フルカチュがフェデラーに対するセンターコートでの準々決勝で「恐らく想像できなかった」勝利 [ウインブルドン]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス準々決勝で、第14シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)が第6シードのロジャー・フェデラー(スイス)を6-3 7-6(4) 6-0で下してベスト4進出を果たした。
フェデラーを自分のアイドルだと呼んでいた24歳のフルカチュはこのような結果を想像できたかと尋ねられ、「恐らく想像できなかった」と答えた。
とはいえこれは、世界が見慣れていたフェデラーの姿ではなかった。彼は2020年に2度の右膝手術を受けており、今季はわずか8試合しかプレーしていない状態で今大会を迎えていた。これに彼が8月8日に40歳になるという事実を加味すれば、例え彼が誰よりも多く勝った大会で彼のお気に入りのサーフェスであるグラスコートで行われていたとしても、最終日まで勝ち進むことを望むのは酷だったのかもしれない。
この試合でのフェデラーはシンプルに、彼をラファエル・ナダル(スペイン)と並ぶ男子の最多記録となる20回のグランドスラム制覇に導いたサービスとショットメイキングの能力を発揮することができなかった。
「僕は実際にウインブルドンでここまで勝ち進めたこと、ここに至るまでに経験したことすべてを踏まえた上でこのレベルでプレーできたことには満足している」とフェデラーは振り返った。彼は東京オリンピックに行くか否かについて、まだ決めていないと繰り返した。
「もちろん、僕はもう一度ウインブルドンでプレーしたいと思っているよ。しかし僕の年齢では、次に何が起こるかは決して分からないものなんだ」
これまでグランドスラム大会で一度も3回戦より先に進んだことがなかったフルカチュは、このあまり馴染みのない舞台でかなり心地よさそうに見えた。彼は12本だったアンフォーストエラーの3倍に当たる36本のウィナーを決め、素晴らしいプレーを披露した。
「当然ながら、ちょっとばかりナーバスになっていたよ。グランドスラム大会の準々決勝でロジャーを相手にプレーするというのは、僕にとって本当に大きなことなんだ。でも僕は、可能な限り落ち着きを保とうとしていたよ」とフルカチュはコメントした。
第2セットで3-0とリードしたとき、フェデラーはようやくいい波に乗り始めたかに見えていた。しかしフルカチュは、まったく譲らなかった。
「何とかして、勝つための道を見つけなければいけなかった」と試合後にフェデラーは物思いにふけりながら呟いた。
舞台の大きさやかかっているもの、対戦相手や一方的にフェデラーを応援するファンに怯まなかったフルカチュは時速162kmの鋭いフォアハンドのリターンでフェデラーにミス強いてブレークを果たし、続く5ゲームのうち4ゲームを取って4-4に追いついた。
それから「レッツゴー、ロジャー!」の大声援と手拍子に続いて突入したタイブレークでも、状況は同様だった。フルカチュはハードヒットし、フェデラーはよろめいた。「残忍だ」とフェデラーは言った。あるポイントでネットに詰めたフェデラーは足を滑らせ、簡単であったはずのボレーをミスした。
第3セットは瞬く間に進んだ。フェデラーがフォアハンドをサイドアウトして勝負が決まったとき、彼は手早く荷物をまとめてロッカールームへと急いだ。フェデラーは去り際に手を振り、親指を立ててスタンドの声援に応えた。
「大会が終わった今、とにかくすべてを見直して再検討する必要がある。チームと一緒に膝を突き合わせ、話し合わなけれなならない。何が上手くいって、何があまり上手くいかなかったのか? 体の状態は? 膝は? 精神的にはどうか?」とフェデラーは話した。
「ご覧の通り、僕にとって苦闘だった」
フルカチュは次のラウンドで、第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と対戦する。ベレッティーニは第16シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-3 5-7 7-5 6-3で振りきり、グランドスラム大会で2度目のベスト4進出を決めた。
トップハーフ(ドローの上半分)の準決勝では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)が顔を合わせる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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