シフィオンテクがラドバンスカも指導した新コーチの下で目指す新しいテニスとは?
WTAツアー公式戦の「カタール・トタルエナジーズ・オープン」(WTA1000/カタール・ドーハ/2月20~26日/賞金総額233万1698ドル/ハードコート)の女子シングルス決勝でアネット・コンタベイト(エストニア)を6-2 6-0で下して優勝して世界ランク自己最高の4位に至ったイガ・シフィオンテク(ポーランド)は、新コーチの下でいい2022年のスタートを切った。
ツアーレベルでキャリア4つ目のタイトルを獲得した20歳のシフィオンテクはジュニア時代から師事していたピオトル・シェルツプトウスキー氏と別れ、オーストラリアン・オープン前からアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)の元コーチだった経験豊富な指導者であるトマシュ・ウィクトロフスキー氏とともに働き始めていた。
優勝を決めたあと、シフィオンテクは「トマシュはテニスに対するアプローチを変えるよう、私を説得したの。今の私はよりアグレッシブにプレーしており、私はその姿勢が気に入っているわ。最初はあまり確信を持てないでいたんだけど、今は私に違う視点を与えてくれた彼に感謝しているのよ」と話した。
「ワルシャワでの練習は、ツアーに行くのとはまったく違う。だから私はここ数週間に私たちがいい関係を築き、チームの中にいい雰囲気があると証明できたことをうれしく思う。私たちは楽しんでいる。私にとって、チームメンバーがいい関係を保っていることは常に重要なことなの。そうすれば完全なサポートを受けられるというのもあるけど、チームの皆と過ごす時間が心地よくなるから。彼らは私に多くを与えてくれているわ」
WTA(女子テニス協会)が公式サイトで公開した優勝後のインタビューの中で、シフィオンテクは「大会全体と新しいプレースタイルのための目標は対戦相手にプレッシャーを与えることだったから、(ドバイ決勝でのプレーぶりを)かなり誇りに思うわ。私は今日、それをかなりうまくやってのけた」と語った。
「試合前に私は彼女(コンタベイト)がこれほど多くの大会で優勝することを可能にしたのは何か、彼女のテニスのどこが変わったの考えたの。そして私はそれをさせないようにしたかったから、先に仕掛けて攻撃する側になろうとしたわ」
「いつも試合のあとに言っていることだけど、以前の私はハードヒッターに対してそれができなかったから、私にとって重要なことなの。私はここでアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)に、そしてダリア・カサキナ(ロシア)やマリア・サカーリ(ギリシャ)のようなトップスピンを駆使する堅実なプレーヤーに対してそれができたわ。アネットは何でもできる選手だから、すべてを組み合わせなくてはいけないの。私たちがテニスに多様性を持たせるためにいい仕事をしていることを示すことができたことを誇りに思っているわ」
コーチを変えるというのは、難しいプロセスだ。シフィオンテクは2016年5月、コーチを父から前コーチのシェルツプトウスキー氏に変えた。シフィオンテクは父が自分のキャリアの土台を築いた人物だと認めていたが、父自身がさらなるステップアップのためにこの変更は不可欠だと判断したのだ。彼女を有望なジュニア選手からフレンチ・オープンのチャンピオンに育てたのがシェルツプトウスキー氏だった。
同じく出だしに父をコーチとしていた自国の名選手ラドバンスカは22歳のとき、シフィオンテクは20歳でウィクトロフスキー氏と新たなスタートを切ることになった。ポーランドのスポーツ新聞『プシェグロンド・スポルトヴィ(Przegląd Sportowy)』は、新コーチが彼女を新たな高みにいざなうことが期待されていると報じている。ラドバンスカはウィクトロフスキー氏とともにウィンブルドン決勝に進出し、世界2位に至った。
シフィオンテクがウィクトロフスキー氏と練習を始めたのは、オーストラリアン・オープン前の準備期間からだった。彼女は新コーチとともに身に付けようとしている多様性について、「私はこのところ、アタックのパターンを向上させるため懸命に努力してきたわ。自分の守備的なスキルはすでにかなりいいと感じていたからよ。そして前に行くときにも同じくらいうまくなり、心地よく感じたいと思っているの」と説明した。
「ここ数年はランキングもよかったし攻撃もできたとはいえ、だからといってトップ5やトップ10のハードヒッターを倒せるという訳ではなかった。でも今は自分のオプションが増え、戦い方を選ぶことができるからそれができると感じているわ。もちろん常にできる訳ではないけど、問題に直面したときにもそれを解決してうまくプレーすることができるという考えが心の片隅で支えになっているの」
写真◎Getty Images
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