「戦争で仕事がないから、私が勝って仕送りをする」ウクライナに家族を残すザワツカ

4月5日のチャールストン・オープンでカロリーナ・プリスコバ(チェコ)にフルセットの末敗れたカタリナ・ザワツカ(ウクライナ)左胸にウクライナカラーのリボンをつけて戦う(Getty Images)


 ロシアによるウクライナ侵攻が始まったと聞いたとき、カタリナ・ザワツカ(ウクライナ)は1週間はラケットを握る気にならなかったという。ウクライナにいる家族の安全が気になり、プレーどころではなかった。

 しかし、今はプレーすることへの罪悪感から解放された。むしろ、プレーすることが義務だと感じている。ザワツカはインドのメディア『OUTLOOK』に語った。

「今、自分にできるのはテニスで賞金を稼いで家族に仕送りすること。ウクライナにいる家族は誰も仕事ができないのだから。みんな家にいるけど、仕事どころではないの」 

 侵攻が始まった当初、アメリカで大会のために準備をしていたザワツカは30分ごとに電話をかけて、家族の安否を確認していたという。

「毎日、両親や親戚に電話して、生きているのかどうか確認していた。こんなことをしているのが正しいのかわからない。でも、それが真実なの」

 ザワツカの父は、元々一緒にツアーを転戦する予定だった。だが戦争が始まり、予定通りにはならなかった。父はまず家族の女性たちを、ザワツカがオフシーズン中に練習するために借りているフランスのアパートに避難させた。自身はウクライナ西部のリヴネに残り、他の家族の男性とともに国を守るために戦っている。

「女性にとって、夫を残して出ていくのは大変なこと。私の従姉妹は妊娠していた。5歳の姪もいる。男性がいない中で、女性たちは独りで行動する訳にはいかない」

 ザワツカはテニスに集中するのが難しかったと語る。

「侵攻が始まって1週間は、何も手につかなかった。周囲にいる人たちは普通に音楽を聴き、笑って、おしゃべりして、普通に生きている。人には普通に生きる権利があるけど、自分も同じように普通に過ごすことはできなかった」

 ザワツカは4月15日と16日に、ダイアナ・イエストレムスカ、ナディヤとリューメラのキッシャノック姉妹とともにウクライナ代表として、ノースカロライナ州のアシュビルで開催されるビリー ジーン・キング・カップのファイナルズ予選でアメリカと戦う。自身のインスタグラムでその準備の様子を投稿している。

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写真◎Getty Images

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