ガウフに試された大坂なおみがフレンチ・オープン以来のツアー復帰戦を3セットで制す [ウェスタン&サザン・オープン]

写真は大坂なおみ(日清食品)(Getty Images)


 WTAツアー公式戦の「ウェスタン&サザン・オープン」(WTA1000/アメリカ・オハイオ州シンシナティ/8月16~22日/賞金総額183万5490ドル/ハードコート)の女子シングルス2回戦で、第2シードの大坂なおみ(日清食品)がコリ・ガウフ(アメリカ)を4-6 6-3 6-4で倒してベスト16進出を決めた。上位8シードは1回戦がBYEで免除されているため、大坂はこの試合が初戦だった。

 地元のスポーツコラムニストと考え深い会話をした2日後、大坂はコートの上でより実際的な価値を持つ声明を発した。

 彼女は戻ってきた。

 17歳のガウフに対してセットを先取され、第2セットでも先にブレークを許した世界ランク2位の大坂はそこから奮起して逆転勝利をおさめた。これは彼女にとって、5月のフレンチ・オープン以来となるツアー大会での勝利だった。

 苦戦を切り抜けたあと、大坂は大会の序盤でテストを課されたことに感謝すらしていた。

「厳しい相手に対して3セットをプレーしたのは久しぶりでした。確かに非常に厳しい試合だったけれど、今の私は本当にいい感覚です。また次の試合をプレーするのを楽しみにしています」と大坂はコメントした。

 大坂は次のラウンドで、ベルナルダ・ペラ(アメリカ)とのワイルドカード(主催者推薦枠)同士の2回戦を6-1 6-4で制して勝ち上がったジル・タイヒマン(スイス)と対戦する。

 グランドスラム大会を4度制した23歳の大坂は試合後の記者会見で心を乱されると言ってロラン・ギャロスを2回戦の前に棄権し、続くウインブルドンも欠場した。彼女は東京オリンピックの開会式で聖火台に火を灯す最終ランナーの大任を努めたあと、テニス競技の3回戦で敗れた。

 多くの社会的問題について率直に意見を述べる大坂は月曜日に受けた試合前の記者会見で、この大会で得た賞金を父の母国であり地震の被害を受けたハイチに寄付すると発表した。

 現地の日刊紙『シンシナティ・エンクワイヤラー』のコラムニストであるポール・ドハティ氏は、どのようにして記者会見での心地悪さと発言する必要性のバランスを取っているのかと彼女に尋ねた。大坂は少しの間考え、次の話題に移るよう示唆した会見の進行役を制してドハティ氏に質問を繰り返すよう頼んだ。彼女はその質問に対し、のちにこのライターが34年のテニス記者人生で最高だったと表現した答えを返した。

「私にとって…これは私が皆さんのために話せることではないことだと感じています。私は自分のためだけに話すことができます。私はもっと若かった頃から多くのメディアに注目されてきました。そもそも私はテニス選手なので、自分のプレーと同じくらい自分のバックグラウンドのためでもあると思っています」と彼女は話した。

「だからこそ多くの人々が私に興味を持っており、そういう意味では私は多くの人々とかなり違っています。そして私がツイートしたりすると、たくさんのニュースが出てしまうのは避けられません。それは私がグランドスラム大会で何度か優勝しているからということは理解しています。私はそのようなことが起こる記者会見をたくさん受けるようになりましたが、そのふたつのバランスをどうやって取ればいいのかはっきりわからないでいます。私はあなたがそうしようとしているのと同時進行で、その答えを見つけ出そうとしていると言えると思います」

 このやり取りをしている間の大坂は心地よさそうに見えたが、彼女の代理人であるスチュアート・デグッド氏はツイッター上でドハティ氏のことを『いじめっ子』と表現した。

 この日初戦に臨んだ大坂以外の上位シード勢は第1シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)、第5シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、第8シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)が3回戦に駒を進めたが、第3シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)、第4シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、第6シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)、第7シードのビアンカ・アンドレスク(カナダ)は敗れた。

 アンジェリック・ケルバー(ドイツ)がスビトリーナを7-5 2-6 6-4で、オンス・ジャバー(チュニジア)がシフィオンテクを6-3 6-3で、カロリーナ・ムチョバ(チェコ)がアンドレスクを6-4 6-2で、パウラ・バドーサ(スペイン)はサバレンカを5-7 6-3 7-6(4)で倒し、それぞれシードダウンを演じた。

 そのほかの試合では第9シードのバーボラ・クレイチコバ(チェコ)、第10シードのベリンダ・ベンチッチ(スイス)、第11シードのペトラ・クビトバ(チェコ)、第14シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、エレナ・リバキナ(カザフスタン)、ジェシカ・ペグラ(アメリカ)、エレナ・オスタペンコ(ラトビア)が勝ち上がり、16強が出揃った。ペグラと対戦予定だった第12シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)は、右太腿のケガを理由に棄権した。

 昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中での移動を考慮し、USオープン会場でもあるフラッシングメドウでUSオープン直前に行われていた。(C)AP(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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