ATPツアー公式戦の「アデレード国際2」（ATP250／オーストラリア・南オーストラリア州アデレード／1月10～15日／賞金総額49万3875ドル／ハードコート）の男子シングルス準決勝でワイルドカード（主催者推薦枠）を得て参戦したタナシ・コキナキス（オーストラリア）が第4シードのマリン・チリッチ（クロアチア）との接戦を6-2 3-6 7-6(10)で制し、同種目でのツアー初優勝に王手をかけた。

　第3セットのタイブレークで一時6-2とマッチポイントを4本握りながらやや消極的になったコキナキスは5ポイントを連続で落として6-7、そして7-8と逆にピンチに立たされた。しかしそこからアグレッシブな姿勢を取り戻したコキナキスはバックハンドのダウン・ザ・ラインと2本のサービスエースで9-8とリードし、ふたたび流れを引き寄せた。

　チリッチも簡単には譲らずさらに数分の凌ぎ合いがが続いたが、最終的に7度目のマッチポイントでチリッチがフォアハンドをネットにかけて試合に終止符が打たれた。

　25歳のコキナキスがツアー大会で決勝に進出したのは、2017年8月のロス カボス以来で2度目となる。ダブルスでは2度決勝に進出し、ジョーダン・トンプソン（オーストラリア）とのペアで2017年1月にブリスベンでタイトルを獲得している。

　試合後のオンコートインタビューでコキナキスは、「タイブレーク6-2まではで凄くいいプレーをしていたけど、それからこの上なく硬くなってしまった。彼がマッチポイントを握り、“自分の殻に閉じこもるか迷って死ぬかだ”などという考えが頭を駆け巡ったけど、僕はただバックハンドをライン際に打ち込んだんだ。それが何とかうまくいったよ。それから何本かビッグサーブを打ち込み、ただアドレナリンを頼みにプレーした。観客の皆さんが困難を切り抜けさせてくれたんだ」と振り返った。

「観客の皆さんは信じられないほど素晴らしい。コートに足を踏み入れた瞬間から、試合が始まりもしないときから興奮を感じたよ」

　同胞対決となったもうひとつの準決勝では、アルトゥール・リンデルネック（フランス）が予選勝者のコランタン・ムーテ（フランス）を6-1 6-3で退けた。昨年シーズンに初のトップ100入りを果たした26歳のリンデルネックは、ATPツアーのシングルスでキャリア初の決勝進出を決めた。

　世界ランク自己最高の58位で今大会を迎えているリンデルネックは、「僕の頭の中では非常にタフな試合だった。母国の選手との対戦がどのようなものかは皆が知っているはずだ。少し緊張したけど、比較的短い時間で勝つことができてよかったよ」と試合後に話した。

「決勝に進出できて幸せだ。これは昨夏のキッツビューエルでの準決勝に続く、新しい前進の一歩だよ。僕は今、1年の最初の大会で決勝に進出した」（テニスマガジン）