ロシアのプーチン大統領がUSオープン決勝でのジョコビッチに対するメドベージェフの勝利を称賛
USオープン決勝でのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対する勝利により、ダニール・メドベージェフ(ロシア)はロシアの男子がグランドスラム大会でタイトルがなかった16年間に終止符を打ったことでクレムリンから祝辞を受け取った。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は公式な祝辞の中で、「素晴らしい勝利」とメドベージェフを讃えた。
「この威信ある大会の決勝までの道程で、貴方は最高レベルのスキルと目標を達成するための辛抱強さを示して見せた。決勝で貴方は強く高名な対戦相手にどんなチャンスも残さず、冷静に自信に満ちたプレーをした」とプーチン大統領は述べた。
「それが真のチャンピオンが見せるプレーの仕方というものだ!」
日曜日の決勝でジョコビッチを破ったことでメドベージェフはロシア人としては2014年のマリア・シャラポワ(ロシア)以来、さらにロシア人男子では2005年のマラト・サフィン(ロシア)以来のグランドスラム大会優勝者となった。かつて男子の世界ランキングで厚い選手層を誇っていたロシアにとって、これは長い待ち時間だった。
ニューヨークでのメドベージェフは、ジョコビッチが『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』を達成することを期待していた観客たちにも対処しなければならなかった。観客の一部はメドベージェフが勝利に迫る中、彼に野次を飛ばした。
ロシア外務省のスポークスマンを務めるマリア・ザハロワ氏は表彰式でのジョコビッチへの暖かいコメントを強調しながら、その冷静な対処ぶりについてメドベージェフを称えた人物のひとりだった。メドベージェフはそこで、ジョコビッチを「史上もっとも偉大なテニスプレーヤー」と呼んだのだ。
「私はダニール・メドベージェフの表彰式でのスピーチに感銘を受けました。彼はノバク・ジョコビッチの偉業とスキルを称賛しつつ、非常に大きな敬意と尊厳をもって対戦相手について語ったのです」とザハロワ氏はフェイスブックに綴った。
騒々しいニューヨークの観客たちはロシア語のソーシャルメディアを通してある者たちをいら立たせていたが、メドベージェフにとってそれは目新しいことではなかった。彼は5セットでラファエル・ナダル(スペイン)に敗れた2019年USオープン決勝への過程で、ブーイングや野次によて自分は成長するのだと話していた。
メドベージェフは国営テレビに、自分の成功がロシアテニスの進化を促すよう願っていると語った。
「優勝できて、自分の名前を何らかの形でロシアのスポーツとテニスの歴史に刻むことができて幸せだ」と彼は月曜日に放送された番組の中でコメントし、今度はグランドスラム大会でロシア人同士の決勝を見たいと言い添えた。
「僕たちはデビスカップや他のチームイベントに勝っているのだから、間違いなくそれは可能だと思うんだ。ロシアでテニスが今後も上昇し続けるよう願っているよ」
1996年から2005年にかけて、ロシアのテニス界はエフゲニー・カフェルニコフ(ロシア)とサフィンの2人がグランドスラム大会の男子シングルスで合計4つのタイトルを獲得した。その後はサフィン、ニコライ・ダビデンコ(ロシア)、ミカエル・ユーズニー(ロシア)がグランドスラム大会で準決勝に進出したが、誰も決勝に辿り着くことができなかった。
男子テニス界の『ビッグ3』と呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ジョコビッチがテニスシーンを支配する中、ロシアの男子テニスは静かに衰退していった。2015年の一時期には、ATPランキング50位以内にひとりもロシア人選手がいないことすらあったのだ。
しかし今やロシアは世界2位のメドベージェフに5位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と、トップ5にふたりを擁している。ほかにもアスラン・カラツェフ(ロシア)が今年のオーストラリアン・オープンで準決勝に進出し、カレン・ハチャノフ(ロシア)は先月の東京オリンピックで銀メダルを獲得した。
ユーズニーは月曜日にロシアの日刊スポーツ新聞『スポルト・エクスプレス』に対し、現在2位のメドベージェフがジョコビッチを追い越して1位になることは可能だと発言した。
「テニスのレベルと成績から判断すれば、彼はランキング1位の有力候補のひとりだ」とユーズニーは明言した。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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