アルカラスが苦闘の末に思わぬ形で最初の難関を突破「セバスチャンが素晴らしい選手ということだけは言っておきたい」 [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス1回戦で、第3シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が7-5 7-5 2-0とリードした時点でセバスチャン・バエス(アルゼンチン)が棄権したため勝利を手にした。
食らいついてくる21歳のバエスに終始苦戦を強いられたアルカラスは、大事なポイントで底力を発揮して最初の2セットをもぎ取った。第2セット6-5からのレシーブゲームでは0-40としながらもデュースに追いつかれたが、アルカラスは4度目のセットポイントで渾身のフォアハンドをダウン・ザ・ラインに決めると雄叫びを上げた。
しかしこの内容的にも盛り上がった試合は、残念な形で終わりを告げた。第3セット0-1で迎えたサービスゲームで30-40からバックハンドのローボレーを打ったあとに体の左側を押さえて動けなくなったバエスはしばらくしてから足を引きずってコートから出ると、ベンチで屈み込んだまま駆け付けた医療スタッフとほとんど言葉を交わすことなく棄権の決断を下した。
「誰もこんな試合の終わりを見たくはなかった」とアルカラスは試合後のオンコートインタビューで語った。
「僕ら2人にとって、こんな終わり方は相応しくないと思う。でも僕は、セバスチャンが素晴らしいプレーヤーだということだけは言っておきたい。彼は最後まで戦う選手だから、最善の選択をしたんだろうね」
非常に競り合った第2セットまでを振り返ったアルカラスは、「本当に、本当に厳しい試合だった。第2セットは僕にとって、フィジカル的にもメンタル的にも高いレベルを保つのが難しかった。言うまでもなく、観客から受け取ったエネルギーは特別なものだった。応援のおかげで僕はあの暑さと厳しい瞬間に対処することができたんだ」と話した。
アルカラスは次のラウンドで、タロン・グリークスプア(オランダ)を7-5 6-4 6-3で破って勝ち上がったフェデリコ・コリア(アルゼンチン)と対戦する。
もしこのまま勝ち進んで決勝に進出した場合、19歳のアルカラスは史上最年少で世界ランク1位の座に就く可能性を手にしている。ここ1年で急成長を遂げたアルカラスは、昨年の大会で準々決勝に進出したときはまだ世界55位に過ぎなかった。
「昨年は僕の人生とキャリアの中で最高の瞬間のひとつだったことを覚えている。その1年後に世界4位になっているなんて、僕にとって本当に特別なことだ。世界最大のテニス専用スタジアムであるアーサー・アッシュ・スタジアムに戻ってくるというのは信じられないことだよ」
写真◎Getty Images
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