苦難の時期を乗り越えたチョリッチがチチパスを倒してマスターズ初制覇「信じられないような感慨」 [ウェスタン&サザン・オープン]

写真はマスターズ初制覇を果たしたボルナ・チョリッチ(クロアチア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000/アメリカ・オハイオ州シンシナティ/8月14~21日/賞金総額697万1275ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝で、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)が第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を7-6(0) 6-2で倒してマスターズ初制覇を果たした。

 肩のケガで昨季の大半を棒に振って世界ランクを152位まで落としていたチョリッチは今大会にプロテクト・ランキング(ケガなどで長期休養を余儀なくされた選手への救済措置)で出場し、2回戦で第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)を倒す番狂わせを演じていた。

「正直に言って、言葉が出ない。信じられないような感慨だ。何度も言ってきた通り、この瞬間を楽しみたい。いいプレーができるとは思っていた。懸命に練習し、いいテニスができるということはわかっていた。ただ実感がなかったんだ。本当に、もの凄くうれしいよ」とチョリッチは勝利の喜びを表現した。

 昨年5月に右肩の手術を受けたチョリッチは回復に思いのほか時間がかかったこともあり、今年のツアーでの戦績は4勝8敗と思わしなかった。彼は肩をプレーできる状態に保つため、毎日30~90分のエクササイズを必要としていた。このような多くを期待しづらい状況で、彼はキャリア最大のタイトルを獲得したのだ。

「僕はテニスプレーヤーという自分の仕事を続けたい。そうするには、ケガをした部分のメンテナンスが必要なんだ。そうしなければ、僕はテニスをプレーすることができない。テニスをするために30分余計に費やさなければならないということが大きな犠牲だとは思っていないよ」とチョリッチは語った。

「自分が愛することをするためだ。大した問題じゃないさ。かつては練習の1時間前にやってきたけど、今は1時間半になった。それだけだよ」

 ナダルに対する2回戦でのチョリッチは相手がケガからの復帰戦だったということを加味しても完全なアンダードッグだったが、チョリッチはこの好機に「わくわくして何のプレッシャーもなく」試合に臨んで勝利をもぎ取った。これでメンタル的に弾みをつけたチョリッチは第15シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)、第7シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)、第9シードのキャメロン・ノリー(イギリス)、そしてチチパスと立ちはだかるすべての敵をなぎ倒し、健康だったときに未踏だったATPマスターズ1000大会のタイトルを手に入れた。

「僕はずっと自分を信じていた。でも前週に酷いテニスをしていたことを考えると、この大会で優勝するというのは想像し難いことだった。この大会で優勝するなんて思ってもいなかったよ」とチョリッチは試合後の記者会見で明かした。

 復帰後にツアーレベルで3連勝以上したのが初めてだったチョリッチは「冷静でいなければならないことはわかっていた。リカバリーして活力ある状態を保つのがもっとも重要なことだった。僕はその通りのことをやった。これは厳しい経験を通して学んだことなんだ。何故なら僕は、若い頃に強豪を倒すことはできていたけど、そのあとにやや浮かれてしまっていたからね」と話し、先を見過ぎず1試合1試合に取り組むことの重要性について説明した。

「僕はとにかく、次の試合に勝つことができると信じていた。6日間連続で、僕はそんなふうにしながら進んできたんだ」

 今週の快進撃で、チョリッチは大会後に更新される世界ランクで123段上がってグランドスラム大会シード圏内の29位に浮上することが確実となった。

 これに先立ち行われたダブルス決勝では、第1シードのラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)が第6シードのティム・プッツ(ドイツ)/マイケル・ビーナス(ニュージーランド)に7-6(4) 7-6(5)で競り勝ち今季2勝目を挙げた。


男子ダブルス優勝のラジーブ・ラム(アメリカ/左)とジョー・ソールズベリー(イギリス)(Getty Images)

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写真◎Getty Images

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