「今日のサーフェスは完璧だった」2回戦突破のメドベージェフ [ウインブルドン]


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス2回戦で、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した18歳のカルロス・アルカラス(スペイン)を6-4 6-1 6-2で退けた。

 メドベージェフは試合中、何度かファンを煽るような行為を見せた。

「ファンと盛り上がるのが好きなんだ。ウインブルドンのイギリス人のファンは何と言えばいいのかな、もっとも理性的だ。彼らは試合をニュートラルな立場で見てくれる。当然、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の3人を除いてね。誰でもいいプレーをすれば応援してくれる」

 公平に応援してくれるウインブルドンのファンが好き。

「いいラリーがあったときに喜んでくれて応援してくれた。ちょっと驚いたのはダブルフォールトやイージーなミスのときもサポートしてくれたこと。ブレークポイントの大事な場面で“さて、どう反応するかな?”と思っていたけど、そのとき確か相手がミスをしたけど、それでも公平に応援してくれた。だから僕はウインブルドンが好きなんだ」

 サーフェスは完璧だった。

「今日サーフェスの状態は完璧だった。一回も転倒しなかったからね。今後も転ばないようにするよ。ヤン レナード・ストルフ(ドイツ)との1回戦では屋根が閉じて湿度が高かったらから、ものすごく滑りやすかった。でも、今日は暑く全然滑らず、動きやすかった。サーフェス自体は遅くなっていると思う。サービス以外は特に遅いと感じる。いいフラットのショットを打てば速く滑るのは変わらないけどね」

  自分を敵視するファンからの罵声が絶えなかった。

「観客を煽ることで少しだけ味方につけることもできる。うまくいったと思うよ。何人かは僕の行為に怒っていたみたいだけど。僕の右耳の後ろくらいに、10人くらいの集団から試合中ずっと罵声が聞こえたんだ。そのほかの人たちは試合を楽しんでくれたと思う。それが一番大事なことだ」

  優勝を目指すのは当然のことだ。

「ジュニアの頃からすべての大会で優勝を目指している。トップ60くらいの選手なら、グランドスラム優勝はまだ難しいと言うかもしれない。でも、僕やアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)、ロジャー、ノバク、ラファなど、トップテンの選手は誰でも優勝を狙う実力がある。ズベレフや僕にはグランドスラム決勝の経験もある。自分には上位まで勝ち進む力があると信じることは、トップ10皆のマインドセットだと思う。だが、それと同時に1試合1試合に集中して戦わなければならない。3回戦で負けたら、決勝にはいけないのだからね」

 同じロシア出身で3回戦に進出したアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン)について語った。

「彼は面白い選手、人間だ。僕らはニースからサンクトペテルブルクに行く途中、イスタンブールで乗り換えがあって、そこでたくさん話したよ。いい人だし、話しやすいし、面白い。コート上では誰とも違う独特のスタイルだ。少し自分に似た部分もあるけどね」

 ブブリクの予想外のプレーにたびたび驚かされている。
 
「もしかしたら、ブブリクはもう少しテニスに真剣になったほうがいいかもしれない。けど、自分がそれ以上コメントするべきではないね。彼は人と違うところが面白い。“そこで必要ないだろ?”というところから無茶なショットを打ちにいったりする。でもそれが彼なんだ。僕なら5-1とかでリードしていないと無茶はできない。次のポイントを勝ちたいし、次のゲームを取りたいから、そこに集中して彼のように冒険はしないタイプだ」

 ブブリクのトリッキーなプレーはジュニアの頃からだった。
 
「ロラン・ギャロスで対戦したとき、ブレークポイントで突然アンダーサービスを打ってきたんだ。しかもポイントを決められた。ジュニアのころから凄いタッチをもっているし、その頃からよく知っていた。その点で彼を嫌う人もいるけど、僕は大好きだ。僕なら、彼のような驚くようなショットを打ったあとに記者会見で10回くらい聞かれて大変だろうと事前に考えてしまうんだ。でも、彼はそんなこと気にしない。それがブブリクというプレーヤーなんだ」

 ロシア出身でカザフスタン国籍を選んでプレーする選手の背景について語った。

「ロシアが若い選手を十分にサポートしない側面もあったから、カザフスタンを自分の国籍に選ぶ選手もいたのは確かだ。そうでなくても、カザフスタンのほうがロシアよりも環境がいい部分もある。だからこそ多くの有能な選手が出てきている。僕自身もトップにきたときにカザフスタンのためにプレーする選択肢もあった。でも考えなかった。いつもロシアを代表したいと思っていたからね。でもそれは僕個人のことで、それぞれが自分の道を選んできた。ククシュキンはカザフスタンを選んだ。そうしなければテニス界で生きていくことができなかったんだ。大きな決断だったと思う。それについて僕があれこれを言うことはない」

 3回戦ではマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。

「マリンは偉大なチャンピオン。ウインブルドン決勝でロジャーを倒しそうになったのだから、3回戦で当たるのは厳しいね。リスペクトしている選手だ。昔フランスで、カレン・ハチャノフ(ロシア)と一緒にフューチャーズ大会のダブルスで優勝したとき、彼がUSオープンで優勝したんだ。試合は見られなかったけど、ビッグニュースだからよく覚えている。準決勝でロジャーを倒したのかな? ビッグ4の時代にグランドスラムを獲ったのは本当に凄いことで、だからこそリスペクトしている」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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