キリオスがチチパスとの劇的な対決を制して4回戦へ「凄まじい雰囲気の素晴らしい試合だった」 [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で、ニック・キリオス(オーストラリア)が第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)に6-7(2) 6-4 6-3 7-6(7)で競り勝ちベスト16に進出した。
魔法のようなショット、クレーム、警告、ボディショット、転倒、タイブレークとすべてがあったドラマチックな試合だった。そしてコート1の観客たちは、そのひとつひとつに熱狂した。
これまでトップ10プレーヤーから24勝を挙げ、これに先立つハレでもチチパスに勝っていたキリオスだが、彼がグランドスラム大会でトップ10選手を倒したのは2015年ウインブルドン以来のこととなる。
「正直に言って、凄まじい雰囲気の素晴らしい試合だった。数週間前に彼を倒していたから自分が有利だと感じながらこの試合に臨んだけど、厳しい試合になることはわかっていた」とキリオスは3時間17分の死闘を終えたあとのオンコートインタビューで語った。
「彼(チチパス)は凄い選手だ。僕には自分の戦略があり、彼も一度僕を倒したことがあるから勝つ方法をよくわかっている。そして僕も成功をおさめている。物凄い試合だったよ」
今季の2試合を含め、キリオスはチチパスとのとの対戦成績を4勝1敗とした。
試合内容が競っていたこともさることながら、タイブレークの末にチチパスが奪取した第1セットの終わりにキリオスが線審のコールを不服として文句を言ったのを皮切りに、プレー以外のことでも緊張感は高まっていった。
第2セット終了後に苛立ったチチパスが観客席下段に打ち込んだボールが観客に当たりながもまったくお咎めなしだったのを見逃さなかったキリオスは、主審にそのことを訴えたあとスーパーバイザーを要請した。最初はスーパーバイザーも聞き入れなかったが、USオープンでの類似したケースでジョコビッチが失格となっていたため映像を見直したメディアもキリオスに同意した。
キリオスが執拗に主審に文句を言い続けて試合が奇妙な雰囲気となる中、チチパスは結果的に単なる警告を受けただけで済んだものの、第3セットでは第4ゲームでブレークを許してリードを奪われることになった。キリオスは3-1の40-0からアンダーサーブを打ったが、チチパスがこれをまたも客席方向に強打した。
第2セット終了後よりも意図的ではないように見えたこの行為でチチパスは直ちにスポーツマンらしからぬ振る舞いで警告を受け、その結果ペナルティポイントを課せられた。そのため0-15から始まった第6ゲーム、そして第9ゲームでも恐らく審判が見ていなかった不当行為で自分を糾弾したキリオスに腹を立てていたチチパスは、浮いたボールをわざとキリオスに当てるように強打するという報復じみた行為を見せさえした。
結局このセットは6-3でキリオスのものとなり、より落ち着きを取り戻した第4セットはキープ合戦の末にタイブレークに突入した。ここでも競り合いが続いたが、最後は6-7からサーブ&ボレー、ストロークエース、そしてドロップショットと3本連続で見事なプレーを見せたキリオスが2度目のマッチポイントをものにして試合に終止符を打った。
ちなみにキリオスは第4セットの出だしにボールを追って方向転換しようとした際に足の付け根を捻って転び、しばらく起き上がれなくなるという場面があった。しかし彼は結局試合を継続し、最後まで戦った。
勝利の瞬間に喜びの雄叫びを上げたキリオスは、「勝ち抜くことができてこの上なくうれしい。彼はときどき苛立っていたけど、テニスはストレスの溜まるスポーツなんだ。僕は彼を大いにリスペクトしている。コートで起きたことは、コートの上だけのことだ。彼のことは好きだし、彼の弟とも結構親しいんだ」と試合後に話した。
3回戦敗退に終わったチチパスは、「僕は今日、自分のテニスを楽しんだ。コートでの雰囲気を楽しんだ。戦いを楽しみ、解決策を見つけようとする過程を楽しんだ」とコメントした。
今季のグラスコートで10勝2敗のキリオスは19歳で臨んだ2014年以来の8強入りをかけた次のラウンドで、ダニエル エライ・ガラン(コロンビア)を6-4 6-4 6-1で破って勝ち上がったブランドン・ナカシマ(アメリカ)と対戦する。
写真◎Getty Images
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