レイトン・ヒューイットが1年遅れの殿堂入りセレモニーで感慨を吐露「自分からは遠く離れたものだと思っていた」
ATPツアー公式戦の「インフォシス名誉の殿堂オープン」(ATP250/アメリカ・ロードアイランド州ニューポート/7月11~17日/賞金総額66万5330ドル/グラスコート)の男子シングルス準決勝が行われ、第3シードのアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン)と第4シードのマキシム・クレッシー(アメリカ)がタイトルをかけて初対決することになった。
試合後には国際テニス名誉の殿堂のセレモニーが行われ、元世界ナンバーワンのレイトン・ヒューイット(オーストラリア)が1年遅れで出席した。
グランドスラム優勝歴2回のヒューイットは1970年に独自のツアーを開始した先駆的な女性たちのグループである『オリジナル9』とともに2021年に受賞していたが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる渡航制限で昨年のセレモニーに参加することができなかった。
「名誉の殿堂は、僕からは遠く離れたものであるように思えていた。自分が選手だったときには、このような栄誉に授かるなど考えたこともなかった。それは僕が子供時代にアイドルだった人々、絶対的なレジェンドたちのためのものだと思っていたんだ」とヒューイットは殿堂入りセレモニーで心情を吐露した。
少年時代の自分にとってもっとも重要な出来事だったのは、自国のレジェンドであるジョン・ニューカム(オーストラリア)とアメリカ・テキサス州にある彼のキャンプで出会ったことだったとヒューイットは語った。彼は学校の学習課題のため、ニューカムにインタビューを申し込んだのだ。
「彼が僕に言った最大のことは、有名なキップリングの詩『IF(もし)』についてだった。特にウインブルドンのセンターコートの通路の上に書かれている有名な2行について」とヒューイットは明かした。
「『もし勝利と災厄の両方に遭遇し、そのふたつを同じものとして扱うことができるなら』(=成功と失敗を両方とも経験する機会があったとき、そのふたつを同じものとして扱えるなら)」
それは障害に突き当たっても栄光を経験しても、常にベストを尽くし進んできた彼の指針となった。
20歳だった2001年、ヒューイットは史上最年少でATPランキング1位の座に就いた。彼は2001年USオープンと02年ウインブルドンで優勝し、その両年ともツアー最終戦(現ATPファイナルズ)を制して年末世界ランバーワンに輝いた。デビスカップでも活躍した彼は、1999年と20003年にオーストラリアを世界一に導いた。
ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の『ビッグ3』が男子テニスの頂点に君臨する前、ヒューイットは80週間に渡って世界1位で過ごした。その10年余りあとに100位以下に落ちてからも彼は不屈の精神で戦い続け、2016年に引退するまでガッツ溢れる姿勢は変わらなかった。彼はまた2018年にダブルスでカムバックして数試合プレーし、結果的に長寿の選手でもあった。
「様々な世代の選手とプレーできて幸運だったと思う。僕は自分のヒーローとして尊敬していたアンドレ・アガシ(アメリカ)やピート・サンプラス(アメリカ)、それから男子テニス史上もっとも偉大と言われているロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチとも戦った」とヒューイットは回顧した。
セレモニーのために家族と一緒にニューポート入りした41歳のヒューイットは殿堂入りについてレジェンドのスタン・スミス(アメリカ)から知らされたときのことを思い出し、「おかしな瞬間だったよ。僕はメルボルン近郊で行われた12歳以下のジュニア大会で息子のプレーを観ていて、スタンに『話せるようにコートから離れるからそのまま切らないで少し待って欲しい』と頼まないといけなかったんだ。そして電話が終わったあと、これはかなり特別なことだという実感がじわじわ沸いてきたんだよ」と話した。
殿堂メンバーの大先輩でもあるニューカムやトニー・ローチ(オーストラリア)などもセレモニーに出席しており、感極まった様子のヒューイットは「名誉の殿堂メンバーの方々に、ここに出向いて下さったことへのお礼を言いたい。もしあなた方がいなかったら、もし僕に敬うべき人々がいなかったら、決して同じことはできなかったでしょう。これは信じられないような経験だ」とレジェンドたちに感謝の気持ちを伝えることも忘れなかった。
写真◎Getty Images
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