ディフェンディング・チャンピオンのキリオスが初戦敗退「ほとんど怒りさえしなかった」 [シティ・オープン]
ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月2~8日/賞金総額204万6340ドル/ハードコート)の男子シングルス1回戦で、ニック・キリオス(オーストラリア)がマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)に4-6 4-6で敗れた。
2019年のタイトルを記念し、キリオスの名前はメインスタジアムの低い段の青い天幕に書かれている。昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより中止となったため彼はディフェンディング・チャンピオンとして2年ぶりに戻ってきたが、77分のストレートセットで初戦敗退を喫した。
試合の序盤でアンダーサーブを見せるなど時折観客を喜ばせるプレーを披露したキリオスだったが、それ以外には2年前に優勝したときと同じ選手のようには見えなかった。
「何が起きたのか分からない。何と言えばいいかも分からない。どう感じるべきなのかも分からない。僕はただ、自分がかつての瞬間にいるようには感じられなかった」とキリオスはコメントした。
「僕は非常にアップダウンがあるとき、実際にはテニスを楽しんでいるんだ。今日の僕を観たと思うけど、僕は負けているのにほとんど怒りさえしていなかった。試合に負けかかっている中で戦い続け、罰金を科せられてラケットを投げていた日々が懐かしいよ」
キリオスによれば、そのような振る舞いは自分が結果を非常に重要に思っている証なのだという。それでは今回はどうだったのだろうか?
「今日の試合で僕が負けたとき、対戦相手を素直に祝福する気持ちになったよ。かつての僕は、自分を負かした相手に我慢ならなかったのにね」と彼は答えた。
ナイターの照明の下でほとんど満席の観客が「カモン、ニック!」と大いに声援する中でさえ、キリオスらしい活気はあまり見られなかった。
「正直に言って、彼は我々のスポーツにとって本当にいい存在なんだ。彼があれだけ応援されるのは当然だよ」と世界ランク107位のマクドナルドは話した。
「彼は素晴らしいパフォーマンスをやってのけることができる。ファンを味方につけることができるんだ。そんな男と対戦するのは、決して簡単なことじゃないよ。ナイトマッチでは特にね。僕は自分ができることをしっかりコントロールできて満足しているよ」
サーブクロック25秒をカウントする中で20秒近くトスに費やすなど、キリオスはポイントが始まる前に時間を浪費した。かと思えばラリーの早い段階で強打を打ち込み、頻繁に的を外した。ひとことで言えばキリオスには冴えがなく、元気がなかった。試合が終わったとき、彼はコートサイドのベンチに腰を下ろし、頭を振った。
かつて13位までランキングを上げたキリオスだが、現在は77位まで落としている。彼は今季に入ってまだ5大会でしかプレーしておらず、戦績は7勝5敗となった。
「結局のところ、僕は自分にそれほど厳しくなれないことは分かっている。僕はあまり多くの試合をプレーしていない。今日の僕はかなり平凡なプレーをした。体の感じ方も平均的だ」とキリオスは語った。
「でも彼はいいプレーをしたよ。リターンもよかったし、重要なポイントでのプレーが見事だった。彼は誇りに思うべきだじゃないかな」
2年前のワシントンDCで、キリオスはポイント間にファンと話してどこにサービスを打つべきか尋ねるなどしてファンを大いに楽しませた。それと同時に彼は準決勝でステファノス・チチパス(ギリシャ)、決勝ではダニール・メドベージェフ(ロシア)を倒すなど、2021年にグランドスラム大会で決勝に進出した強豪たちから勝利をもぎ取っていた。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でカレッジテニスをプレーしていた26歳のマクドナルドはサービング・フォー・ザ・マッチでの2本を含め、火曜日の試合で直面した5つのブレークポイントをすべてセーブした。
「それらのポイントでいいショットを打つことができてラッキーだったよ」とマクドナルドは振り返った。
マクドナルドは次のラウンドで、第13シードのブノワ・ペール(フランス)と対戦する。シード勢は初戦がBYEで免除されており、2回戦からの登場となる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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