ジョコビッチが2セットダウンから挽回してシナーに勝利「鏡に向かって自分を叱咤激励した」 [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス準々決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が2セットダウンと追い込まれながらも巻き返し、第10シードのヤニク・シナー(イタリア)を5-7 2-6 6-3 6-2 6-2で退けベスト4に進出した。
立ち上がりに1-4とされてから挽回して追いついた20歳のシナーは5-5からフラットに叩く角度あるフォアハンドを叩き込んでブレークし、続くサービング・フォーザ・セットをキープして第1セットを先取した。シナーはその勢いを維持して第2セットも奪ったが、そこからジョコビッチが本領を発揮した。
プレーレベルを引き上げたジョコビッチはシナーの善戦を押し返し、続く3セットを連取して逆転劇を完了した。この結果でジョコビッチは、ウインブルドンでの連勝を「26」に伸ばした。
昨年のフレンチ・オープン決勝でも2セットダウンからカムバックしてステファノス・チチパス(ギリシャ)に勝っていたジョコビッチは試合後のオンコートインタビューでウインブルドンでの連勝について聞かれ、「幸福、愛、達成感、誇り。僕はこのコートですべてを感じている。僕はここが大好きだ。選手の大部分が、これがテニス史上最大の大会であるということに同意すると思う。だからこのコートは僕のキャリア、僕の人生でもっとも重要なものだ」と答えた。
「このコートは、僕が5歳のときにラケットを手に取りたいという気持ちにさせてくれた。このコートに立つたび、恋は育ち続けている。だからこの進撃を続けられるよう願うよ」
苦戦を強いられたシナーの戦いぶりについて、「今日の健闘についてヤニクに大きな賛辞を送りたい。今後も大舞台で多くのチャンスがあると確信している。彼はその年齢にしては非常に成熟しており、ここ2年というものトップ10やトップ15としての地位を確立させている。彼にはたっぷりと時間がある。今日は彼にとって残念な結果だったけど、彼は非常にいい大会を送った。年の残りに向けて彼に幸運を祈りたい」とジョコビッチは称えた。
「最初の2セットと残りの3セットを比較すると、ふたつの異なる試合のようなものだった」と試合を振り返ったジョコビッチは「最初の2セットでは彼のほうがより優れたプレーヤーだった。僕はトイレ休憩を取って気持ちをリフレッシュし、鏡に向かって自分を叱咤激励してからコートに戻ったんだ」と明かし、「コートで自分にとってポジティブなことがあまり起きず、対戦相手がプレーを支配しているような状況ではこういったことが必要不可欠なんだ。通常の考えを取り戻し、再収集するためのちょっとした休憩や叱咤激励がね。可能な限り最高のテニスで対戦相手に向かっていくために必要なすべてを組み立て直すんだ」と話した。
「僕はもう20年も大舞台でプレーしてきたけど、他の誰とも同じようにこのような不安な瞬間を潜り抜けている。内なる戦いは常にコート内外での最大の戦いだ。それに勝とうとすることは大きなチャレンジなんだ。それに打ち勝つことができれば、外的な状況は自分に有利な方向に進む可能性が高くなるものさ」
試合後の記者会見で逆転劇について聞かれたジョコビッチは、「僕はずっと、カムバックは可能だと信じていた。僕は過去の経験を通し、最終的にこのような状況でも勝つ可能性があるとわかっていた。僕はケガや身体の不具合は抱えていなかった。それは単なる“流れの転換”だ。いい再スタートには第3セットの出だしが非常に重要だと感じ、早い段階でブレークしようとした。それが実際に起きたことだった」と説明した。
ウインブルドンでの5セットマッチで10勝1敗という好記録を誇るジョコビッチは、そのことについて「相手とサーフェスにもよるけど、5セットでの戦績がよければよいほど5セットになったときの感じ方はよくなるだろう。それは理にかなったことだよ」とコメントした。
「特に人生であまり多くの5セットマッチを経験したことがなく、ウインブルドン準々決勝も初めてでセンターコートでのプレー経験もあまりないシナーのような若い選手が相手なら尚更だ。こういったすべてが、ある種の役割を演じるんだよ」
シナーの実力に感銘を受けながらも経験の差が違いを生んだと考えているジョコビッチは、「この試合に臨むに当たって彼には失うものはなかったけど、2セットを先取したあとには失うものはたくさんあった。それがメンタル的に彼にのしかかっているのが感じられたんだ」と分析した。
「時間が経つにつれて彼はどんどんよくなっていくと思う。彼は素晴らしい選手でメンタル的にもしっかりしているし、献身的でプロフェッショナルだ。大舞台で頻繁に彼の姿を見ることになるだろうね」
ジョコビッチは準決勝で、ダビド・ゴファン(ベルギー)を3-6 7-5 2-6 6-3 7-5で破って勝ち上がった第9シードのキャメロン・ノリー(イギリス)と対戦する。
写真◎Getty Images
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