注目の若手対決でコルダがアルカラスに勝利「本当に厳しい試合だった」 [モンテカルロ・マスターズ]
ATPツアー公式戦の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000/モナコ・モンテカルロ/4月10~17日/賞金総額580万2475ユーロ/クレーコート)の男子シングルス2回戦で、今大会最注目選手のひとりだった第8シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が同じく急上昇中の若手であるセバスチャン・コルダ(アメリカ)に6-7(2) 7-6(5) 6-3で敗れるという波乱があった。
上位8シードは1回戦がBYEで免除されており、18歳のアルカラスはこの試合が初戦だった。
興味深い若手対決が目白押しだったこの水曜日、3時間を超える闘いの末にセンターコート最初の試合を制して16強入りを決めたのは21歳のコルダだった。
相手も将来を嘱望される才能ある選手だっただけに必ずしも大波乱とは言えない結果だったとはいえ、マイアミでマスターズ初制覇を果たしたばかりだったアルカラスは優勝候補の一角とさえ見なされていた。大会開始時にスペインの新聞はアルカラスにとって初戦となるコルダ戦をすっ飛ばし、起こり得るノバク・ジョコビッチ(セルビア)との準々決勝について議論していたのだ。しかし蓋を開けてみれば、ジョコビッチとアルカラスの双方が初戦で姿を消すことになった。
この試合を通して非常に落ち着きを保っていたコルダは全体的にストローク戦で優位に立ち、チャンスと見ればネットに出てボレーを決めるアグレッシブな姿勢を貫いた。
風が強いコンディションの影響もあってサービスブレークが非常に多かったこの試合で、最初に相手のサービスゲームを破ったのもコルダのほうだった。アルカラスが直ぐに追いついたあと一度ずつブレークし合って第1セットはタイブレークにもつれ込んだが、アルカラスはマイアミで彼の専売特許だったアグレッシブなプレーで主導権を握ることができず、やや辛抱強すぎる姿勢を取って後手に回ることになった。逆にコルダはマイアミではアルカラスの武器となっていたドロップショットを非常に効果的に使い、そのショットのウィナーでタイブレークを締めくくった。
第2セットでのアルカラスは断続的にではあるがより攻撃的な姿勢を取り戻したが、最終的に取ったタイブレークでもコルダのほうがラリーで優位に立っている印象は否めなかった。第3セットの出だしにはよりのびのびとプレーし始め2-0とリードしたアルカラスだったが、まったく引かないコルダはふたたびストローク戦で主導権を握り、ブレークバックに成功した。結局4-3からのゲームで2度目のブレークを果たしたコルダが最終セットを6-3で取り、試合に終止符を打った。
「勝ててうれしいよ。僕は試合を通して落ち着きを保ち、自分のリターン力を信じていた。本当に厳しい試合だった。風が強かったけど、僕はフロリダで育ったから風には慣れているんだ。僕はこのコンディションをアドバンテージとして使うことができたと思う」とコルダは試合にコメントした。
「クレーコートでのプレーは好き」と公言するコルダは国籍こそアメリカだが、フレンチ・オープンで決勝に至ったこともある名選手のペトル・コルダ(チェコ)と、同じくチェコのツアー選手だった母レジーナの間に生まれ、その両親からテニスの手ほどきを受けた。
一方で多くを期待されながら敗れたアルカラスは失望を滲ませながらも「死ぬ訳ではない。これはひとつの敗戦に過ぎないんだ」と話し、「(風があり)難しいコンディションでうまくいかなかった。慣れるのは簡単ではなく、相手がコルダとなれば尚更難しい」と試合を振り返った。
「彼(アルカラス)は素晴らしいサーブ力とフォアハンドを擁しており、俊敏だ。バックハンドもボレーも非常にいい。彼にはできないことなどないんだ。彼は強く、本当に厳しい対戦相手だよ。来たる数年、彼を倒すのは非常に難しくなるだろうね」とコルダはアルカラスを称えた。
コルダは3回戦で、同胞で第10シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)と対戦する。インディアンウェルズ優勝で一躍脚光を浴びたフリッツは、マリン・チリッチ(クロアチア)に6-3 4-6 6-4で競り勝った。ちなみにフリッツもまた、フレンチ・オープンで2度ベスト8入りしたキャシー・メイ(アメリカ)を母に持つ元トップ10選手の息子だ。
写真◎Getty Images
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