USオープンでキリオスが前代未聞の珍プレー「史上もっとも間抜けなプレー」

写真は前代未聞のプレーでポイント取ったと勘違いしてドヤ顔のニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス4回戦で第23シードのニック・キリオス(オーストラリア)がディフェンディング・チャンピオンで第1シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を7-6(11) 3-6 6-3 6-2で倒して8強入りを決めたが、その過程で常軌を逸したプレーのせいでキリオスがポイントを失うシーンがあった。

 試合後にキリオスはユーモアを交え、それを「史上もっとも間抜けなプレー」と呼んだ。

 それは第3セット1-0の30-30からのポイントで起きた。サーバーのメドベージェフがラリーからネットに出たところでキリオスがパスを放ち、相手のラケットを弾いて跳ね上がったボールがメドベージェフ側のコートでコースを大きく逸れて高く舞い上がった。そのまま何もしなければアウトになってキリオスのポイントになるのは明らかだったが、彼はネットポスト通り越して相手コート側に入って空中のボールを叩き込んだのだ。

 決めたあとのうれしそうな表情を見ればわかる通り、キリオスはポストの外を通ってなら相手のサイドから決めてもいいと思っていた様子だった。しかし審判は規則に従ってメドベージェフにポイントを与え、キリオスブレークチャンスを失った。

 結果的にそのセットを取ったため実害はなかったが、キリオスは試合後に「僕は今夜、恐らく史上もっとも間抜けなプレーをしたと思う。正直に言うと、あれは合法だと思ったんだ。僕は心からあの打ち方はルールに則っているいると思ったんだよ」とそのポイントについて説明した。

 確かにボールがネットポストの外を通ってコートに入った場合はボールがネットより低くても有効という規則はあるが、選手がポストの外を通って相手コートに入った場合はネットに触れていなくても違反になるらしい。

「僕は故郷キャンベラの郊外にあるコンクリートの道でプレーしていると思っていた。あれは僕が故郷のストリートテニスでやるようなことで、実はルール違反だとあとで気付いた。あのときの僕の顔を見ればわかる。僕は凄く幸せで、『これまでで最高のショットだ!』とでも言いたそうな顔をしていたけど、実は反則だった。でも、面白かったよ」

 そこでポイントを失いブレークチャンスを作れなかったが、キリオスはいずれにせよ次の機会でブレークして3-1とし、残りのサービスゲームをすべてキープしてそのセットを取った。

「正直に言って、あれがターニングポイントだったと思う」とキリオスはコメントした。

 キリオスは次のラウンドで、第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を4-6 6-3 6-1 4-6 6-3で破って勝ち上がった第27シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)と対戦する。

 勝利にも有頂天にならず思慮深い様子を見せるキリオスは、「(メドベージェフ戦は)素晴らしい勝利だった。でもコートを離れると、試合が終わったことにほっとしている自分がいる。コートに出るたびにプレッシャーや期待が大きく、自分にできることは予測不可能だからね」と気持ちを吐露した。

「試合後に僕はロッカールームで座り、自分のパフォーマンスをこの上なく誇りに思った。何故なら僕は、自分にはもはやこんなプレーをすることはできないと思っていた時期が本当にあったからなんだ」

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写真◎Getty Images

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