メドベージェフが東京オリンピックで酷暑を生き抜く「もし僕が死んだら責任を取ってくれるかい?」
1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)が第15シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-2 3-6 6-2で下してベスト8に進出した。
彼はサービスを打つ前に疲労困憊して前屈みになり、ポイント間にはラケットで体を支えた。チェンジエンドの際にはコートサイドのベンチで冷たい空気を吹き付けるゴムのチューブを掴んだ。彼は一度トレーナーを呼び、2度のメディカルタイムアウトを取った。
前日に雨が降ったあとに気温は31度まで上がったが、湿気のために体感温度は37度だった。ロシア五輪委員会(ROC)を代表してプレーするメドベージェフは有明の息詰まるような暑さと湿気に大いに苦しみ、一度など主審のカルロス・ラモス氏がプレーを続けられるか彼に尋ねたほどだった。
「試合を終えることはできるが、僕が死ぬこともあり得るよ。もし僕が死んだら責任を取ってくれるかい?」とメドベージェフは答えた。
試合後にメドベージェフは、目の中が暗くなったように感じたと語った。
「気分を改善させるために何をしたらいいのか分からなかった。もう少しでコートに倒れそうな状態だったよ」
それでもメドベージェフは何とか勝利をおさめ、東京オリンピックの準々決勝に駒を進めた。
第1セット5-2となったときに医療スタッフを呼んで胸にマッサージを受けたメドベージェフは、次のゲームをキープして先行した。彼はまた、第2セット3-4となったときにもメディカルタイムアウトを取っていた。
「横隔膜がこわばっているように感じたんだ。普通に呼吸することができなかったよ。ここまでで一番湿度が高かったんじゃないかな。もっとも暑かったかもしれない」とメドベージェフは説明した。
非常に苦しんでいたメドベージェフはポイント間に時間を取り、それに対してフォニーニは抗議した。
酷暑ルールがあるため、双方の選手が第2セットと第3セットの間にコートを離れることを許された。メドベージェフは休憩の間に「冷たい凍るようなシャワーを浴びたが、急激な温度差で体がショックを受けてケイレンを引き起こした」のだと明かした。
第3セットでサービスゲームをキープして5-2としたあとにメドベージェフはまたもメディカルタイムアウトを取り、トレーナーがコートに出てきて彼の腕と太腿をマッサージした。試合が終わったときにフォニーニは腹を立ててラケットをコートに叩きつけ、それからそれを拾うとコートサイドのごみ箱に捨てた。
メドベージェフは次のラウンドで、ドミニク・コプファー(ドイツ)を7-6(7) 6-3で破って勝ち上がった第6シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と対戦する。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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