ジョコビッチがパリ・マスターズでさらなる記録に挑戦、オーストラリアン・オープン出場については決断を保留
ATPツアー公式戦の「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000/フランス・パリ/11月1~7日/賞金総額308万4450ユーロ/室内ハードコート)でさらなる記録の樹立を目指し、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がUSオープン決勝での敗北以来となる大会復帰を果たす。ジョコビッチは今大会でシングルスのほか、同胞のフィリップ・クライノビッチ(セルビア)と組んでダブルスにもエントリーしている。
ジョコビッチは7度目の年末世界ナンバーワンを狙っており、もし実現すれば最多記録で並ぶピート・サンプラス(アメリカ)を抜いて単独トップに立つことができる。トリノで開催されるATPファイナルズへの出場権を巡るポイント争いで2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)に1900ポイント差をつけてトップに立っているジョコビッチは、今大会の結果次第で年末世界ナンバーワンを決める可能性がある。
「年末世界ナンバーワンはメドベージェフと僕の一騎打ちで、僕はランキングポイントという観点でかなりいいポジションにつけている」とジョコビッチは日曜日の記者会見でコメントした。
「だからそれは代表チームと一緒にデビスカップでいい結果を出すことに加え、シーズン末の目標であることは明らかだ。そんな訳でシーズンを力強く終え、年末世界ナンバーワンの座を勝ち獲れるよう願っているよ」
1位の座を争うジョコビッチとメドベージェフはそれぞれ、パリ・マスターズとATPファイナルズに出場を予定している。パリのチャンピオンは1000ポイント、ATPファイナルズの優勝者は最大で1500ポイントを獲得することができる。
現在のATPランキングは新型コロナウイルス(COVID-19)の状況を考慮して未だ2019年と20年の結果を部分的に含んでいるが、年末世界ナンバーワンはATP(男子プロテニス協会)が今シーズンの世界最高パフォーマンスを反映したいと望んでいることから2021年の成績のみを基に決められる。
フィットネスを強化してセルビア代表チームと臨むデビスカップ・ファイナルズの準備をするため、ジョコビッチはダブルスもプレーすることを決めた。東京オリンピックで疲労困憊したように見えたジョコビッチは9月12日を最後に公式戦でプレーしておらず、フィットネスのレベルについて不安視されている。
「今シーズンは非常に消耗し、あらゆる面で要求の厳しいものだった。でも僕は以前にも似たような状況を経験しており、かなり疲れていたけど何とか力を振り絞って力強くシーズンを終えたことがあるんだ。今回もそうできるように願っているよ」とジョコビッチ話した。
パリ・マスターズで最多記録となる5度の優勝を誇るジョコビッチは、今回も勝てばATPマスターズ1000の獲得タイトル数でトップに並ぶラファエル・ナダル(スペイン)を追い抜くことができる。ふたりはそれぞれマスターズ大会で36勝を挙げており、3位のロジャー・フェデラー(スイス)を8勝も上回っている。
一方でグランドスラム大会を20回制したジョコビッチはワクチン接種に関わる規則が不透明なため、来年1月のオーストラリアン・オープンでプレーするか否かについてまたも明言しなかった。
「テニス・オーストラリア(豪州テニス協会)の公式声明を確認してから、オーストラリアに行くかどうか決めることにするよ」とジョコビッチは説明した。
2月に自身の持つ最多記録を更新する9度目のオーストラリアン・オープン制覇を果たしたジョコビッチはグランドスラム獲得タイトル数「20」でフェデラーとナダルとともに男子の歴代トップに並んでいるが、COVID-19のワクチンを接種したかについて明かさなかった。もし彼が未接種の場合、3連覇中のオーストラリアン・オープンに出場できない可能性がある。
また1969年以来となる男子テニスの『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成を逃したにもかかわらず、ジョコビッチはニューヨークでのメドベージェフに対する敗戦をポジティブな瞬間に転換した。
「USオープン決勝での敗戦は僕にとって恐らく最悪の瞬間、或いはある意味で最高の瞬間に起きたと感じている」
最大の挑戦だったUSオープン決勝が終わる少し前、ジョコビッチはチェンジコートのベンチでフラッシングメドウの観客が自分を元気づけようとする大声援を聞きながら頭にタオルを被って涙を隠していた。
「僕がコートに足を踏み入れた瞬間からコートを出るまで、あの観客たちから受け取ったエネルギーは一生の勝利だ」とジョコビッチは語った。
パリ・マスターズでは上位8シードは1回戦がBYEで免除されており、ジョコビッチはファビオ・フォニーニ(イタリア)とマートン・フチョビッチ(ハンガリー)の勝者と初戦で対戦する予定になっている。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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