イーメル兄弟がスウェーデンのカナダに対する番狂わせの立役者に「勝てると信じることが超重要」 [デビスカップ・ファイナルズ]

写真はカナダ戦のオープニングマッチで勝利をおさめたエリアス・イーメル(スウェーデン)(Getty Images)


 男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリッド、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)が開幕し、初日は3つのグループのラウンドロビン(総当たり戦)第1戦が行われた。

 エリアス・イーメル(スウェーデン)は試合前、例え大会でもっともランキングの低い国のひとつだったとしてもスウェーデンは今大会で成功をおさめることができると言うことを躊躇わなかった。そして彼はその言葉を、木曜日にマドリッドでの素晴らしいグループB初戦の勝利で裏付けた。

 そのあとイーメルはもうひとつのシングルスで戦う弟のミカエル・イーメル(スウェーデン)を応援し、その試合に勝ったことで前回大会の準優勝国で第2シードのカナダに対するスウェーデンの勝利が決まった。

 スウェーデンはイーメル兄がスティーブン・ディエズ(カナダ)を6-4 6-2で破り、続いてイーメル弟がバセック・ポスピショル(カナダ)を6-4 6-4で退けたあとダブルスでも勝って3勝0敗で国別ランキング6位のカナダを下した。

「奇跡だ。他のどんな国でもこんなことは目にしない。兄弟2人がプレーするというのは、多くのスポーツで見られることじゃないよ」とイーメル兄はコメントした。

「僕らの両親はエチオピアからの移民なんだ。僕らはともに、世界最大のテニス大会でスウェーデンを代表するナンバー1と2みたいなものだ。あまり頻繁に目にすることじゃないよ」

 世界ランク171位のエリアスはディエズに対して第1セット1-4から巻き返し、彼より2歳若い同93位のミカエルはポスピショルに対して手にしたふたつのブレークポイントを逃さずものにした。

 弟ミカエルは自分たちの勝利について、間違いなく母国で反響を呼ぶだろうと語った。

「僕たちが子供のころ、父にとってそれは大きな夢のひとつだったんだ。チームと国にかかわることだから、プレーしているときや大会中はそのことについてあまり考えたりはしない。でももちろん、ふとした瞬間にそれが美しいストーリーだと思うことはしょっちゅうあるよ」

 ダブルスでもアンドレ・ゴランソン/ロベルト・リンドステット(スウェーデン)がポスピショル/ブレイデン・シュナー(カナダ)を7-6(5) 6-4で倒し、スウェーデンが3戦全勝で初戦を締めくくった。

 国別ランキング14位で改訂された新しいフォーマットのファイナルズに出場するのはこれが初めてとなるスウェーデンは、デビスカップで2011年以来となる準々決勝進出を目指している。

「僕が(自分たちがこの大会で優勝することが可能だと)言ったのは、信じることは超重要だと思うからなんだ。それは誰もが取り組まなきゃいけないことだと思うよ」とイーメル兄は話した。

「僕がそう言ったのは、自分たちが勝つことができないと信じているならどうして僕らはここにいる必要があるのかっていうことさ」

 初めて行われた2019年のファイナルズでカナダは決勝に進出して開催国スペインに敗れたが、そのときにはポスピショルがチームの原動力となっていた。

 パンデミックにより2年ぶりに開催された第2回ファイナルズはマドリッドのほか、オーストリア・インスブルックとイタリア・トリノの3会場で同時開催されている。

 同日には国別ランキング1位のフランスと同2位のクロアチアもまた、それぞれグループステージの初戦で勝利をおさめた。その一方でディフェンディング・チャンピオンのスペインは18歳のカルロス・アルカラス(スペイン)が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で陽性と判定されたためチームを離脱することになり、最大の注目選手を失った。グループAのスペインは、金曜日にエクアドルとの初戦に臨む。

  トリノで行われたグループDの対戦では、デビスカップで28回栄冠に輝いたオーストラリアに対してボルナ・ゴヨ(クロアチア)とマリン・チリッチ(クロアチア)が2018年優勝国のクロアチアに勝利をもたらした。

 世界276位のゴヨが直面した5つのブレークポイントをすべてセーブして同61位のアレクセイ・ポプリン(オーストラリア)に7-6(5) 7-5で競り勝ち、世界30位のチリッチは同34位のアレックス・デミノー(オーストラリア)とのエース対決を6-1 5-7 6-4で制した。ダブルスにも快勝したクロアチアは、1試合も落とさず好スタートを切った。

 グループCはインスブルックで行われ、フランスはベテランのリシャール・ガスケ(フランス)が第1シングルスを落としたため国別ランキング18位のチェコに対して3セットにもつれたダブルスで逆転勝ちをおさめる必要があった。

 世界143位のトマーシュ・マチャク(チェコ)に11本のサービスエースを決められた35歳のガスケが6-7(3) 2-6に敗れ、続くエース対決でアドリアン・マナリノ(フランス)がイリ・ベセリ(チェコ)に6-7(1) 6-4 6-2で逆転勝利をおさめて1勝1敗となった。ダブルスでもピエール ユーグ・エルベール/ニコラ・マウ(フランス)が第1セットを落としたが、挽回してイリ・レヘカ(チェコ)/マチャクを3-6 6-4 6-3で振りきった。

 ファイナルズでは18ヵ国が3チームによる6グループに別れて総当たり戦を行い、各グループの1位と2位の中でもっとも成績のいい2チームが決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はベスト・オブ・3セットマッチで行われ、シングルス2試合とダブルス1試合で争われる。

 昨年の大会はパンデミックにより、開催中止となっていた。オーストリアがロックダウンに入ったためインスブルックでの試合は無観客で行われ、トリノが収容人数の60%に制限され、マドリッドは最大75%までの観客動員が許可されている。

 2019年大会では7日間に渡って全試合がマドリッドで行われたが、プレーヤーやファンから時間が遅すぎてスタンドに空席が目立つナイトマッチと対戦の間に十分な休みがないことに対する批判が出たため大会期間を11日間に延ばして会場を3都市に分けて行うことを決めていた。(APライター◎タレス・アッゾーニ/構成◎テニスマガジン)

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