フェデラーがカタールでツアー復帰も「まだ100%ではない」

写真は準々決勝で敗れ、コートをあとにするロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)

1年以上ぶりに公式戦でプレーしたロジャー・フェデラーにとって、確かに馴染みのないことがたくさんあった。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの最中にタオルをボールパーソンに渡すことはできず、前のポイントが終わってから25秒以内にサービスを打つ準備を整えなければいけない。それ以外にもウォームアップは4分に短縮されるなど、以前と違うことは多くある。

 世界ランク28位のダニエル・エバンズ(イギリス)を7-6(8) 3-6 7-5で倒したあと、「実際の時間よりも長く離れていたように感じられる」とフェデラーはコメントした。

 グランドスラム大会を20回制したフェデラーが発見したことは、2度に渡る右膝手術で大会から離れていた期間を経ても結局のところ根本的なところはまったく変わっていないということだ。彼は試合前に変わらず緊張感と興奮を覚え、変わらずどのショットをいつ打つべきかを知っており、変わらず重要な瞬間にレベルを引き上げることができる。

 しかしながら彼は木曜日の試合ではそれをやってのけることができず、またも厳しい3セットマッチとなった準々決勝でニコラス・バシラシビリ(ジョージア)に6-3 1-6 5-7で敗れた。

「僕はまだ100%じゃない。自分自身でそう感じられるし、僕には分かるんだ。重要なのは、現在のこの立ち位置からグラスコートシーズンまでに100%になることだ。それは分かっている。僕はまだ調子を築き上げているところだ。だからこれは、そこへの足掛かりなんだ」と彼は現状について説明した。

 木曜日の試合後にツイッターを更新したフェデラーは、トレーニングを再開することが最善であると判断したため来週のドバイは欠場すると発表した。

 2時間半近くかけてエバンズを倒した水曜日の2回戦のあと、フェデラーは少し疲れていたと認めた。13本のサービスエースを決めたフェデラーは、最後のゲームで唯一のブレークを奪ってその試合に勝った。

 結果やどうのようにそうなったかよりも遥かに重要なのは彼が変わらず成功に向けて気持ちを注ぎ、エバンズに対して勝つために必要なものを見つけ出すことができたことだ。このことはフェデラーが実際に戻ってくるか、8月8日に40歳の誕生日を迎える彼がそれ以降もプレーを続けるか心配している人々にとってよい前兆だろう。

「厳しい瞬間に対処できてとても満足しているよ。重要なポイントでも、自分のテニスがぐらつき始めたようには思えなかったからね。僕はやりたいようにプレーできたと思う。これは常に素晴らしい兆しだと思うし、素晴らしいフィーリングだよ」とフェデラーは2回戦に勝ったあとのビデオ記者会見で話した。

「練習ではバックハンドのダウン・ザ・ラインをミスしようが、ブレークポイント落とそうが構わないんだ。しかし実際の試合となると、それは非常に重要だ」

 その試合でフェデラーは一度もダブルフォールトしなかったことを喜んでおり、それを膝がうまくいっているサインだと受け取った。もうひとつよかったことは、彼が試合後に痛み止めを飲む必要がなかったということだった。彼は自分の身体がネットに向けて前に出ていく動きのストレス下でどう持ち堪えるか見たいと願い、そのテストもパスした。

「僕は実際、本当に爆発的だった」とフェデラーは締めくくった。

 彼がさほど気にしていなかったのは、時折見られた打ち損ないのショットだった。そんなショットが出たとき、彼は頭を振ったり微笑んだり、ときには少し笑いさえした。そのタイミングを取り戻すには、少し時間が必要だろう。

 2020年1月30日にオーストラリアン・オープン準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れて以来、今週までフェデラーは公式戦でプレーしていなかった。そしてその翌月、フェデラーは膝に最初の手術を受けた。その数ヵ月後に彼はバイクを漕いだり4人の子供たちと一緒に散歩をした程度で膝が腫れることに気付き、2度目の手術を余儀なくされた。

 2000年から16年まで一度もグランドスラム大会を欠場したことがなかったフェデラーは、このような長い休止にはあまり慣れていなかった。

 完全に健康なときでさえ、フェデラーはもう何年にも渡ってどのくらい長くプレーし続けるのかという質問に直面してきた。彼は一度も真剣に引退を考えたことはないと言う一方で、カタール・オープン前の記者会見で「まだ物語は終わっていないと感じている」と答えることでまだ先があることを明らかにした。

 すでにマイアミ・オープン出場を取り消しているフェデラーは、今後数ヵ月のスケジュールが未定となっている。彼はクレーコートシーズンの大会に出ることについて確約はしておらず、グラスコートのウインブルドンのある6月にピークを持っていくことを目指している。

 エバンズは20度グランドスラム大会を制したレジェンドであるフェデラーが、次にどこにいくかを見定めたいと願っている。

「ファンの視点から言えば、彼がその歳でどんなふうにやってのけるかを見るのは興味深いことだよ。彼は39歳であり、その歳で変わらずグランドスラム大会で戦っているというのは言うまでもなく前代未聞のことだからね」とエバンズは語った。彼は今大会に備え、フェデラーと2週間ほど練習していた。

「誰もが彼を見たいと思っているよ。そして何が起こるのか、もし彼が勝つのを見ることができれば本当に素晴らしいことだ。ほとんどの人々は彼がもう一度勝つことを願っているだろうね。多分それはウインブルドンだ。彼がふたたびグランドスラム大会で勝つことができたら、僕たちは皆かなり大喜びするだろうね」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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