「キャスパーの成功を僕も喜んでいる」ナダルが自身のアカデミー出身のルードとの決勝に向けて [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス決勝に進出した第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)が、ケガで棄権を余儀なくされたアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)のこと、決勝で対戦するキャスパー・ルード(ノルウェー)について語った。
「この試合で起きたことは苦しく、美しいものではない。いま言えるのは、サーシャ(ズベレフ)が重傷でないことを祈るだけだ。骨折や靭帯断裂などではなく、足首を捻っただけの普通の捻挫であることを願っている。皆が願っている。足の状態はこれから検査しなければいけないようだ」
「とても、とてもタフな試合だった。彼は素晴らしいスタートを見せた。初めてのグランドスラム優勝を目指している彼にとって、どれほど重要な試合なのかわかっている。僕らは仲間で何度も一緒に練習してきた。僕にとってもロラン・ギャロスの決勝戦は夢なんだ。仲間にあのようなことが起きるのは残念だ。とても同情している。人間なら、仲間の不幸には同情するものだ」
試合後サーシャと話した? 彼が治療を受けているときどんなことを話した?
「彼が話したいなら、あとで話すだろう。僕は彼と一緒にいた。エコー検査で足首の状態をチェックしていた。僕はただ様子を見ていただけ。僕から言うことは何もない。彼が何か言うなら、それは彼が決めること。彼の代わりに話すことはできない」
コートはかなり遅いように見えた。またサーフェスが普段と異なる点は他にもあった?
「何度もここでプレーしてきたが、今日はかなり遅いサーフェスだった。湿気が高かったし、屋根も閉じていて、ボールが大きく膨れ上がっていたからスピンをかけるのが大変だった。僕にとっては最適なコンディションではなかった。だから自分の思ったように相手にダメージを与えることができなかった。本当に序盤の彼は物凄かった。第1セットは奇跡のようだ。諦めずに戦って打開策を常に考えていた。この環境下、そうでなくてもサーシャがいいプレーをしていると止められない。重いサーフェスで彼をコートの外に追い出すのはさらに難しかった」
「この重いコンディションで僕がいつものようにパワフルなショットが打てていないのを彼は感じていたと思う。僕がダウン・ザ・ラインへ、インサイドアウトで彼のフォアサイドへ打ち込んだとき、僕のショットはいつものようには弾んでいなかった。だから彼はうまくリカバリーできていた。バックハンドに対しても同じことが言える。彼のバックハンドは現在のツアーの中で最高のものだ。このコンディションの中で彼を後方に押し込むことができなかった。それに対して彼はいつも綺麗にボールをとらえていた。何とか生き延びたギリギリの場面が多かった」
サーフェスに問題はなかった?
「なかったと思う。ここのクレーコートは問題ない、いつも同じだ。ワイドへ走るときはいつでも滑りやすい。コートについてあれこれ話すことはない。コートの状態は悪くなかった。運が悪かったんだ。足首を捻ったのはコートのせいではない。あれは事故だ。コートのコンディションが悪かったからではない。凄く不運な場面で、すべてのサーフェスで起こり得ることだ」
決勝で戦うキャスパー・ルード(ノルウェー)はいつも君に憧れてきた。ラファのアカデミーで練習してきた。彼との対戦をどう思っている?
「彼のことはとてもリスペクトしている。まず友人として、彼は凄くいい性格だ。いい奴で素晴らしい家族がいる。それが一番だ。選手としても当然リスペクトしている。この数年間、素晴らしい成績を残している。今ランキング8位? それがすべてを物語っている。彼がここまできたのはサプライズではない」
誕生日おめでとう。決勝進出おめでとう。これまで多くのことを達成してきたが、まだ自分の力を証明したいことがある?
「毎日のことが大事だ。証明する必要があるという意味じゃない。自分がしていることをどれだけ楽しんでいるかだ。もし楽しくなかったら、まったく違う話になる。でも、自分が好きなことをしているのなら、やり続けられる。もしゴルフが好きなら、ずっとゴルフを続けるだろう。僕がテニスが好きで、ずっとプレーし続けられるなら、そうしたい。それだけだ。もちろん楽しんでいる。体がプレーできる状態なら、大会を戦うのが大好きだ。そして大会は世界最高のスタジアムでプレーするのが一番いい。そこで自分がこの年齢になってもまだ戦えることを感じられるとうれしい。それはある意味で誇りに思っている。自分がこれまでやってきたことにも満足感を感じられる」
タフな試合が3戦連続続いたが、足の状態、体全体の状態はどう?
「フィジカル面は大丈夫だ。フィジカル面はいつも問題ない。今日は暑くて湿度が高かった。このようなコンディションの日はフィジカル面でかなりきつい。オーストラリアン・オープンでのデニス・シャポバロフ(カナダ)の試合がそうだった。でも今日は違った。きつかったが、あのときほど苦しくなかった。アップダウンの激しい試合だったが、ハイレベルなテニスで素晴らしいポイントもあった。でも湿気でコンディションがとても重く、ボールもスローだと、乾燥しているときに比べてフィジカル面の負担は大きくなる」
メンタル面のチャレンジはどう? ローマからこの決勝までどんなものだった?
「ローマのあとに、そのことについては十分話した。そのときと変わっていない。ローマのあとに頭に浮かんだことはすべて説明した。それから何も変わっていない。足についてはあまりポジティブではなかった。でもここではプレーできると信じていた。そして今ここにいる。ここまでくるのにできることはすべてしてきたつもりだ。そして2週目の日曜日に、ロラン・ギャロスでまたもや決勝戦を戦うチャンスを掴むことができてうれしい。凄く意味のあることだ。プレーを続けるためにいろんなことを犠牲にしてきたが、この大会のようにいろんな場面を楽しめると、すべてが報われたと感じる」
確か、キャスパーは4年前に君のアカデミーにやってきた。そのとき、ここまで強くなると思っていた? 自分のアカデミーがこのように選手を育て上げたことを喜んでいる?
「キャスパーはプロの選手だ。テニスをするのに、素晴らしい人間性と性格だと思う。いつもリラックスしていて謙虚で、学ぶことに対していつもポジティブな姿勢だ。この期間にアカデミーは彼の成長を少しだけ手伝えたと思う。でも、いつも言っているように、僕は素晴らしい人間が自分の夢を叶える姿を見たいと思っている。キャスパーの現在の姿を見るのはうれしい。彼の両親もよく知っているが、彼らにとってもよかったと思っている。素晴らしい家族なんだ。このような素晴らしい人たちが成功をおさめるのを見ると、僕もとてもうれしくなる。だから、僕にとっては何もサプライズではない。彼はクレーコートの大会ではいつでも優勝候補の一人になる。明らかに優勝候補だろ? ここまで勝ち上がってきたことは何も驚きではない」
写真◎Getty Images
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