「さようならトロント」引退の可能性を告白したセレナが感情的な別れの挨拶 [WTAトロント]

写真は2回戦敗退に終わり、観客に手を振りながらコートをあとにするセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(Getty Images)


 WTAツアー公式戦の「ナショナルバンク・オープン」(WTA1000/カナダ・オンタリオ州トロント/8月8~14日/賞金総額269万7250ドル/ハードコート)の女子シングルス2回戦で、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第12シードのベリンダ・ベンチッチ(スイス)に2-6 4-6で敗れた。

 世界でもっとも影響力のあるファッション誌『VOGUE』に掲載されたエッセーの中で、来たるUSオープンを最後に引退するかもしれないと綴って世界に衝撃を与えているセレナはこの日、コートに入場したときにトロントの観衆から割れるような拍手に迎えられた。
 
 昨年のフレンチ・オープンを最後に2試合連続で勝つことができていないセレナはトロントで最後になるかもしれない試合で2勝目を目指していたが、ベンチッチが最初から最後まで主導権を握ることになった。ウィナー25本でアンフォースドエラー13本だったベンチッチに対し、セレナはウィナーが13本でアンフォースドエラーは18本だった。

 試合後には敗者としては異例ながらオンコートインタビューが行われ、セレナは涙を抑えるのに苦労しながらトロントの観客に別れを告げた。

「言うまでもなく、感情的になっているわ。ここでプレーすることが大好きよ。これまでもずっとそうだった。もっといいプレーができていたらよかったけど、今日はベリンダが非常にいいプレーをした。とても興味深い24時間だった」とセレナはヴォーグ誌の記事が世に出てからこの試合までの時間に言及して話した。

「記事の中で言ったように、私はさよならを言うのが得意ではないの。でも、さようならトロント」

 一方で試合に勝ったベンチッチは、「もちろん勝ったのはうれしいけど、今日はある意味で少し悲しい。私は彼女に引退して欲しくない。彼女の遺産やキャリアなど、彼女が達成したすべてを知っている。でもそれがもう直ぐ終わろうとしており、私を含む誰もがそのことによりはっきり認識しつつあると感じているわ」とコメントした。

「今日は彼女と一緒にコートに立っただけで、感動的で胸がいっぱいになったわ」

 これからUSオープン終了まで、セレナと対戦する皆にとって任務は常軌を逸して難しいものになるだろうとベンチッチは示唆した。

「彼女とプレーするたびにその偉大さに圧倒され魅了されるから、彼女との対戦は簡単ではない。それらの事実を気にせず、試合にだけ集中するのは難しいことなの。どうプレーしていいかわからず、ただ彼女を目にすることで自分が麻痺してしまうように感じるからなのよ」とベンチッチはその理由を説明した。

「今夜の観客たちは素晴らしかったわ。非常にのめり込んでいて、彼女にとっても私にとっても本当に特別だった。USオープンは一層特別なものになるでしょうね。だから、そこで彼女と対戦する皆に幸運を祈るわ」

 ベンチッチは次のラウンドで、カイア・カネピ(エストニア)を6-4 6-4で破って勝ち上がった第8シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)と対戦する。

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写真◎Getty Images

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