スペインの新星アルカラスが母国の大先輩ナダルに初勝利、ジョコビッチの待つ準決勝へ [マドリッド・オープン]
ATPツアー公式戦の「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/スペイン・マドリッド/5月1~8日/賞金総額749万9290ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で、第7シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が『キング・オブ・クレー(クレーコートの王者)』の異名を持つ第3シードのラファエル・ナダル(スペイン)を6-2 1-6 6-3で倒してベスト4に進出した。
ケガからの復帰戦だったナダルは恐らく完全に本調子ではなかったとはいえ、それを差し引いてもスペインの新星アルカラスがいずれ母国の大先輩に土をつけるだろうという予感はここ数ヵ月ほど巷を漂っていた。
今年に入って急成長ぶりを見せ、既にナダルと張り合えるストローク力を披露していたアルカラスは期待通りのプレーで第1セットを先取した。しかし彼は少し調子が落ちところでナダルの反撃にあい、第2セットを比較的簡単に落とした。
そこから奮起して第3セットでふたたびレベルを上げたアルカラスは第4ゲームで先に相手のサービスゲームを破り、5-3で迎えたサービング・フォー・ザ・マッチも激しい攻防が繰り広げられたが、アルカラスが30-30からドロップショットのエースで最初のマッチポイントを掴むと最後はドライブボレーからネットに出たナダルをスピンのかかったパッシングショットで抜いて試合を終わらせた。
実際、そのラストポイントはなかなかの見ものだった。攻撃的なショットからネットに出かかったところを鋭い角度のショットで攻められたアルカラスは守勢に回り、コートの外に追い出されて何とか返した球をナダルがダイレクトで叩いてネットに出た。最後にやや山なりのフォアハンドがナダルを抜いてコート内に落ちたとき、アルカラスはガッツポーズを作る代わりに屈託ない笑みを浮かべた。
ネット際でお手本として敬ってきたナダルと暖かい抱擁を交わしたあと、アルカラスは「僕にとって大きな意味がある。今日は毎日毎日積んできたハードワークがその成果を生んだ。クレーコートで史上最強のプレーヤーであるラファを倒したということは本当に大きな意味がある」と心境を吐露した。
「第2セットを落としたあとにトイレ休憩を取って集中し直し、とにかく挽回するために最後の一球まで全力を尽くそうと考えたんだ。それがカギだったよ」
ふたりはこれが3度目のマッチアップだったが、アルカラスが初勝利を挙げた。昨年の同大会2回戦で実現した初対決では簡単に敗れていたアルカラスだったが、今年のインディアンウェルズ準決勝ではナダルをぎりぎりまで追い詰めて全速力でその差を縮めつつあるところを見せていた。
アルカラスは準決勝で、第12シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)を6-3 6-4で破って勝ち上がった第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。
次のジョコビッチ戦について尋ねられたアルカラスは、「もう次の試合に気持ちを集中させている。ジョコビッチをどうやって倒したのかラファに聞いて、何が起こるか見てみよう」と笑顔で答えた。
もうひとつの準決勝は、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)とステファノス・チチパス(ギリシャ)の顔合わせとなった。第2シードのズベレフが第8シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-3 7-5で退け、第4シードのチチパスは第6シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を6-3 2-6 6-4で振りきった。
写真◎Getty Images
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