「あの素晴らしい雰囲気のためにプレーしている」3回戦進出のマレー [ウインブルドン]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス2回戦で、アンディ・マレー(イギリス)が予選勝者のオスカー・オッテ(ドイツ)を6-3 4-6 4-6 6-4 6-2で倒した。
記者会見の間、“アイスバスが凍えるほど冷たかったんだ”と震えながら現在の自分の状況を語った。
「今、自分がやっていることの多くは20代半ばにやっていた頃に比べたら難しいことばかりだ。フィジカル面の問題などがあったからね。このような長時間の試合は大変だ。試合数も多くこなしていないし、準備もしていない。グラスコートでは4年間プレーしていなかったんだから、難しい。でも、逆にそれが今もプレーを続ける理由でもある。あのような瞬間のためだ。試合を通して雰囲気は素晴らしかったけど、最後の1時間半は本当に感動的だった。もちろん、いろんな要素の中のひとつだよ。あのような雰囲気でプレーして、あの瞬間がプレーしている理由のひとつだ。楽しんだよ」
アップダウンの激しい5セットマッチになった。
「もつれたのは試合経験不足が理由だと思う。いいプレーで第1セットを取ったけど、集中力などが足りなかった。いいプレーができていた時間帯もあるけど、悪い時間帯もあった。試合から離れて練習も十分していない中で、2時間半集中し続けるのは難しい。記者の君らも5ヵ月くらい長い文章を書いてなかったのに、突然大事なのを1本書かなければいけなくなったら難しいだろう? 試合を重ねてリズムに乗れれば、勝つことに慣れればより自然に勝てると思う。ここまではかなり難しいよ」
観客の一部と目を合わせて叫ぶことで戦うエネルギーをもらった。
「最後の1時間半くらい、中断明けからエネルギーが必要だったから、観客の力を借りなければならなかった。数人の観客とわざと目を合わせて、ポイントを取るたびに睨みつけたんだ。彼らを巻き込もうとしたんだ。全体的に素晴らしい雰囲気を作ってくれた。お互いに刺激し合っていた。特に試合の終盤はね。過去にも素晴らしい雰囲気のスタジアムで戦ったことはあるけど、今回も本当に素晴らしいものだった」
睨みつけた観客に感謝している。
「立ち上がって凄く声を出してくれて、ゲームに入り込んでくれた。それが凄く目に入ったから、ポイントを取ったときも、落としたときでさえも見るようにしたんだ。皆はどう思っているか分からないけど、僕にとってはよかった。過去にも大事な試合でやってきた行為だ。僕が試合中に1時間くらいずっと睨んで叫んでいるのを気持ち悪いと思わなければいいんけどね。彼らも楽しんでくれていたと思う」
一度転倒したが、大事には至らなかった。
「サーフェスがスリッピーなのは確か。今日は1回戦よりやりやすかった。選手がよく転倒しているのは天然芝でのテニスでは起こるものだ。一度ロブを打たれて後方に走って転んだときは危なかった。今後数日で天気がよくなれば、乾くと思う。でもケガをした選手もいるし、ニック・キリオス(オーストラリア)が転ぶのを実際に見たんだ。僕は転倒で痛みが5秒か10秒くらいはあったけど、すぐになくなった」
パンデミックを乗り越えて観戦に来た労働者のファンに感謝している。
「国全体がどれだけ彼らの存在が重要なのかに気付いたと思う。素晴らしいことだ。彼らが会場に来てテニスを観られるようになった。楽しんでもらいたい。政治家も彼らのことをもっと気にかけてほしい。給料の1%アップだけだけど、もっと多くを受け取る資格があると思う。パンデミックを乗り越えるために素晴らしい仕事をしてくれた」
最後にサッカーのUEFA欧州選手権(EURO)でのイングランドの展望を語った。
「スコットランド対イングランドは面白かった。イングランド人の選手たちと一緒に観たよ。イングランドはウクライナに勝てば、準決勝でデンマークとチェコの勝者が相手だね。長い間大きな大会で優勝してなかったけど、今回は大きなチャンスがあると思うよ」
マレーは3回戦で、第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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