若手たちの躍進、ナダルの準々決勝の相手はズベレフを倒したシャポバロフ「少しずつ自信が増していくのを感じている」 [オーストラリアン・オープン]

写真はデニス・シャポバロフ(カナダ)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の大会7日目は、トップハーフ(ドローの上半分)の男女シングルス4回戦などが行われた。

 ここ1~2年にそれぞれのペースで徐々に頭角を現し始めていた男子の若手たちが、メルボルンで本格的に花開きつつあるところを見せている。

 20歳のヤニク・シナー(イタリア)、21歳のフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)、22歳のアレックス・デミノー(オーストラリア)、そしてすでに世界ランク4位で23歳のステファノス・チチパス(ギリシャ)、24歳のテイラー・フリッツ(アメリカ)らが揃って4回戦に駒を進めた翌日、男子シングルス4回戦で22歳のデニス・シャポバロフ(カナダ)が24歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-3 7-6(5) 6-3で倒してベスト8進出を決めた。

 自身も若い新勢力のズベレフは既にグランドスラム大会決勝を経験していることや世界3位というステイタスのためより勝つべき男と見られていたが、この日の彼は若さゆえの大胆さや活力という意味でシャポバロフに大きく劣っていた。

 試合を通してより主導権を握り、リスクを恐れずより攻撃的な姿勢を持って戦ったのは第14シードのシャポバロフのほうだった。子供の頃から母に仕込まれたというネットプレーを効果的に織り交ぜながら試合を優位に進めたシャポバロフは早い段階でブレークに成功して3-1とリードし、第1セットを6-3で先取した。

 第2セット第1ゲームでデュースからダブルフォールトを犯してブレークポイントを献上したあと、思い切りよく打ちこんでくるシャポバロフのショットに押されてフォアハンドをミスしていきなり自分のサービスゲームを落としたとき、第3シードのズベレフはフラストレーションからラケットを地面に叩きつけた。

 そこからシャポバロフもややサービスの調子を落として第2セットはタイブレークにもつれ込んだが、それでも試合の流れが大きく変わることはなかった。タイブレークでのシャポバロフは5-1リードから6-5まで追い上げられたが、最後はラリーで押し込んでズベレフからミスを引き出し2セットを連取した。そのあとのズベレフはやや気落ちし、もはや状況を覆そうとする意地を見せることすらできなかった。

「何とか切り抜け、今日もまた勝つことができてうれしいよ。ストレートで勝てるのは常にいいことだけど、この試合を3セットで終わらせられるとはまったく期待していなかったからね」と試合後にシャポバロフはコメントした。

 この試合で5本以上続いたラリーをズベレフより遥かに高い確率で制していたシャポバロフは特に自分の忍耐力と組み立ての知性に満足感を示し、「それは僕が学び、身に着けようと努力してきたことなんだ」と話した。

「残念ながら忍耐力は、僕が生まれながらに持つ資質ではない。僕はいつも速いプレーをして思い切って決めにいきたがるほうなんだけど、サーシャ(ズベレフ)のような度量の選手とプレーするときにはそれは難しい。ラリーで踏ん張り、ポイントを取るためにしっかりとプレーを組み立てなければならない。そしてチャンスを手にしたときに、思い切って打ち込んでいくんだよ」

 昨年末に新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したシャポバロフは回復が間に合わず、年頭のATPカップでは初戦をスキップした。しかし彼は大会を通して徐々に調子を上げ、最終的にそこで母国の優勝に貢献することでいい流れに乗った。

 準備不足のせいでちょっとした心身の問題はあったと認めながらも、シャポバロフは「日によって違うけど、試合をするたびに少しずつ自信が増していくのを感じている」とポシティブな感触のほうを強調し、「僕はここまでの自分のプレーとファイティングスピリットに満足しているよ。毎試合を懸命に戦うだけだ。こんなふうに続けていければいいね」と前を見つめた。

 シャポバロフフは準々決勝で、第6シードのラファエル・ナダル(スペイン)を対戦する。ナダルはタイブレーク16-14と非常に競った第1セットをもぎ取り、最終的にアドリアン・マナリノ(フランス)を7-6(14) 6-2 6-2で退けた。

「これは僕にとって大きな価値を持つ勝利だ。特に第1セットを取れたことを本当にうれしく思う。第1セットで僕は、厳しい瞬間に踏ん張り抜いた。だから、ああ、僕にとって非常に重要な勝利だった」とナダルは4回戦を振り返った。

 ナダルは次の対戦相手について、「シャポバロフは驚くべき潜在能力を持つ選手だ。いいプレーをしているときの彼を止めるのは本当に難しい。それは皆が知っていることだ」と評価した。

 初対戦だった2017年にナダルは一度だけシャポバロフに敗れているが、そのあとは3連勝している。もっとも昨年のローマでの対戦は、第3セットがタイブレークにもつれる接戦となっていた。

「ナダルのような選手と対戦するのは常に光栄なことだ。楽しい試合になるだろうね。彼に対してはいつだって厳しい戦いになる」とシャポバロフは次戦を見据えた。来たるナダル戦で、彼が学び始めた忍耐力がより一層試されることになるのはほぼ間違いない。

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

写真◎Getty Images

Pick up

Related

Ranking of articles