったけどね。よかったは1日余裕があったから、決勝前にはよく眠れたということだよ」

 これはドディグにとって、同種目では2015年にマルセロ・メロ(ブラジル)と組んで果たしたフレンチ・オープン続く2度目のグランドスラム制覇だった。

 第9シードのドディグ/ポラセクは試合を通して15回のブレークチャンスを手にし、そのうちの2本をソールズベリーのサービスゲームだった第1セット第8ゲームと第2セット第7ゲームでものにした。クロアチアとスロバキアのペアは一度しかデュースに持ち込まれず、サービスゲームの際に第5シードのラムとソールズベリーからのプレッシャーをあまり感じずに済んでいた。

 自らのサービスゲームをラブゲームでキープして第1セットを取ったポラセクは、同じく自分のサービスの際に勝利を決める栄誉を授かった。このゲームで2度目のマッチポイントでソールズベリーのロブがベースラインを割った瞬間、ポラセクとドディグは同時に歓喜の雄叫びを上げた。(APライター◎ブルース・マシューズ/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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