ハチャノフがフルセットでキリオスを退け初のグランドスラム準決勝進出「僕はやってのけたんだ!」 [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第27シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)が第23シードのニック・キリオス(オーストラリア)に7-5 4-6 7-5 6-7(3) 6-4で競り勝ち、四大大会で初のベスト4進出を果たした。
ダニール・メドベージェフ(ロシア)やアンドレイ・ルブレフ(ロシア)ら将来を嘱望されていたほぼ同世代の強豪ロシア勢の中で、やや遅れを取っているかに見えていたハチャノフがついにやってのけた。
「僕はやった。やってのけたんだ! 自分を本当に誇りに思う。僕は最初から最後まで集中し続けていた。クレイジーな試合だったけど、僕は5セットを戦う心構えをしてこの試合に臨んでいた」とハチャノフは試合後にコメントした。
ディフェンディング・チャンピオンで第1シードのメドベージェフを倒した“今大会の熱い男”キリオスは試合を通して31本のサービスエースを放ち、ハチャノフも30本とほぼ同数のエースで対抗した。最初はサービスとパワーがものを言う展開でラリーも比較的短かったが、第3セットに入るとより長いラリーが増え始めてスタジアムは白熱した。キリオスが第4セットのタイブレークを取って2セットオールに追いついたときにはスタンドに歓声が轟いたが、彼は第5セット第1ゲームでブレークを許してしまった。
「少なくとも僕自身に関して言えば、出だしから最後まで素晴らしいパフォーマンスだった」とハチャノフは試合後の記者会見で語った。
「僕は踏ん張り続け、自分のチャンスを待っていた。そのチャンスを自ら作り出したこともあった。勝者として試合を終えることができて超幸せだし、とても誇りに思う。キープすれば勝利のサービスゲームは決して簡単じゃないんだ。初の準決勝進出を決めることができて最高にうれしいよ」
ハチャノフは準決勝で、第13シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を6-1 6-4 7-6(4)で破って勝ち上がった第5シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)と対戦する。
2018年パリ・マスターズ決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒して優勝し、2019年フレンチ・オープンと昨年のウインブルドンで8強入りするなどして2019年にはトップ10入りも果たしていたハチャノフだが、それ以来やや伸び悩んで世界ランクも31位まで落として今大会を迎えていた。この大会でも4回戦で5セットに渡る死闘の末に第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を退けており、彼の進んできた道は決して楽なものではなかった。しかし今、彼はUSオープンの結果次第でトップ10目前まで浮上する可能性を手にしている。
一方で奮闘するも報われなかったキリオスは、「言うまでもなく、僕は打ちひしがれている。でもカレンを称えたい。彼はファイターだ。戦士だ」と悔しさを滲ませながらも相手を称えた。
「今日の彼はサービスが非常によかったと思う。恐らく僕がこの大会で対戦した中で最高のサーバーだった。プレッシャーがかかる場面でも的確に厳しいコースをついてきた。彼は重要なポイントでいいプレーをしていたよ」
それでもやはり大きなチャンスをあと一歩で掴み損ねたという感覚と全力を振り絞って戦ったあとの失望を隠しきれないキリオスは、「僕はとにかく打ちひしがれている。勝つか負けるかで“オール・オア・ナッシング”のように感じている。今この瞬間は、自分がこの大会で失敗したのだという気がしているよ。今はそんな感じだ」と心痛を表現した。
写真◎Getty Images
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