「経験の差で、わずかに自分が有利かも」キリオスとの決勝を見据えるジョコビッチ [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルスで第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、ニック・キリオス(オーストラリア)との決勝戦に向けて語った。
――キリオスが君との間にはこの数ヵ月で“親密な関係”が育まれたと言ったが、彼とのこの数年間の関係をどう見ている?
「まだ親密な関係と言えるかはわからないけど、僕らの関係は以前よりよくなっている。特に今年1月のことでよくなった。オーストラリアでのときは、本当に大変だった。そんなときに彼は表に出て僕を擁護してくれ、寄り添ってくれた。本当に感謝しているし、そのことで彼をとてもリスペクトしている」
――オーストラリアはもう敵のように感じている?
「オーストラリアが敵になったとは思わない。君の言いたいことがよくわからない。オーストラリアで起きたことはもう過去のこと。あれからもう6ヵ月が経った。またグランドスラム大会の決勝に進めてうれしい。今年の初めは波乱万丈だった。経験したことのないもので、感情を揺さぶられ動揺した。今はこの決勝が楽しみで、そこですべてを出し尽くすつもりだ」
――その瞬間の一つのプレーに集中すること、歴史を作るということのバランスをどうやって取っている?
「今どんなことが起きているのかよくわかっている。キャリアのこの時点で戦うグランドスラム大会はすべて、大きな意味がある。今後、何度グランドスラム大会のトロフィーを勝ち獲るチャンスがあるか、わからないからね。その瞬間は直ぐにやってくる。ポジティブな姿勢、自信、勝ちたいという意志を強く持ってその日に向かっている。そのバランスをどう取るかは主観的なものなので、すべての選手が違うと思う。細かいルーティンなどについては話したくない。自分ではいいバランスで準備ができていると思う。メンタル、フィジカル、感情面でいい準備をするための自分なりの方法があるんだ。でも、それがコートでは何の保証にもならない。何が起きるかわからないし、プレッシャー、期待などいろんなものが渦巻いている。ときにそれを相手よりうまくコントロールできるし、できないときもある。グランドスラム決勝を何度も戦った経験によって、未経験のニックよりわずかに有利かもしれない。でも、それと同時に彼がどんな人間で、テニスへの取り組み方、その姿勢を考えると、彼はプレッシャーに負けるようなタイプではない。コートに立つたびにスイッチが入り、物凄いパワー、サービス、プレーで圧倒する。彼も優勝目指してアグレッシブに全力で戦うはずだ。それに対抗する準備はしておく。最後はよりよい選手が勝つだろう」
――初めてのグランドスラム決勝と言えば、ロジャー・フェデラー(スイス)と戦ったUSオープンを思い出せる?
「2007年のことだ。だいぶ前の話になる。そのときの感覚を正確には思い出せないが、物凄く興奮していたけど、あまりプレッシャーは感じていなかった。決勝にいけたことで、既に大きな達成感があった。恐らく、優位と思われ誰もが勝つと思われていたロジャーのほうに大きなプレッシャーがあったんじゃないかな。そのときと似た状況かなと思う。違いは、ニックが2007年当時の自分ほど若くないこと。彼は精神的により成長しているだろうし、ビッグマッチを戦ってきた経験が大きな助けになるはずだ。それに彼はビッグマッチで大きな力を発揮する。彼が見せた最高のテニスはいつもトップ選手が相手だった。だから僕らは皆、彼をリスペクトしているんだ。面白い試合になるだろう」
――ニックのキャリアを考えると、彼がウインブルドン決勝の相手になることに驚いている? 彼のようなタイプとの対戦では違った準備が必要になる?
「ある意味では驚きでもある。グランドスラム大会の決勝に進んだことがないから、ここまでいけると思った人は少ないかもしれない。だが、選手たちは皆、彼がどれほど危険な選手なのかよくわかっている。特にグラスコートでは自信満々に戦うから危険だ。非常に完璧な選手だ。数年前よりメンタル面でも充実している。時間が経ち、成長して、自分のことをよりよく理解し、メンタル、フィジカルを最高の状態にするためにどんな準備をすればいいかわかっているのだろう。その結果、最高のパフォーマンスを発揮できるようになった。そして大きな舞台が大好きだ。だから、僕にとっては驚きではない。テニスファンとしては彼が決勝にいることがとてもうれしい。彼は途轍もない才能を持っている。ツアーに出てきたころは、皆が彼の才能を称えた。偉大なことを成し遂げると皆が期待した。その結果、どのようになったかは、皆が見てきた通りだ。コートの内外で彼の気持ちを乱すような出来事がたくさんあった。継続していい成績を残すことができなかった。彼の選手としての資質を考えると、決勝の舞台は彼が正にいるべき場所なんだ」
――1年間で多くの選手と対戦するが、その中でもニックのサービスが飛び抜けていいのはどんな理由から?
「彼のファーストサーブのモーションは本当に流れるようで、とにかく速い。どんな角度にも自由自在に打てるんだ。前気味にトスを上げてサーブ&ボレーもできるし、自分を非常にいいポジションに置くことができる。アグレッシブに攻めるポジションも、守備的にプレーするポジションもうまく取れる。彼のサービスは予測するのが非常に難しい。彼と最後にプレーしたのは、2017年に負けたときだ。それ以来、一度も対戦していないし、練習で打ち合ったこともない。グラスコートで彼のサービスを読むのはさらに難しい。強烈なサービスでかなり多くのフリーポイントを得ることができる。そして相手のサービスに物凄くプレッシャーをかけてくる。動きもいいし、タッチも柔らかい。かなり完成された選手だ。最後はメンタルの戦いになる。決定的なポイントでどちらがタフに、冷静に戦うことができるかが勝負を分けるだろう」
写真◎Getty Images
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