「史上最高はロジャーでもラファでもなくノバクだ!」ビッグ3の争いに終止符? ジョコビッチのコーチ、イバニセビッチが語る

ウインブルドン開幕前にノバク・ジョコビッチ(セルビア/右)の練習を見つめるコーチのゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)(Getty Images)

 ウインブルドンを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)がマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を倒した決勝について、またジョコビッチが年間グランドスラムを達成する可能性やロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)との争いについて語った。

 コーチとしてサポートしているノバクが偉大な記録を達成した。

「素晴らしい。チームの一員、コーチ、友人として、とても誇りに思っている。彼はテニスの歴史に新たな1ページを加えた。もっとも美しい決勝ではなかったが、大きなものが懸かったいた。グランドスラム3大会連続優勝、通算20度目を目指していたんだ。それに、マッテオも初優勝を狙っていた」

 第2セットの立ち上がりが重要なポイントだった。

「ノバクが第1セットを落としたあと、第2セットの最初の2ゲームが重要だった。そこでしっかりブレークしたことで反撃できた。とにかく素晴らしい気分だ。何と言えばいいのか…。信じられない。私は選手としてこの大会に優勝し、今はコーチとしても優勝できた。もうやり尽くしたから、ここに戻ってくる必要もなくなったよ(笑)」

  サーブ&ボレーに取り組んできたのか?

「多くの人がノバクのボレーを過小評価している。サーブ&ボレーヤーではないし、今後もなることはないだろう。でも、彼はダブルスも好きでボレーは非常に安定している。サービスも改善してきた。デニス・シャポバロフ(カナダ)との準決勝ではネットプレーが冴えていたので、積極的にサーブ&ボレーを行った」

 サーブ&ボレーがベレッティーニに有効であると助言した。

「試合の前、ベレッティーニがブロックリターンを多用するから、サーブ&ボレーも有効だということをノバクに話した。攻撃パターンをミックスして時折ネットに出るのはいいことだ。実際、それを行っていた。ノバクのボレーはこの数年でかなりよくなった。ボレーヤーとしての実力は悪くない。たまに、ネットに出たがらないときもあるが」

  ロラン・ギャロスで優勝してゴールデンスラムが大きな話題になり、プレッシャーへの対処も難しい。

「物凄く強力な薬があるんだ。とてもリラックスできる。冗談だよ(笑)。私は彼のコーチになる前から、ゴールデンスラムを達成できる選手がいるなら、それはノバクだと公言してきた。彼と一緒に働けることは素晴らしく、名誉で何物にも代えがたいが簡単ではない。プレッシャーは大きい。決勝の出来は十分ではなかった。我々は勝利しか目指していない。当然プレッシャーは大きい。簡単ではない。でも楽しいし、いいチャレンジだ。彼は新たな歴史を刻んでいる。信じられないことだ。フレンチ・オープンを制してから、彼は大きな自信を手にしてここにやってきた。自信に満ち溢れ、素晴らしいプレーを見せた。よくなかった試合もあったが、最後はきっちり勝った。彼がチャンピオンである理由がそこにある」

 52年ぶりの年間グランドスラムまであとひとつに迫った。

「この優勝は大きい。とてつもなく大きい。20グランドスラムタイトルで2人のとんでもない男たちにで並んだんだ。グランドスラム3大会で優勝してUSオープンに臨むのは、彼のキャリアでは初めてのこと。3連続優勝で4つ目を狙える。信じられないことだ。最後に年間グランドスラムを達成したのは(1969年の)ロッド・レーバー(オーストラリア)だぞ! 21世紀にそれが可能になるとは、誰も予想していなかったが、実際可能になった。私たちはバルカン半島出身だ。バルカン人には何でもできる。誰も何も期待していないときに、私たちはすべてを作り上げるんだ。私たちは特別な民族なんだ」

 30、あるいは35グランドスラム優勝。ジョコビッチの限界はどこにあるのか?

「正直よく分からない。彼の場合は何を成し遂げてしまうか分からない。彼は常に成長し続けている。毎日競争力が上がっている。信じられないほどだ。毎日新しいことを身につけている。最高のプレーしないときもきっちり勝てる。最高のプレーをしているノバクを想像してくれ。そのとき彼を倒すのは不可能だ。彼にはなんでも可能だ。30とは言いたくない。そこまでの道程はとてつもなく長いから。でも、5、6年前はロジャーのことしか話題にならなかった。今はそこにノバクとラファも加わり、史上最高の座を争っている。私にとっての史上最高はノバクだ。彼は歴史を塗り替えている。USオープンでも必ずやってくれるだろう。彼は年間グランドスラムを達成する。そしたら、このストーリーは終わりだ」

 GOAT(Greatest of All Time)の話題はついに終わりを迎えるのか?

「私にとってはずいぶん前に終わっていた。誰が一番好きなという問題だ。3人の男が合計60グランドスラム。嘘のような数字だ、ナダルが好き、フェデラーが好き、その他の選手かもしれない。今ノバクのチームにいるからではく、彼は前から自分の中でベストだった。彼は恐らく、年間グランドスラムを達成できる唯一の男だ。だからこそ、USオープンで優勝したら、誰がグレイテストなのか決まる。しかし、ナダルも戦い続けるだろう。必ず来年のフレンチ・オープンを獲りにくるだろう。彼ももっと勝ちたいと思っている。それでもノバクが史上最高だ。私が言うまでもないことだが」

  もし選手として現在の状況のノバクとUSオープンで対戦することになったら、どのようなアプローチで戦うのか。

「正直答えらないな。彼は最高のプレーをしていないとき、シャポバロフ戦も僅差だったが、それでも信じられないショットを放ち、コート上でとんでもないことをやってのける。彼はアメージング。毎日新しいものを取り入れてよくなっていく。そして成長が止まることはない。彼自身、止まりたくないんだ」

 ノバクは何度倒しても立ち上がる。

「彼はいつも試合数を減らすと言っている。でもいつでもプレーしたいんだ。コートにいるのが大好きなんだ。今日の決勝でも、観客がマッテオを応援していたのは当然のこと。それでもノバクは求められていた。彼は映画のようだ。27回倒しても、ふたたび立ち上がり、また倒さなければならない。何度でも起き上がるんだ。彼が歴史を塗り替える瞬間を目撃し、それに関われることはこの上ない喜びだ。彼は必ずや、やってのけるよ!」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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