「頭の中で歌ってリラックスできた」4回戦逆転勝利の秘訣を語るシフィオンテク [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の女子シングルス4回戦で、第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)が19歳のジェン・チンウェン(中国)を6-7(5) 6-0 6-2で倒してベスト8に進出した。
「少し肩の力を抜くようにした。彼女は強烈なトップスピンで素晴らしいテニスをする。第2セットでは、それを継続させないことがポイントだった。テンポを上げて彼女にうまくプレッシャーをかけることができた」
君も熱くなっていたが、陣営ではメンタルコーチのダリア・アブラモビッチがかなり熱くなっていた。彼女とどんな風に感情のコントロールに取り組んでいる?
「彼女が熱くなっていたとは思わないけど、皆が陣営から大きな声を出して応援してくれた。それはエネルギーを与えてくれることで、私のモティベーションを高める目的もある。それが感情的とは言わない。確かにこの試合はタイトなもので、簡単じゃなかったから、感情が大きく揺さぶられるものだった」
試合前の感触とプレーしてみての感触は違いがあった?
「まだちょっとわからない。これから試合を見返してしっかり分析しないといけない。これからチームのアドバイスにも耳を傾ける。でもまずは試合を見て、彼らが言っていることの意味をしっかり理解する必要がある。苦しいところからカムバックできた点には満足している。集中し直して、流れを変える方法はうまく見つけられた。今大会これまでの試合はリードしていたからあまり今日のような場面はなかった。第1セットを落としたけど、その中からよかった点は継続した。5-2か5-3から逆転されたのだから、よかったとは言えない。でも、第2セットからはいいプレーができた。それを次の試合に繋げたい」
インターネット世代として生きていることはどんなもの? 人生にどんな影響がある?
「素晴らしいと思う。でも、他の世代を生きたことがないから比べられない。大会ではインターネットと離れた生活をしている。1日数分しかオンラインになっていない。テレビを見るのに必要だけど、SNSのためには今は必要としていない」
第1セットを落としたあと、どんなことを考えていた?
「解決法を見つけるのは簡単じゃなかった。戦術を変えて、やることもいくつか変えた。何が間違っているのかわからなかったから。第2セットからは技術面でいろいろ変えようとした。重心を少し下げて、あまりボールを押し出そうとせず、いつものようにスイングすることを意識した。彼女のボールは速いから、リラックスするのは簡単じゃなかった。第2セットはあまりチームと話さず自分のことに集中した。そしてフォアハンドを少しスピードアップさせた。それが解決になったのかな。頭の中もクリアになって、歌を歌っていた。第1セットは技術面に集中し過ぎて、ちょっと硬くなっていたし、ショットのための準備があまりよくなかった。頭の中で歌を歌っていたの」
今大会、一番面白いコメントだ。
「でも初めてじゃないの。いつも何か歌っている。歌は変えているけど」
何の歌?
「デュア・リパの歌。ちょっと恥ずかしいんだけど」
ナンバーワンになって数ヵ月、うまく対応しているようだ。ナンバーワンで楽しいこと、苦しいことは?
「一番嬉しいのは、大会側が何時にプレーしたいか聞いてくれること。1位ということで対戦相手にプレッシャーをかけられているかもしれない。でも私もプレッシャーを感じるから、それはうれしくないこと。でも、ここまではうまく対応できていると思う。何を楽しめばいいのかな? 試合時間のリクエストは本当に楽しい」
グランドスラム大会で今日のようなフルセットの厳しい試合を経験することは、準々決勝、準決勝のビッグマッチを前にどのくらい大事だと思う?
「第2セットのカムバックは凄く大きな自信になった。このような、冷水のシャワーのような試合があることは重要だと思う。第1セットを落としたあと、どうカムバックするのかを思い出させてくれた。次の試合に向けてはポジティブなことがたくさんあると思う」
今年1セットダウンからの逆転は7試合目だった。それ以前はキャリアを通して8試合しかなかった。今年逆転勝利が多いのに理由がある?
「できれば第1セットを取りたいから、その数字を8に伸ばしたくない。オーストラリアで何度かカムバックできて、逆転する方法を見つけられたのは結構な驚きだった。今は逆転できる気持ちがある。以前はなかった新しいこと。でもあまり記録は気にしていない。でも簡単ではないの。ただ、第1セットを落としても第2、第3で勝つチャンスは十分にあるから、そこに集中している。第1セットが悪くても、フィジカル的にもメンタル的にもまだ逆転できる準備ができている」
今日の相手のチンウェンはいろんな武器を持った選手のようだ。今後も活躍する選手だと思う?
「もちろん。でも彼女がハードコートでプレーするのを見たことがないから、予想するのは難しい。物凄く重いトップスピンを打ってくるのが、ラケット越しに伝わってきた。それをうまく使いこなせれば本当に強い選手になると思う。WTAツアーでトップレベルを維持するのは、いろんな要素が関係してくる。彼女がそこに残れるかどうかわからないけど、素晴らしいテニスをするから、残ると願っている」
今年からロラン・ギャロスがナイトセッションを導入したが、どう思う?
「ごめんなさい、気づいてなかった! なんて答えたらいいんだろう? ファンにとっては素晴らしいと思う。選手にとっては凄く大変。試合後は午前3時か4時くらいに寝ないといけないから。でもグランドスラム大会では大抵、回復するため十分な時間を取ってくれる。うまくスケジュールを調整してくれると思う。ATPの試合もあれほど遅くに組まれているのを知らなかった。ナイトセッションでも私は大丈夫。でも、あまり心地よくはない。これまでのルーティンを変えないといけないからね」
シフィオンテクは準々決勝で、第11シードのジェシカ・ペグラ(アメリカ)と対戦する。
写真◎Getty Images
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