ムゼッティがアルカラスから殊勲の勝利でツアー初優勝「まだ夢を見ているみたいだ」 [ハンブルク・オープン]
ATPツアー公式戦の「ハンブルク・ヨーロピアン・オープン」(ATP500/ドイツ・ハンブルク/7月17~23日/賞金総額191万1620ユーロ/クレーコート)の男子シングルス決勝で、世界ランク62位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)が第1シードのカルロス・アルカラス(スペイン)を6-4 7-6(6) 6-4で倒す番狂わせを演じてツアー初優勝を飾った。
同大会でイタリア人選手がチャンピオンに輝いたのは、パオロ・ベルトルッチ(イタリア)とファビオ・フォニーニ(イタリア)に続いて3人目となる。
20歳のムゼッティと19歳のアルカラスという注目の若手対決だったが、歳は下でも今季のアルカラス既に大きな勝利を何度も挙げて未来の王者と目されている選手であり、多くの人々は彼が勝つだろうと予想していた。しかし下馬評を覆し、接戦から勝者として浮上したのはムゼッティのほうだった。
「言葉もない。最後の最後までジェットコースターのような試合だったから…。僕は本当に多くのマッチポイントを手にしていた。僕は本当に多くのチャンスを手にしていたのに、カルロスはマッチポイントで凄くいいプレーをした。でも試合のカギは、落ち着きを保って辛抱強さを持つことだった。それは簡単なことではなかったからね。カルロスは劣勢に立たされたとき、マッチポイントで物凄く奮闘した。だから(マッチポイントをものにできなかったあとに)奮起するためのエネルギーを見つけ出すのは簡単じゃなかった」とムゼッティは試合後のオンコートインタビューで語った。
「でも僕は、今この瞬間に感じている気持ちを言葉で言い表すことができない。まだ夢を見ているみたいだ」
この大会に先立ちムゼッティは、ATPツアーで決勝に進出したことがなかった。その闘志とメンタルに定評のあるアルカラスに対し、ムゼッティは落ち着きを保って黙々とプレーする精神的な強さを見せて2時間半の戦いを制した。
第2セット5-4からのふたつ、そして同セットのタイブレーク6-3からの3つと計5つのマッチポイントをものにできなかった場面を振り返り、「もちろん僕は凄く心を乱していたけど、相手にそれを見せないようにしていた。僕はそれら取り損ねたマッチポイント、取れなかったすべてのポイントに関して自分を許そうとしたんだ」と明かした。
「僕にとっても、それがもっとも重要なことだった。僕はこの目まぐるしいアップダウンのあとで勝つことを期待してはいなかったから、今ここでチャンピオンとしていることができてこの上なく幸せだ」
逃したマッチポイントに気落ちさせられる代わりに、ムゼッティは第3セットで果敢に戦ってトロフィーを掴んだ。第3セット5-4からのレシーブゲームで迎えた6度目のマッチポイントで、試合を通して明らかに本調子ではなかったアルカラスがバックハンドでアンフォーストエラーを犯して試合に終止符が打たれた。
これはふたりにとって、ツアーレベルでの初対戦だった。この勝利でムゼッティは、大会後に更新されるATPランキングで自己最高の31位に浮上することが確実となった。成長中の若い世代は今、ひとりまたひとりと頭角を現し始めている。
これに先立ち行われたダブルス決勝では、ロイド・グラスプール(イギリス)/ハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)が第4シードのロハン・ボパンナ(インド)/マットヴェ・ミドルコープ(オランダ)を6-2 6-4で下してコンビ2勝目を挙げた。
男子ダブルス優勝のロイド・グラスプール(イギリス/左)とハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)(Getty Images)
写真◎Getty Images
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