ATPツアー公式戦の「マイアミ・オープン」（ATP1000／アメリカ・フロリダ州マイアミ／3月23日～4月3日／賞金総額955万4920ドル／ハードコート）の男子シングルス3回戦で、ニック・キリオス（オーストラリア）が第31シードのファビオ・フォニーニ（イタリア）を6-2 6-4で下してベスト16に進出した。

　ともに並外れたショットを繰り出す才能を持ちながら振る舞いに問題がある選手として知られてきたふたりだが、やる気に満ちている今年のキリオスは試合を通してより集中力とプレーの一貫性を保っていた。

「勢いを継続させたかった。ブレークポイントを手にすれば、それをものにしたかった。早い段階からアグレッシブにいくことが大事だった。勝ち上がることができてうれしいよ。僕はリターンもうまく返せており、ダブルスをプレーしていることがシングルスでも助けになっている。今の僕はサービスもリターンもいいから、かなり見ものだと思うよ」とキリオスは試合後にコメントした。

「簡単ではなかった。ファビオはレーザービームのようなフォアハンドのウィナーを放ち、あれは僕をみっともなく見せたね。でも僕は黙々と“次のポイント、次のポイント”と考えて取り組んだ。それが彼とプレーするときに持たなければならない精神姿勢だと思う」

　オープニングゲームでキリオスがブレークしたあと、フォニーニは時折スーパーショットを放ちながらも要所で安易なミスを犯し、やや散漫なプレーぶりで第1セットを落とした。第2セットはより拮抗したが、やはりキリオスが重要な瞬間に気迫を見せて4-4から相手のサービスゲームを破ったあと、最後は目覚ましい勢いでキープして試合を締めくくった。

「エネルギッシュに、早い段階で攻撃すればいけると信じていた。ここ数試合のプレーぶりやサービスの出来を見れば、これ以上は望めないほどだ。マイアミ・オープンでいいプレーをし、体は健康だ。僕はそれを大いに活用するよ」とキリオスは自身の充実ぶりについて語った。

　また友人でありダブルスパートナーでもあるタナシ・コキナキス（オーストラリア）について聞かれたキリオスは、「彼の活躍を目にできるのは素晴らしいことだ。彼は辛い時期を過ごし、一時はふたたびテニスをプレーできるのかと自問するような恐怖さえ経験したからね。しかし今の彼はついに幸せになり、勝っている。勝っている点は、僕にはそう重要じゃない。大事なのは彼が今、人間として幸福だということだ。僕らにはまだダブルスもある。そっちも楽しみにしているよ」と答えた。

　コキナキスはそのあとナイトマッチで同じ予選勝者のデニス・クドラ（アメリカ）に7-6(5) 4-6 7-6(4)で競り勝ち、キリオスに続いて16強入りを決めた。

　今大会にワイルドカード（主催者推薦枠）で出場したキリオスは4回戦で、第9シードのヤニク・シナー（イタリア）と対戦する。彼の相手は一時、大方の予想を裏切って第17シードのパブロ・カレーニョ ブスタ（スペイン）になるかに見えていた。しかしシナーはカレーニョ ブスタに対する3回戦で第3セット2-5という劣勢に立たされながら、そこから鋼のメンタルで5つのマッチポイントを凌いだ末に5ゲームを連取し、最終的に5-7 7-5 7-5で勝利をもぎ取った。

次ページ　>　マイアミ・オープンで16強入りを決めたキリオス選手

• «
• 1
• 2
• »