金メダルは射程圏ーー柴原瑛菜×青山修子【東京2020 スペシャルクロストーク】

今シーズンはマイアミでビッグタイトルを獲得した柴原瑛菜(左)と青山修子(右)(Getty Images)


 大坂なおみと錦織圭だけではない。もしかしたら日本の男女エースの2人以上に東京2020 テニス競技の金メダル獲得のチャンスがあるのはこの2人ではないか。今シーズンはツアー4勝にウインブルドン4強、日本が世界に誇るダブルスペアへと飛躍を遂げた柴原瑛菜(橋本総業ホールディングス)と青山修子(近藤乳業)の素顔とオリンピックへの思いに迫る。(テニスマガジン2021年9月号掲載記事)

取材・構成◎杉浦多夢(編集部) 写真◎BBM、Getty Images

「オリンピックに出るからにはメダルを狙うと最初から思っていた」(青山)

PROFILE
あおやま・しゅうこ◎1987年12月19日生まれ。東京都出身。8歳からテニスを始め、日大三中・高を経て早稲田大に進学。ジュニア時代は全日本ジュニアU16、U18で複優勝。2008年の全日本学生室内で単複優勝。2010年にプロ転向。2011~13年に全日本複3連覇。2013年はウインブルドンで複ベスト4入り。以降もダブルスのスペシャリストとしてツアー通算16勝をマーク。19年から組む柴原瑛菜とのペアではツアー通算7勝、2021年ウインブルドン・ベスト4。ダブルスの世界ランク&自己最高は10位(2021年7月12日付)

「青山さんと組んで『金メダルが獲れるかも』という思いが生まれた」(柴原)

PROFILE
しばはら・えな◎1998年2月12日生まれ。アメリカ出身。7歳からテニスを始めると、全米テニス協会の強化選手に選ばれ、2016年USオープン・ジュニアでダブルス優勝、スポーツ特待生としてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学するなどアメリカで世代のトップ選手として活躍。2019年1月に大学を休学してプロ転向。同年7月に日本国籍を選択。青山とダブルスのペアを組みツアー通算7勝、2021年ウインブルドン・ベスト4。ダブルスの世界ランク&自己最高は10位(2021年7月12日付)



飛躍の2021年

 1987年12月生まれの青山修子と1998年2月生まれの柴原瑛菜。10歳の年の差ダブルスは2019年にペアを結成して以来、着実に世界ランキングを上昇させてきたが、1年遅れの東京オリンピック・イヤーとなった21年、その勢いが加速している。マイアミでWTA1000のビッグタイトルをつかむと、ウインブルドン前哨戦のイーストボーンで早くもシーズン4勝目、ウインブルドン本番でもベスト4入りと、上り調子の中で東京オリンピックに突入していく。

――今シーズン、ペアとして成熟した部分、勝てるようになったポイントは何でしょうか。
青山 私個人で言えばサービスやストロークといったベースの向上が土台にあります。そこの質が上がっているというのが優勝に結びついた要因かなと。ただ、1回戦負けもあるので、そこのアップダウンがちょっと激しいんですけど……。それでも、いいプレーをしているときの質というのが前より上がっているので、強い相手にも勝てるようになったのかなと感じています。
柴原 私は以前よりも、もっと前で動くことを意識しています。青山さんがサービスのときはもっと動く、いいリターンを打ってくれたらいいポジションをとる。それがうまくいっているときは結果もいいかなと思うので。2人のコミュニケーションもよくなっていると思います。
青山 どういうプレーをしていくかという話し合いがしっかりできているから、そういったところが数ポイントの差で勝ちをものにできている部分もあるよね。
柴原 お互い常にインプルーブ(改善、向上)したいと思っているので、青山さんに「どうやったらいいか」というのをいつも聞きながら(笑)。
青山 瑛菜ちゃんと組んでいて、プランを立てるというか、相手にプレッシャーをかけるためにどういった戦術を立てていくかということも自分の仕事のひとつだと思っているので。それを瑛菜ちゃんに伝えて、一緒にプレーをつくっていく。その中でお互いに意見を出し合って、この状況ならどうするのがいいということを決めています。同じイメージで戦えているのが、いい集中力につながっているのかなと思います。

――ツアー決勝に限れば7勝1敗。勝負強さの理由は何でしょうか。
青山 最初の1回(ペアを組んで最初の大会となった2019年サンノゼで準優勝)が負けてしまったと思うんですけど(笑)。そのときはやはり相手のことを「強い」と思いながら戦ってしまっているところがありました。それからは2人とも「勝てる」と思って、心の準備もしっかりできていたと思います。決勝まで行ったら最後は「瑛菜ちゃんも何とかしてくれる」と思いながらやっていますし(笑)。
柴原 私は決勝の舞台がすごく好きなので(笑)。決勝まで来れたということはいいプレーができている、という自信を持ちながら試合に入れるし、何と言ってもセンターコートで、たくさんのお客さんの前でプレーできるから。小さい頃からみんなの前でやるのが大好きで、「楽しんでプレーしよう」という気持ちで試合に入っています。
青山 やっぱり決勝で勝つ、優勝するということが自信になるからね。もちろん油断しないように、集中してやるようには努めていますけど。

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