ジョコビッチがフェデラー&ナダルの『20』にロックオン「彼らが進み続ける限り僕もいく」
他の数ある大会に勝つことや世界ナンバーワンを維持するなどということはどうでもよく、33歳のジョコビッチにとってもっとも重要なゴールがひとつある。彼はオーストラリアン・オープンでの9度目の優勝によって「18」となったグランドスラム優勝回数に、男子の最多記録を持つフェデラーとナダルの「20」を追い越すまで追加し続けることを切望している。
「彼らはすでに歴史を築いた。彼らは我々のスポーツに並外れた足跡を残した。僕がグランドスラム大会でもっと多くのタイトルを獲り、記録を破ることを考えているかって? もちろん考えているよ。そしてこれから先に僕がプロテニスから引退する日まで、僕は注意とエネルギーのほどんどをグランドスラム大会に向けるつもりだ。そしてさらにトロフィーを増やすことに全力を尽くすよ」
そのことに問題はないし、違うようなふりをする必要もない。
そしてそうするには、彼が望むよりも多くの大会でプレーしたり心から望んでいない場所に行ったりする必要はまったくない。ジョコビッチにとってもっとも重要なのがグランドスラム大会でタイトルを積み重ねることなら、プレーする機会を減らすことが体を守ることにも繋がるだろう。目立つケガが少ないジョコビッチではあるが、彼は3年前に右肘に手術を受け、2021年オーストラリアン・オープンでは脇腹を負傷して窮地に立たされていた。
長くトップ選手としてプレーしてきた彼にとって、それは当然の権利だ。そしてそれは、彼の前にいるフェデラーや女子でグランドスラム大会を23回制したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がここ数年にやってきたことと大した違いはない。
オーストラリアン・オープン決勝でダニール・メドベージェフ(ロシア)を7-5 6-2 6-2で倒した威圧的なパフォーマンスのあと、「ラケットを手にした子供たちも含む99.9%のプレーヤーたちは、上達するにつれて何かを成し遂げたいと思い始めるんだ。その頂点がグランドスラムの舞台であり、そこで優勝することなんだよ」とジョコビッチは語った。
「僕は自分が年取っているとか疲れているなどと感じてはいないけど、生物学的にも現実的にも10年前とは違っているということは理解しているよ」
メルボルン・パークで掴んだ栄冠には、3月8日まで世界ランク1位の座を保証するボーナスが付いてきた。その日を迎えるとき、ジョコビッチは世界1位で過ごした期間でフェデラーが持つ310週というATP(男子プロテニス協会)の記録を超えることになる。そしてそれは、彼が自分にとって重要だと明言したもうひとつの目標でもあった。
「世界1位を目指すにはシーズンを通してプレーする必要があり、そこでいい結果を残さなければならない。僕のゴールは調整され、少しシフトしていくことになるだろう。つまり僕は自分が出場する大会のスケジュールを調整しなければならないということだ」とジョコビッチはコメントした。
「そうしなければならないという訳ではないが、そうする機会はあるだろう。父として夫として、僕はそれを本当に楽しみにしているよ」
彼がどのように調整するかについては誰も分からないが、8月に40歳になるフェデラーー彼は2度に渡る右膝手術を経て1年以上プレーしていないーーーと34歳のナダルがさらにメジャーで勝つか(それがいくつになるか)にもよるだろう。
男子テニス界に『ビッグ3(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)』が登場するまで、四大大会で14タイトルを獲ったピート・サンプラス(アメリカ)より多くの優勝を遂げた選手はいなかった。しかしサンプラスが引退してから20年も経っていない今、彼は3人の男に追い抜かれた。
「僕たちはいい意味での『テニスのサイボーグたち』について話しているんだ。彼らはただただ信じられないような存在だよ」とメドベージェフはビッグ3の長きに渡る前代未聞の成功について話した。
2001年ウインブルドン優勝者でジョコビッチのコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)は、ナダルが昨年10月に13回目の栄冠に輝いたフレンチ・オープンで「あと1回、恐らく2回」は勝つだろうと予想した。
ロラン・ギャロスにおけるナダルの覇権は他の追随を許さず、ひとつのグランドスラム大会で彼より多く勝った選手はいない。男子ではメルボルン・パークで自身の記録を更新したジョコビッチがナダルに続き、ウインブルドンを8度制しているフェデラーは3位となっている。そしてこの3人の全員が、生涯グランドスラムを達成している。
「ロジャーとラファは僕にインスピレーションを与えてくれる存在だ。これは前にも言ったことだが、もう一度言おう。彼らが進み続ける限り、僕も前に進む」とジョコビッチは発言した。
「ある意味でそれは誰がより多くプレーするか、誰がより勝つかのレースのようなものだ。これはあらゆる分野における僕たちの間での競争なんだ。しかしそれこそが“我々が我々である理由”なのだと僕は考えているんだ。僕たちは互いを駆り立て刺激し合い、互いを限界までプッシュして高め合っているんだよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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