「マスコミが作り上げたイメージに対処するのがしんどかった」過去の苦しみを打ち明けたキリオス [ATPモントリオール]

「“オーストラリア対決”は注目されるからプレッシャーがきつかった」とアレックス・デミノーとの3回戦を振り返ったニック・キリオス(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「ナショナルバンク・オープン」(ATP1000/カナダ・ケベック州モントリオール/8月8~14日/賞金総額657万3785ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、アレックス・デミノー(オーストラリア)を6-2 6-3で倒したニック・キリオス(オーストラリア)が過去の苦悩について語った。

――過去にテニスが大事ではないと発言していたが、今は凄く重要に感じているように見える。生まれ変わったニック・キリオスはどんな風なんだ?

「俺は基本的には変わっていない。今はたくさんの人のためにプレーしている。そして自分が素晴らしいテニスをまだまだできることを自分自身にも証明したいんだ。夜はゆっくり平穏に過ごせるようにしたい。他の選手に比べて、俺はたくさんのクソみたいなことに対処しなければならないんだ。批判、悪いメディア、悪い記事、“才能を無駄にしている”などとね。今のようなプレーを続ければ、そういう人たちが間違っていたことを証明できる。そしてリラックスできるはずだ。そして、パブに出掛けてビールを飲んでも、誰にも批判されないようになるだろう。他の選手ほどの継続性はないかもしれないが、最高の場所に辿り着こうと努力している。リラックスできるようにしたい。そのためには、まだやるべきことが残っている」

――君のことが好きな人もいれば嫌いな人もいる。君の結果に関わらず、多くのファンがいるけど、どのような関係性だと思っている?

「俺のことが好きじゃなかったり、俺のプレーが好きじゃない人がいても、まったく気にならない。俺のやっていることに賛同できない考え方の人もたくさんいる。それは理解できる。だが、キャリアの初期の頃は、俺のキャラクターは完全に作り上げられたものだった。コートでの自分の態度ですべてが判断されてしまっていた。それを自分の実際の生活と切り離すのが本当に大変だった。君らの誰にもこれは理解できない。俺がコートの上にいるのは人生の2%程度なのに、その中から俺のことを95%くらいは作り上げられたイメージで語るんだ。俺はコートを離れたとき、そんなんじゃないんだ。それが自分の本来の価値ではない。それは俺じゃない。スポーツ選手として成功するには、2つの完全に異なる人間にならないといけない。コート上でいつでも感じがよく、素晴らしい人間であることは不可能だ。そんな態度ではまったくいい成績など残せない。テニス選手は自分勝手で、自分が世界最高の選手だと思って立ち振る舞わないといけない。そういうメンタリティが必要不可欠なんだ。俺がコートで怒ったり、ラケットを破壊すると“彼はコート外でもそういう奴だ!”と書かれる。でも、それのどこが繋がっていると言うんだ? そのことに対処するのがいつも大変だった。俺がレストランやスーパーマーケットに入っても、いつも君らが作り上げた悪いイメージで見られてしまうんだよ。まだ18歳、19歳のガキなのに、それらのことに対処するのが本当にしんどかった。今は、かなりうまく対処できるようになったよ」

 キリオスは準々決勝で、第8シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)と対戦する。

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写真◎Getty Images

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