男子テニスの次世代が『ビッグ3』を追い抜くのはいつか?

写真はマイアミ・オープン決勝で対戦したホベルト・ホルカシュ(ポーランド/)とヤニク・シンネル(イタリア)(Getty Images)

男子テニスの次世代は、まだ実現されていない可能性の寄せ集め状態となっている。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)がマイアミ・オープンをスキップしたことで、大会はテニス界のニューフェイスに焦点が当たることを期待されていた。ところがクレーコートシーズンが始まろうという今、見通しはぼやけたままだ。

 当時世界ランク37位だったホベルト・ホルカシュ(ポーランド)と同31位のヤニク・シンネル(イタリア)の間で争われた日曜日の試合は、ATPマスターズ1000の大会でトップ30以下の選手同士の対決となった2003年以来の決勝だった。ホルカシュは2005年以降のマスターズ大会で、もっともランキングの低いチャンピオンとなった。

 その一方で未来のグランドスラム大会チャンピオンと予想されている選手たちにとって、マイアミは掴み損ねたチャンスを象徴するものとなった。有力な優勝候補と目されていたダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)らは、誰一人として準決勝に進むことすらできなかったのである。

「ビッグ3が不在だったから、新世代の選手たち全員が自分の最高のテニスをしようとベストを尽くしていたと思うよ。観客の皆さんがそれを楽しんでくれていれば何よりだね」とホルカシュはコメントした。

 しかし、ファンはそこに何を見出したろうか? 20代の選手たちがもう何年も『ビッグ3』を追い越そうと頑張ってきたが、2021年の最有力候補たちはマイアミで結果を残すことができなかった。

 マスターズ大会で初めて第1シードとなったメドベージェフはロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)に、第2シードのチチパスはホルカシュに、それぞれ4回戦で敗れた。

「これは僕にとってチャンスだと感じていただけに、この敗戦は本当に残念でならないよ。もっと大きな成果を出せる余地はあったはずなんだ」とチチパスは悔しさを滲ませた。

 第3シードのズベレフはもっとも期待を裏切り、初戦敗退に終わった。彼はブレークポイントで3度もダブルフォールトを犯し、自分より年下で世界83位のエミール・ラウスビュオーリ(フィンランド)を相手に苦杯を舐めた。男子ツアーで今季最多のマッチ20勝を挙げている第4シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)は準決勝に進出したが、ホルカシュに阻まれた。

 これらすべてはナダルとフェデラーがコンディションを整えるために出場を取り消し、ジョコビッチが新型コロナウイルス(COVID-19)に関する規制の中でセルビアから渡米する代わりに家族と過ごすと決めたあとの出来事だ。

 24歳のホルカシュにとってこのタイトルは群を抜いてキャリア最大のものであり、ATPマスターズ1000の大会でポーランド人選手が優勝したのは初の快挙だった。しかし彼は、フレンチ・オープンで優勝候補の一角には入らないだろう。

 要するに、テニス界を長いく支配してきた30代の男たちからその地位を奪い取る準備のできた20代はまだいないようなのだ。ドミニク・ティーム(オーストリア)は昨年9月にUSオープンでグランドスラム初タイトルを獲得したが、今年は5勝4敗と不振でマイアミをスキップしていた。

「次世代の選手たちは、まだこれからビッグ3を倒せることを証明して見せなければいけないんだ。次世代の選手たちはまだ、彼らに対して一貫して勝つだけの準備ができていないからね。ある時点でその瞬間は訪れるだろうけど、それがいつかは分からない。2年以内かもしれないし、5年かもしれない。でもそのときはいつかくるはずだよ」とシンネルは話した。

 ひょっとするとグランドスラム大会の偉大さは世代をひとつ飛び越し、『ビッグ3』に取って代わるのは今はまだ10代の誰かになるのかもしれない。パワフルなグラウンドストロークを武器とする19歳のシンネルは、3度目のマスターズ本戦にして大きな飛躍を遂げた。

 脚光を集めた選手の中には、20歳のセバスチャン・コルダ(アメリカ)もいる。彼は最終的にルブレフに敗れたものの、準々決勝に進出した。1998年オーストラリアン・オープン優勝者のペトル・コルダ(チェコ)を父に持つコルダは、アメリカ人男子が18年に渡ってグランドスラム大会でタイトルから見放されていた黒歴史に終止符を打つ最大の希望だと見なされている。もっとも彼自身は、気の早いファンたちよりも辛抱強い考えを持っているようだ。

「僕の両親は、少しずつ着実に前進していくこと非常に重視しているんだ。健康さえ維持できればかなり長く、今から15年以上テニスをプレーすることができるからね。今では選手たちが40歳までプレーしているけど、以前の常識では信じられないことだよ。だから僕にはまだまだ多くの時間があるんだ」とコルダは語った。

「僕はこれからもずっと、黙々と努力を続けるよ。そしていつの日か、父が成し遂げたようなことを自分もできるようになればいいと願っているんだ」

 コルダとシンネルはメドベージェフ、チチパス、ズベレフ、ルブレフらと同じく、かなりの才能とスター性を兼ね備えている。

「今は世代が変わりつつあり、テニス界の未来は素晴らしいように見える。NextGEN――次世代の選手たちは違っているよ。彼らは前の世代と比べてタイプが違うんだ。彼らにはカリスマ性があると僕は思う」とルブレフは私見を述べた。

 カリスマ性――それはあるかもしれない。しかしまだ、多くのトロフィーはない。(APライター◎スティーブン・ワイン/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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