キリオスがケガによる3回戦途中棄権よりも辛いこととは? [ウインブルドン]

写真は試合中にトレーナーによる治療を受けるニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で第16シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)と対戦したニック・キリオス(オーストラリア)は、第2セット終了後にケガのため棄権を余儀なくされた。

 第1セットを6-2で先取したキリオスは、第2セットを1-6で落としたあとに試合続行を断念した。

 腹筋のケガに苦しんでいたキリオスは痛みでまともにサービスが打てず、肉離れを起こしているのではないかと心配しているとトレーナーに伝えた。

「どんどん悪化している。何とか続けようとしているけど、これ以上サービスが打てないよ」

 試合後にキリオスは、「ケガしなかったとしても、今日の試合で負けることについては問題なかった。だけどこのような形で終わりを告げるのは、ずっと辛いことだよ」と心境を明かした。

 しかしこのケガによる3回戦でのリタイアは、キリオスにとって最悪の出来事ではなかった。彼はビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)とのペアで出場したミックスダブルスで初戦を勝ち上がっており、パートナーに悪いニュースを伝えなければならなかったのだ。

「ビーナス・ウイリアムズにケガでもうミックスダブルスをプレーできないと告げなければならないと考えたとき、鳥肌が立ったよ。本当に辛いことになりそうだ」とキリオスは語った。

 2016年以来となる2週目突入のチャンスを不本意な理由で逃したあと、彼は41歳のビーナスとのコンビをここで終わらせなければいけないことについて考えた。

「あれほど楽しい思いをしたのは本当に久しぶりだったんだ」とキリオスはビーナスとのミックスダブルスについて話した。

「当然ながら、彼女は棄権をうれしく思わないだろう。彼女はあと何回ウインブルドンでプレーするか分からないのだから」

 この日のキリオスは快調に第1セットを先取したが、第2セット1-4辺りから腹筋に痛みを感じ始めていた。これは彼にとって、2月のオーストラリアン・オープン以来となる大会出場だった。

「僕のテニスは健在だった。第1セットで僕は彼を平均的なプレーヤーであるかのように見せていた。そして僕は6ヵ月も大会でプレーしていなかったんだ」とキリオスは振り返った。

 今大会では単複ともに真剣な戦いぶりを見せていたキリオスだが、この試合に関してはかつての彼のような始まり方をした。キリオスはコートに入場したあと、あろうことかグラスコート用のシューズをロッカールームに置き忘れてきたことに気付いたのだ。

 この失態により、ふたりのウォームアップ開始時間は少し遅れることになった。

「僕はある日、自分がプロフェッショナルになったと思っていた。自信を持ってコートに出ていき、そして――おっと!! シューズをロッカールームに忘れてしまった」とキリオスはジョークを言ってオチをつけた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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