「オーストラリアでいつも人種差別に対処してきた」観客、SNSのヘイトメッセージを語るキリオス [ウインブルドン]


 今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス1回戦を突破したニック・キリオス(オーストラリア)が観客のヤジ、SNSでのヘイトメッセージについて語った。

1回戦で人種差別的なヤジがあった?

「人種差別はなかった。でも観客からいろんなことを言われた。もう普通のことなんだと考えるようにしている。でも実際はそうじゃない。彼らがいろいろ言い始めるまで、俺からは観客に対して何も言っていない。いろいろ言っていたが、もう普通のことだ」

それでどういう気分だった? ここには君のファンが大勢いる。

「シュツットガルトのときは人種差別的なヤジが起きた。インディアンウェルズでは大坂なおみ(フリー)に対して観客が突然大声で批判し始めた。何故そんなことができるのか、理解できない」

君が言われたことを教えてくれないか?

「純粋な軽蔑の言葉だ。俺が観客に向かってクソ野郎と言うのは普通のことか? 違う。どうして何度も繰り返されるのか理解できない」

でも君はこの大会が大好きだ。

「ああ大好きだ。大会とは関係ないことだ。SNS世代の特徴なんだと思う。どんなことにも自分が好きなようにネガティブにコメントできると思っているんだ。そこで攻撃されても、相手は何もできない。何か言い返したら、俺がトラブルに巻き込まれる。あいつらは言いたいことを言っていいと思っているんだ」

SNSの問題について、他の選手にはどうして欲しい?

「そんなことは何も言っていない。ただ、今の人々、観客は簡単に他者に対してネガティブなエネルギーをぶつけてしまうんだ。責任がないんだ。SNSでもバッと誰かを批判しても、その責任を取ることがない。今は人種差別だろうが、ただの軽蔑的な言葉だろうが、許されてしまう。どうして許されるんだ?」

ウインブルドンが何か対策を講じるべきか?

「わからない。俺は毎試合のように批判されるが、彼らはそこに座っているだけで、それに対してこちらがどうすることもできない」

君の試合中に観客が退場させられたことがある?

「何度かあるよ」

試合が終わった直後、つばを吐いたように見えた。

「観客の一人が酷い言葉を言ってきたからだ。自分を応援してくれる人に対しては絶対にしない行為だ」 

彼は退場させられるべきだと思う?

「たくさん批判的な言葉を言われるのは大丈夫だ。でも、言い返すとこちらがペナルティを科せられる。今日は試合に勝って直ぐに彼のほうを向いた。長い間、ヘイト、ネガティブなことに対処してきた。彼は誰かを応援しに来たんじゃない。混乱を起こして軽蔑の言葉をかけるためだけに来ている。問題ないが、俺が反撃すると問題になる」

観客の心ない声に対してどう対処する?

「俺はオーストラリアで育った。だから人種差別がどんなものかよくわかっている。ずっとそれに対処してきた。観客は何を言っても許されるし、それを動画で撮影して、あとから見返して笑うことができる。でも、同時に誰かの心を傷つけるかもしれない。俺には問題が山積みだ。今日の試合では、ポール・ジャブ(イギリス)のサービスをなかなかブレークできなかった。試合以外のことに対処している余裕などないんだ」

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写真◎Getty Images

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