「目標はブレッツェルのようにプレーしないこと!」 [メドベージェフ×シフィオンテクTecniLIVE特別対談Part2]
テクニファイバーの“テクニライブ”で、同メーカーと契約しているダニール・メドベージェフ(ロシア)とイガ・シフィオンテク(ポーランド)が対談を行った。Part2では東京オリンピックとメドベージェフの独特なバックハンドについて語った。
司会はフランス人ジャーナリストのブノワ・マイリンが務めた。
マイリン「イガ、東京オリンピックではどうだった? 君の父は過去に出場したことのある選手だったから、プレッシャーを感じたんじゃないか?」
シフィオンテク「そのことは意識していた。東京に行く前に父と話して、その経験を比較していた。父のためというよりは、自分自身のためにプレッシャーを感じていた。私には野心があったから。自分を妨害していたプレッシャーは自分が生み出したものだった。オリンピックではプレッシャーへの対処が難しかった。凄く勝ちたい大会だから余計に難しかったのかもしれない。パウラ・バドーサ(スペイン)に負けたけど、彼女が素晴らしいプレーを見せた。試合中ずっとディフェンスを強いられているような気持だった。でもあの経験ができたことがうれしい。これから数年後にはその経験を生かしたいと思う。それが成長のためには大事なこと。多くのオリンピック経験者と話したけど、皆が揃って言っていたのは“初めてのときは出場するだけで、終わってしまう”ということ。初回は大きなことを成し遂げようとは思わず、まずすべてのことに慣れたほうがいいと言われた」
マイリン「今年のオーストラリアン・オープンでシモナ・ハレプ(ルーマニア)に敗れたとき、彼女には多くのオプションや戦術があり、自分にはないと言っていた。その後、その問題は解決したのかい?」
シフィオンテク「直近の大会ではハレプ、ペトラ・クビトバ(チェコ)、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)のような経験豊富な選手と対戦しなかった。オーストラリアン・オープンでハレプに負けたとき、コートを去るときに“経験の差だけだった”と思ったのを覚えている。彼女がコート上でどのように対応したか、プレーを大幅に変えてきて、ほぼイーブンだった試合が突然一方的になった。凄い嫌な瞬間だった。自分のやるべきことができていたのに…。彼女が何かを変えたのに気付くのが遅すぎたかもしれない。その影響もあり、第3セットは数ポイントの差で落とした。そこが彼女の素晴らしいところだと思う」
マイリン「その経験を踏まえ、今シーズンの終わりにコーチとどんなことを話すのか?」
シフィオンテク「ブレッツェルのようにプレーしないことを目標にするつもり」
メドベージェフ「何? ブレッツェルのように??」
シフィオンテク「ええ、ブレッツェル。英語ではブレッツェルと言わないみたいね。こういう形のパン」
メドベージェフ「ああ、パンのブレッツェルは知っているよ。ブレッツェルのようにプレーするのはどういう意味なんだ?」
シフィオンテク「気分を害して欲しくないんだけど…」
メドベージェフ「今までブレッツェルと呼ばれたことがないから大丈夫だよ」
シフィオンテク「バックハンドのときに、こう、少し窮屈そうに打つこと。いいことよ。私はそれを見るのが好き。悪いことじゃないの。でも、私のコーチは私にもっと安定したプレーをして欲しいと思っていて、それを修正しようとしている。試合中、相手の重いショットでバランスを崩してしまい、踵に体重が乗ってしまうことがあるから。今はその練習をたくさんしている。でも、あなたに聞きたかったの。どうやってブレッツェルのようにプレーできるのかをね」
メドベージェフ「これから皆にブレッツェルと呼ばれるのが楽しみだよ! 僕は子供の頃、コーディネーションが凄く悪かった。だから皆が僕に強いボールを打つと、バランスを崩してロブを上げて凌ぐしかなかった。技術的に足りないのに、いつも勝ちたかった。自分よりも相手が強いから、彼らが嫌がるショットが必要だったんだ。相手の体力、パワー、スピードが上回っているからテクニックで対抗しようとした。もう15、16歳になっていて遅かったけど、コーチのエリックとバランスがよくなるようにトレーニングしたんだ。今もその課題に取り組んでいる。でも、何とか自分の体をコントロールできていると信じている。なぜこんな風に打つのか自分でもよくわからないんだ。でも、大事なのはボールをコートに入れることだよ」
マイリン「話の途中で申し訳ないが、イガはそろそろ練習に行かなければならない。そうだよね?」
シフィオンテク「そうなの。皆とお話ができて楽しかった。ありがとう!」(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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